さあ準備を終わらせよう。 (No.960)

まちづくりを始めたい、まちづくりをやっているが次なるステージに行きたい、というお話を色々と受けたりする。ま、僕も大したことはやっていないのですが、ただひとつ、既に始めているということだけは確かです。

そんな人は「何事も最初から要領よく、失敗しないで、最大限成果を得よう」なんて考えていないだろうか。

まちを再生する事業をやりたいといいつつも、実態としてやっていることは「講演会、ワークショップ、懇親会」をだけだったりする。まちづくりを始めるのに勉強→みんなで考えて→もっと仲良くなって、ということを輪廻方式で続けていて「もっと準備したから挑戦を始めよう」ということが、とてつもなく多い。

これは、先日ツイートしたら"まちづくり"分野だけではない様子だ。

1.問題は回避できないことを知る。
 いくら準備しても予期できないことは予期できないので、問題はいくでも発生する。これは一年間準備したから発生しなくなることもなく、沢山の資金があればあったなりの問題が、なかったらないなりの問題が、人材も沢山いればいたなりの問題が、いなければいないなりの問題が、さらに自然災害などの回避不能な問題が起きたりとか、"必ず"発生するんです。これを自分なりに準備して想定して、それぞれに対応策を練って、、、、なんてやっていたら「あーこんなに問題が起きそうだし、辞めよう」って話になる。そして、次なるネタを探しにさらなる勉強会を続けていく・・・・・となって、結局スタートしない。つまり、下手な考え休むに似たり。問題はいかなる時にも発生するものであって、それに対応していくしかないと知ることが大切だ。


2.最初の計画はほとんどムダになる。
 準備する時に入念な計画を策定しなくてはならないという幻想があるが、ある程度の発想をまとめてみることは有効だと思うが、プロジェクトのほとんどは、それがそのまま形になったり、成功したりすることはない。途中で軌道修正したり、ひょんなことで生まれたアイデアで根本から変わったりする。それでいいのだ。一歩踏み出したからこそ得られる情報、やってみたけむどうまくいかないから違うやり方をしてみる、それでいいのだ。だから始めずにずーっと計画を練りまくって完璧な資料を作って何も始めないのでは意味がない。リーンスタートアップとかはこの話ですね。


3.皆で考える前に自分で考える。
 このエントリーの前にも書いている主体的に考えることが大切なのに、人の意見とかを聞いたりしてばかりのワークショップとかで集合知に逃げていては「俺はこうしたい」という話にならない。いつまでもみーんなで出口のないアウトプットをまとめるしかない。何かを変えるってことは、まずは自分が決断することで、自分が当たりをつけて進むしかない。人の意見を聞くのはその後でいい。人の挑戦への意見なんてかなり無責任なものばかり。何より、自分で考え抜いたことって「やってみたくなる」。条件とかうんぬんではなく、居てもたってもいられなくなったりする。


4.始めてみるから楽しい。
 ずっと考えているだけだと、面白くない。やり始めてみると大変なこともあるが、やったことで「助かる」「問題が解決できた」とか反応がどんどん返ってくる。単に言ってるだけとは雲泥の差だ。この反応をもとに、多少の困難があっても突破してがんばろうという気持ちになっていく。さらによくしようと思える。どんどん楽しくなっていく。ずーっと準備をしていていつまでも始めないのでは、このようなことは起きない。逆に楽しくなかったら辞めたほうがいい。ちなみに楽しいというのは、アホホおほほ、的な楽しいではない。充実感があるということだ。


5.完璧はない。
 準備というのは何かやっているよう気にはなるけど、結局何もやっていないのと同じ。行動は多少なりとも改善に繋げていくことができる。完璧な成果はないし、失敗もしたりする。しかしその度に気づきがあってどんどん、取り組みで生み出すパフォーマンスを改善していくことができる。それが大切。最初から完璧にならなくてはならないと思う事自体が、挑戦の醍醐味を知らないとも言えるだろう。やってみて、それでどんどん変化していくしかない。小さなことから始めるのでもいいじゃないか。0ではないのだから。


ま、これは地味なことばかりやっている僕なりの意見だから、もっとセンスのある人はシャープなやり方をしているのかもしれない。ただもし「何かを始めたい」と思っているのであれば、それをまずは試してみることが大切であって、準備を入念にやって資料作ってプレゼンやって絶賛されるまで頑張るというのはやめたほうがいいと思う。

いつ始めるかを決めるのは条件ではなく、自分自身の覚悟。
「今日から始めよう」と決めてしまえば、結構あっけなく始められてしまったりもする。そこまで恐れず、構えずにまずはやってみよう。それが何より大切だと思う。

-------------------------

産官学を横断した全国のまちづくり関係者が購読中。
大学の教科書としても採用されている、

毎週木曜配信「エリア・イノベーション・レビュー」のお申込みはこちら。

-------------------------



ANIS2012参加報告-アジアが成長する中、我々は何を果たすべきか- (No.944)

去る6月13日から二泊三日で韓国ソウル市で開催された、Asia NGO Innovation Summit2012に参加してきた。三年前から始まった本サミットであるが、今回はさらにパワーアップした。その背景には、本サミットの主催者である韓国Hope Instituteの代表である朴氏がソウル市長になったということもあるだろうが、毎回の積み重ねで信用も拡大、協賛がIntelだけでなく、ロックフェラー財団や韓国内からも集まるようになってきたこともある。継続は力であると感じた。


Intelも拡大するアジア全体における市場立ち上がりに対して単に従来のようなB2Bでの展開だけでなく、財団やNGOと連携することでBOP市場に対する新たな展開も考えているようにも写った。そして人材開発などにも積極的にサポートしているのは、当然ハードだけでなく、サービスが多様に出てこないとハードの需要も拡大しないので、そういうのの鍵となる人材をどんどん育成していくということは合理的である。こういうのを、従来の商社とかとの展開できない活路を考えているのは、なかなか素晴らしいと思った。


これ以外にも、韓国中小企業庁と韓国における中心市街地活性化についての意見交換もさせて頂きましたが、まだまだこれからという感じではありました。なにより日本と同じで、国の認定で、市役所主体でやると「失敗が許されない」ということで、かなり硬直的な事業になってしまうというのは悩ましいところです。どこでもいっしょです。

だからもっと小さなまち会社を別に作ってやっていくというのもアリですよー、と我々の取り組みとかもご紹介しました。10月に市場博覧会が開催され、韓国全土から集まるらしいので、そこに参加することになりそうです。

今回のサミットで、アジアの若者たちは本当に優秀だし、アグレッシブ。非営利分野でも際立ちました。また、取り組み内容をきいていくと、結構国がかわれば社会課題が一緒だと、解決方法も似てくるのも面白く、今後は国内と海外ではなく、もっと広い視野で同じ取り組みという感じで連携していくことが有効であるとも思いました。

日本からも動きをしないとね!ということで、参加していた日本人でもこれから仲間を集めて、アジアにおける動きに得意なCommunity Development分野を中心に提案していこうということになりました。何より日本が貢献できることはもっと沢山あり、それがしいては日本にとってもプラスになると思います。

国内に閉じこもった地域活性化はもうやめましょう。
広く世界と通じた、新たな地域と向き合った事業の創出と連携こそが重要であると思います。

国内外関係なく、都市再生、地域再生に携わっていきたいと考え得させられた機会となりました。

まちごと自立するということ (No.911)

もう10年以上前の本ですが、年末にそうじしていて見つけてさくっと再読。学校に意味を見いだせなくなった中学生たちが、自分たちでネットを利用したビジネスを展開し、最後には北海道に集団移住して、行政自体も傘下に納めて、まちごと自立させてしまうという物語。

個人的に村上龍だけでなく小説はそんなに好きではないんだけれども、この本は高校生だったこともあって当時は興味深く読んだ記憶があります。

リアリティーだなんだよりも、現代社会の捉え方、常識に対する行動、さらに具体的に自分たちでビジネスを組み立てて、その経済力で地域まるごと自立させていき、独自に海外との関係も構築していくところは、今後の道州制を意識したり、誰がこの閉塞感を打開するか、ということを考える時には、今でも面白いと感じた。

自分が中学生側ではなく、この物語主人公側の見方もよく分かるようになっているのに、この10年の年月を感じる。

地域の自立を考える上で、軽く読める小説でもあるので、ぜひどうぞ。


新しい公共の勘違い、「勝手公共論」 (No.904)

昨今、新しい公共が叫ばれ、私もご縁あって円卓会議の時などは政策調査員として内閣官房のお手伝いを少しだけさせていただいたりしました。

私もまちづくりと言われる分野にカテゴライズされるので、色々な地域で取り組みされる方と多くお会いしますが、この新しい公共が勘違いされている場合があります。これまでの行政から民間に公共を担う人をより拡充するところまではいいのですが、それは公共性があるんだから、予算くれ、といつたような具合に結局は業務委託してくれ、補助金をくれ、といった具合の話になってしまう場合が結構多いわけです。

新しい公共は、従来公共=行政がやること、という既成概念を開放し、民間でできる公共は民間でやれるように規制緩和をしたり、寄付税制などを制度化して、これまで一方的に税金でお金が集められて、行政が決めたサービスだけを受けていたものを転換、国民自身が公共サービスを選択できるようにするところにあるわけです。

んがしかし、結局行政からそれをやるのにお金くれ、というのは古い公共になるわけです。もちろん行政がやらなくてはならない公共サービスもありますので、それはそれで合理化するのに民間がやるのはいいのですが、皆が勝手に「俺達の取り組みには公共性がある、だからくれ」というのを言い出したら、結局は今までの外郭団体にまいていた税金がスイッチするだけになってしまいます。

こういう公共論を私は「勝手公共論」と呼ぶことにしています。
自分勝手に公共があると言い出す。自分の取り組みに公共性があるんだというのはまぁいいとして、公共性があるんだから、行政がかねだす=税金を使う、のが当たり前だ、という考え方です。。そんなこと許したら、世の中の事業でなんでも一定の公共性はあるわけでして、それを理由に行政にどうにかしてもらおうというのは、お門違い、前時代的なわけです。

けど、こういう人は結構多い。地域で取り組みしてても結局はいいことやってる意識だけで、財源を税金にだけ求める。これは地域に必要なことだ。だから行政の支援なしにやる必要さえない、支援して当たり前だ。元々行政がやるべきことを俺達がやっているんだ、といった論法です。それが違うのです。そもそも公共=行政の仕事、というのが違うのです。

国を助けて、国に頼らず。

公共を自分たちで支える仕組みにしていくことこそ、新たな仕組みです。地方分権は国から地方へ公共サービスを移すのではなく、さらにもう一歩踏み込んで、住民などが自ら互いにやりあう形で共有する相互扶助のモデル(コモンズ)や、新たなNPOのサービスなどによってなされるように変更していく必要があります。

そもそも国は今の公共サービスレベルを今の税源モデルでは継続できません。

私たちの将来の公共は私達の手に委ねられている。
新しい公共はそういう自立の意識と行動から始まると思います。

"何か"を引き出すために「公共」という言葉を使うことはないようにしたいものです。


ANISに参加し、アジアにおけるソーシャル・イノベーションの取り組みから感じること (No.899)

2011/10/5-7で韓国出張をしてきました。AIAの国際連携を推進していただいている法政大学の保井先生からのお誘いもあり、チェジュ島で開催されたAsia NGO Innovation Summit(韓国のHope Instituteが事務局、Intelが協賛)に参加してきました。最終日朝一番でソウル市に移動、韓国中小企業庁のAgency for Traditional Market Administrationにお邪魔し日本のノウハウが韓国の中心市街地活性化に生かせるかどうかの打ち合わせもできました。こちらはまた別途報告いたします。

さて、ANISに参加し、アジア各国で様々な社会課題解決を目指して事業が生まれているのを感じました。何より公的な支援とかではなく、自らのイノベーションによって課題解決を目指すという切り口の議論だったので清々しく、エキサイティングな時間でした。朝から晩まで拙い英語力でしたが、アジア各国の人たちと互いの事業について話したり、今後起こすべき方法についても意見交換できたのは有意義でした。

各種スライドの抜粋写真とかは以下にupしています。


 


今回はまずテーマ別で都度、各国における先進的な事例をやっている本人が発表されるので大変刺激的でした。その上でワークショップを少人数チームに分かれてやる。日本ではソーシャル・イノベーションについては欧米に眼を向けることが多いですが、アジア各国でも様々な取り組みがなされているのを改めて実感しました。



都度ワークショップでこういう上記写真のような意見交換をしていましたが、Intelの社員も交わったりして、実施する上でのマネジメント、社会のガバナンス、突破すべき壁とイノベーションのあり方などについて活発な意見が出ました。実践している人間たちが話すのは実に実のあるものだと改めて感じました。

二日目にはフィールドワークで、チェジュ島におけるチェジュOlleの視察。もともとは公共事業で整備したウォーキングコースを今は地元のおばちゃんたちが手作業で修復し、その拠点を自分たちで管理運営、商品販売などを通じて収益を産み、それを整備に再投資していました。以下はその視察した際の写真です。





個人的には二日目の日中にやった、ICTを利用したソーシャル・イノベーションのあり方についてのワークショップが有意義でした。韓国で自分たちのまちの直した方がいい箇所をiPhoneアプリで提案しあって、それがまとまったら提言するという事業はかなり面白かったですね。ネット版のすぐやる課みたいなものです。ただすぐやる課とは違い、ネットで広く皆で同時進行で効率的に進み、ニーズの高いものから実現していく流れができているのは非常に面白い。しかもアプリ開発とかは有志でタダでやっているのだからそれもいまどき。日本でもまち会社とかで地元向けの意見収集方法としてやってみたいなと思わされました。(http://diycity.kr/)

一方NetHOPE(http://www.nethope.org/)のようながっつりインフラ作ったり、クラウドサービスを非営利組織に提供している団体ですが、そのオーストラリアチームの方面参加。ICTを活用することで大きく地域のあり方自体を変えていける可能性を感じたケースでした。インフラから自分たちで作ってしまって人々がネットで新たな社会形成をしていくのは革命的なことです。しかも日本のような先進国のようながっつりシステムできてしまっている国よりも新興国とかのほうが可能性もあるように感じました。

と、色々と気付かされる中で、日本のまちづくり分野はますますもってICTの利活用を進めようと思わされました。何より言語翻訳だけすればすぐに日本でも使えるものも多く、こういうのはグローバルに展開されるものだと改めて感じました。逆に日本から非営利分野のアプリ開発をもってやったほうがいいとも気づきされました。

ということで、AIAとしては新たなアプリ開発についてもより積極的に取り組もうと決めました。既に着手しているものがいくつかあるので、それを早急にローンチしたいと思います。

2日の目の夜には、オーストラリアでGlobal Learning Villageを経営しているメンバーやタイのメンバーなどとウォッカの部屋のみをしましたが、非常に楽しかったです。各国での取り組みの違いから、日本や各国に思うことを互いに意見交換できたのも、留学とかしたことがない私にとっては、あー色々な国の人と仕事することができれば、今以上に楽しいんだなと感じさせられました。やはり海外との連携はやりたいと思わされました。

また色々と恵まれない環境下でもしっかりと学び、社会で実践している人たちがいることは刺激にもなり、またこちらもそれ以上に努力しなけれてばならないと感じました。AIAのようなアライアンスモデルはまだ各国にもないようで、高く関心をもってくれたことは助かりました。ビジネススキームとその収益を確実な再投資につなげていくサイクルは、都市問題が発生するどの国にでも適応できると確信しました。

アジア各国からのソーシャル・イノベーションの起こりは今後ますます期待でき、新たな新字体の制度とかにも影響を与えると感じました。日本もレガシーにとらわれず、新たな時代に適応した社会のあり方をますます模索すべきと感じたところです。

簡単ですが以上報告です。

次は韓国におけるまちづくり政策についてまとめます。こちらはさらに収穫のある時間でした。ウォッカのみまくった後に五時起きでソウルに向かいましたが、本当に意味ありました。韓国における中心市街地活性化の取り組みはまさに今年が元年とのこと。我々の知識、経験は十分に役立つと感じたところです。


お金と社会課題解決を考えてみよう。 (No.878)

ちょいと地域活性化や商店街活性化のテーマど真ん中ではないですが、お金と社会課題解決について久々にブログ書いてみようかなと思います。地域課題も広義の意味で社会課題の一つでもありますからね。

かくいう、突如と飛んだ鳩山内閣で始まった「新しい公共円卓会議」の実務者側として参画していたのが昨年の今頃。これまで進むことの無かった、寄付優遇税制について円卓会議で提起され、さらに管内閣になって「新しい公共推進会議」となり、今国会審議が進み、5月までに結論が出ることになっています。私は有事の今こそ、何でも政治、行政に任せきりはしていられないと思うところです。彼らがやってきたことを、民間で工夫してできる仕組みを作っていくのには、彼らが意志決定はなければならない。自分が担っていたことを他人にも認めて権利独占を止める、という意志決定をするプロセスはなかなかもって難しいのだなと感じた一年でもありました。

しかしながら、確実に進んでいます。

社会課題解決にもお金はいります。私たちが生活するにもお金はいる。(ま、いらなくても生活はできる環境あると思いますけど)。ただ私たちは学校教育の中でお金の話なんてマトモにしたことないどころか、お金の話をすることを忌み嫌う傾向が強いのも現実。お金の問題をあまり語ると守銭奴のように思われるようなところもありますが、ただ現実として何かを変えて人が動いていくためにはお金を無視した理想論では解決しません。

ただ寄付税制をまつ以外の方法も提起されています。

■休眠口座の活用

共に円卓会議実務チームから参加している盟友フローレンス駒さんからは前から聞いていたけど、最近ちきりんさんとか色んな人がこのテーマを取り上げるようになった認知があがってきています。

今日は以下のような動画でその概要がわかりやすく紹介されています。


ま、使われなくなった口座に残ったお金を社会課題解決の原資にしようという話です。
貯蓄率は下がったとはいえ、バカにできない金額が休眠口座にあります。これを効果的に活用するという発想はアリです。海外でも既にケースはありますし、日本で考えもそんなに難しい話ではもありません。

こういうことでお金を回して社会課題解決するのに役立てていくことは有意義な話です。
金融庁マニュアルとかの責任なのかなんなのか知りませんが、地域金融機関などでも融資も出資もなかなか難しい昨今ですが、こういう仕組みで資金を活用してくれるといいなとは思います。地域再投資法とかまで踏み込まなくてもできることはあるなと思います。

そもそもお金預けている私たちがこういう声を支えていかないと、銀行の利益になって終わりです。役員報酬、給与、納税、配当にまわるということで、もう少しダイレクトに社会に出してもらう仕組みが欲しいと私は思います。


■コミュニティファンド/バンクの仕組み

また、寄付税制などの見直しを鑑みて各自治体でも地域内での公益財団を作り、地域課題解決を促進していこうという話も色々と持ち上がっているようです。昨日名古屋でお会いしたmomoの木村さんは、前々から資金出資者を集め、社会課題解決につながる団体に資金融資する仕組みを作っていますが、さらに発展させて地域内でファンド構想も考えられているとのことでした。


TAG index

ま、本来は銀行とかは預金集めて融資することで資金循環を作り出していたのですが、地域内では経済衰退による担保価値減少に準じて投融資額が減少傾向を続けてきています。なので地域で金を集めて、地域外の企業・証券・国債とかに投融資している場合が多いです。なおかつ担保を持っていないような社会課題解決なんて掲げているNPO法人とか会社とかには積極的に貸し出しがなかなかできない。

けど、貸してもらわないと経営が成り立たない。事業って手元資金を借りて資金繰りしないと回らないんですよね。一番わかりやすいのは、100万円で商品仕入れて、150万円値付けして商品売うとしても、この仕入れと販売までの資金を借りないと結局「僕のもってる資金だけでやりくりする」ということになってしまう。与信力がない人にとっては非常に苦しいわけです。

なので、momoのようなNPOバンクといったような仕組みができてきました。既に全国各地にあります。特に事業評価できないといけないので、実務者たちが内容審査したりして担保評価だけでなく、ビジネスモデル分析、運営実績、信頼関係も含めて貸し出ししていくという仕組みになります。通常金融システムでは貸し出してもらえない人たちへの貸し出しは、米国とかではアファーマティヴアクションの一貫として取り組まれていますが、日本は一億層中流的な思想で低所得者層や特定事業への投融資の促進策とかそういうのは政府系金融機関とかでしかないのが実態です。なので、上記のような地域での仕組みは重要。

んで、今後寄付税制とかが緩和、もしくは自治体とかもからめて地域内で公益財団を作り、それを「マンション型財団」として利用する策があると思います。

普通は財団といえば、アメリカの最近ならビルゲイツのような大金持ち、昔ならロックフェラーとかそんな莫大な財産を保有する人が作る者というイメージがあります。(私の勝手な偏見ですかね)

ただ、それとは別にコミュニティ財団という仕組みがアメリカにはあります。
これは、マンション型財団のようなもので、ビルゲイツほどお金持ちではないが、1000万円程度なら寄付できる、といった人が100人集まって作る。これだけで10億円。このお金を奨学金や補助金などの形で社会に還元していくという共同運営のような財団です。

財団を運営するにも色々な手間がかかります。だから個々人で財団作るのは資金的にもかなりの額が必要になる。だったら、管理人は共同で雇ってやったほうがいいじゃん、というのがマンション型財団の発想です。

私が死ぬ前に1000万円預けて、例えば財団管理経費20%の200万円は差し引いて800万円。「木下教育基金」みたいな感じで名前つけてもらって、50万円の奨学金を16人に配るとかできるわけです。額が大きくなればもっと色んなことができるでしょう。

そんな人が100人でも集まれば、160人の奨学金も作れるし、社会課題解決に取り組み始めた団体に補助や融資とかの原資にしてもらえる。

そんな仕組みも日本でできつつあります。

■まとめ

今年は大震災が起きてしまったことで、寄付が大きくクローズアップされる年となりました。

ただ寄付だけでなく、自分が持っているお金を有効に活用することで社会課題解決をしていくこともできる手段は沢山あるということです。まだまだ沢山あります。

地域活動でも江戸時代は、「労働力を出すか、もしくはお金を出すか」というルールが定められていたケースが多くあります。つまり地域や社会の課題は自分たちの課題。自分たちの手で解決するのが基本で、お金がなければ労働力、時間がなければお金といった形で互いに持ち寄って解決する。橋を架けるのも、お金無いけど力仕事ができる若者は労働力で協力し、お金がある人は資金を出して資材を買った。祭りでも、学校建設でも何度もそうでした。

せめて仕事で忙しく時間がない人も、体力はないけど資産はあるお年寄りの方々も、寄付と共に自分のお金の生かし方を考えてみませんか?実は色んな仕組みが出来つつある昨今です。


書評・駒崎弘樹著「社会を変える、お金の使い方」 (No.863)

あけましておめでとうございます。
私の自身の新年のご挨拶などについてはまた今日、明日にはさせて頂きます。

が、盟友・駒崎弘樹氏が新著をこのタイミングで出されていて書評を年内に書くといいながら年あけちゃったので、まずはこちらから。


世の中に「お金の稼ぎ方」について書いた本は数多ありますが、「お金の使い方」について書いた本はあまりないと思います。特にNPOへの寄付税制が改正されるこのタイミングにおいては重要なメッセージを多く含んでいる一冊です。

私は著者と鳩山政権下で発足した「新しい公共円卓会議」の事務局メンバーとして参画させてもらいました。さかのぼれば、NPO法人フローレンスの立ち上げ期には、私が代表を務めていた商店街ネットワークの役職を兼務し、共に事業開発をしてもらっていました。私もフローレンス最初のボードメンバーとして大したことはできませんでしたが参画したりと、なんだかんだで7年近くは一緒に動かせてもらっています。

そんな彼とは(確か)2003年に東京財団の研究予算をもらってアメリカのNPO調査に出かけました。そこには私たちが考えていた実態とは異なり、パフォーマンスにこだわり、サービスを通じて得る資金と共に、寄付を効率的に活用していることでさらなる寄付を集めるという連鎖を作り出していました。また、一つのオピニオンを世の中に示すためにお金を使う人たちを多くみました。つまり政府の方針と異なる、もしくは自分の考え方として新たな教育機会を展開している非営利組織・CityYearにおいても、この方法のただしさを世の中に示すためにパートナーたちは実働が出来ない場合には寄付を通じてそれを支援し、世の中のウネリとしていくことで、最後には連邦政府まで動かしていました。彼ら主催する「City Year SERVE-A-THON」に参加しましたが、大変な熱気で、一般人から民間企業、そして政府要人までが集まって動かしていました。この時のソーシャルサービスを軸にして、寄付金をあつめるファンドレイジングイベントということでもあったと思います。

 
■ボストンで参加した、City Year SERVE-A-THON

単に稼ぐということだけでなく、「どう使うか」をもう片輪とし、双方両輪として経営に生かしている非営利セクターの手法が私には強く印象に残っています。

そして今、我が国では税制改革をもって民間側で意思決定した寄付金が一定税額控除対象になっていくタイミングに私たちは立っています。これによって社会構造がより良い方向に持っていければ、中央還流をしなくても十分に社会的に機能する部分があることを示せると思います。

そのために「寄付」を自分たちが望む将来社会への投資、必要であるという社会システムを提供する団体への支持を表明する投票という側面を持っているという考え方を示す必要があります。社会起業は単にカリスマ的な個人だけで実現できるものではなく、むしろ全体の支持者全てのリソースを投入した大きな社会実験であり、それが定着するか否かということ。つまり皆が単なるサービス享受者として客観視するのではなく、自らも参画してもらう必要があるということです。さらに社会制度まで昇華していくためには、大きな運動論的な側面も必要になります。そのためにはまだまだ迫力が足りないのも事実。

私たちの新たな寄付税制も導入されたとしても、誰もこれまでの行動から変化を生み出し、寄付の方法に変更を生み出せなければ、「やはりこんな制度も政策も必要なかった。」ということになってしまう。全ての制度は私たちのアクションと結びついていることを考えなければならないのです。

本著は著者自身のNPO経営を通じて感じた問題意識と共に、これからの社会に対する挑戦状。そして、「お金の使い方」について、私たちに具体的な行動の変化を訴えた一冊です。この本は結論ではなく、これからの社会に対する新たな提言として受け止める必要があります。つまり読んで終わりでは全く意味がない。内容に賛同するのであれば、あなたも今日から共にアクションしますか?というメッセージが含まれています。

お金の使い方を少し変えてみる。2011年はそんな挑戦の1年に私もしたいと感じた一冊でした。ぜひ読んでいない方は一読をお勧めします。

※ちなみにこちらは地味ですが、まちづくりと経営の基礎について書いた拙著も昨年末に重版かかりました。皆様のおかげです。こちらも未読の方はどうぞ。ご感想やご質問等はtwitterでくださいませ。


NPOによるまちづくりソリューションとスケールアウト戦略 (No790)

今週末に高松市で日本計画行政学会の大会が開催されます。私も論文発表とワークショップを行うのですが、昨年からこの学会でまちづくりNPOのスケールアウト戦略と、既存のまちづくり組織(まちづくり会社、商店街など)との提携関係に関して研究報告をさせて頂いています。

スケールアウトとは、従来のスケールアップとは異なり自己組織の成長ではなく、自らのノウハウを他地域に横展開することによって成長を図る戦略です。非営利組織経営モデルとして近年大変注目を集めています。

私が今年からエグゼクティブ・アドバイザーを務めさせて頂いているNPO法人グリーンバード(http://www.greenbird.jp/)は、全国・世界に30支部を持つスケールアウト戦略をとるまちづくりNPOのひとつです。またもう1つ横展開に関するアドバイザーを務めさせて頂いているシブヤ大学(http://www.shibuya-univ.net/)もまた、コミュニティ大学のプログラムをシブヤ以外に京都、名古屋、そして札幌など全国各地にスケールアウトしている組織です。

これらの組織を通じても、単に複数地域に展開するだけでなく、各地域に既存のまちづくり組織とのパートナーシップは非常に重要な要素となっています。そのため実際にこれらNPOも落下傘のように展開しているのではなくねしっかりと地域内資源を発掘し、ノウハウを移植しながら回しています。

以前から商店街等にも話しているように、全ての事業を自前主義でやるのではなく、適宜アライアンスを締結してNPOの協力のもと進める方が良いということが多くあります。それはボランティアを集めるためとかではありません。既にNPOも成長してきて、それぞれがノウハウとネットワークを持ち、一朝一夕で同じことができない水準までサービスや実績を高めてきているところが多くあります。だからこそ彼らと手を結ぶのが適切です。

今後はこのようなケースが増加することからも、積極的にまちづくりNPOのスケールアウト推進を共に行っていきたいと思っています。そして既存の商店街やまちづくり会社との戦略的提携を促進していきたいと思います。

市民セクター経済における経団連の可能性 (No.763)

最近は雇用不安などの問題が指摘される昨今ですが、市民セクター経済の存在感って全くないものだなぁと感じてのコラムです。先日もNPO法人フローレンスの駒崎さんと新宿にてちょいと話していました。

というのも、市民セクター領域での経済活動は、協同組合などがこの一番顕著な例ですが、それなりに規模を持つモノも少なくありません。大学院の研究テーマでもあった生協などは、1組織で100万世帯以上の組合員を持つような組織もあり、事業高で1000億円以上の組織も複数存在しています。NPO法人はまだまだ走り出しで、数億から数十億でも前半くらいの事業高のところがほとんどです。しかしながら既に4万法人以上設立されています。

しかしながら、日本はやはり世界有数の経済大国であることもあってか、グローバルカンパニーなどが中心となる経団連などが強大な力を持つ一方で、なかなかこのような市民セクター経済界の持つ力は大きくありません。むしろ、このような市民セクター経済を国内経済において重要視する動きさえ無いと言っても過言ではないような状況かと思います。
と同時に、行政システムも完成度がそれなりに高いために、例えば市民セクターサービスへの税制控除などもなかなか進まない。

という環境的な問題はさておき、先日話していたのは、そもそも市民セクター経済の担い手側が団結して積極的な動きをとっているのか?という点でした。
市民セクター系は互いに独立心豊かなのはいい反面、業界全体をもり立て、社会的に必要性を高めていけるような内外に対して行うことが不足しているのではないか、ということです。

特定非営利活動法人に関する法律を成立させた世代も徐々に高齢化が進み、逆に若手のNPO関係者はそれらだけで固まってしまう。なおかつ、協同組合系など従来から取り組んできた人たちとの繋がりも希薄。

ということで、このあたりを打開していかないと、寄付税制の改正なども所詮は絵空事のままになってしまうのではないかという話でした。事実、公益法人改革が一つのチャンスのはずでしたが、結果的にはあまり市民セクター側からのアプローチは成果をあげきっていません。自分たちの地域に必要なサービスを自分たちの税金控除範囲で支えていくシステムができれば、あとは市民セクター側の経営努力に寄るところが大きいでしょう。今は東証のない経済のようなものです。

今後10年、20年先を見据えて市民セクター経済は何ができるのか。そのためには何が必要なのか。

これをしっかりと考え、団結を図る必要があるのではないか、と話していました。具体的にアクションを生み出していくべきだろうなと思います。

完遂力-コモングランドCEOザンヌ・ハガティ (No.743)

今日、先日も紹介していたもうつきあいが8年近くになるNPO法人Etic.の代表の宮城さんと事務局長の鈴木さんからのお誘いで、ロザンヌ・ハガティさんとの朝食会にご一緒しました。

コモングランドコミュニティ(Common Ground Community)に関しては有名なので詳細は調べていただければと思いますが、基本的にNYCの中心部タイムズスクエアが荒廃していた1990年代に、ホームレスのサポーティヴハウスを効率的に運営するビジネスモデルで大成功を納めたNPOです。現在は他地域にもブランチを展開し、そのソーシャルインパクトの大きさからも、米国におけるソーシャルベンチャーの代表例として多く取り上げられています。その発起人であり、CEOがロザンヌハガティさんです。
同NPOのキーポイントは超低コストでホームレスの住まい提供から社会復帰プログラムを実現したこと、タイムズスクエアの荒廃時の象徴的だったタイムズスクエアホテルを買収して復活させ周辺環境改善にも寄与したことだと私は思っています。

私は2004年の調査でタイムズスクエアのBIDである、タイムズスクエアアライアンス(Times square alliance)と共に、コモングランドにもインタビューに応じてもらいました。その際は特に水平展開(Replication)を推進しようとされていたので、そのセクションの担当者の方に色々と館内含めて案内してもらいました。非常に噂通りの衛生的なアパートメントで、600人以上が住んでいるということでインパクトの大きさを感じました。
またBIDであるタイムズスクエアアライアンスとの戦略的な提携関係が当初からあり、治安維持やホームレスが路上から現象することによる環境改善などの領域で大きな効果を生んでいったことは実に有効な提携関係モデルだとこの時に気づきました。

タイムズスクエアの地域再生 [2004年11月09日(火)]

さて、昨日話を聞いたところ04年にインタビューした水平展開は確実に広がっているとのことで、完遂力を非常に感じるところでした。この点は地域事業なども含めて社会事業全般において必要なのが、やり遂げる力-完遂力-であると感じます。ソーシャルアントレプレナーの資質的ところでもあろうかと思います。

つまりは困難な課題対しての対応事業を考える分析・構想力と共に、それをスケジュール感をもって確実に進めて成果をあげていく完遂力です。やはり着実に成果をあげていかないと、そもそも事業である意味がありませんが、それがなかなか難しいところでもあります。特にイベントなどは嫌でもその日をどうにかこなせば良いですが、事業は常に毎日、毎月コンスタントに進めていく必要があり、ちゃんと管理しないとズルズルとスケジュールがずれ込んで、結局できないということもあるわけです。

だからこそこのプロジェクトマネジメント能力ともいえる、完遂力が重要です。昨日コモングランドの進展を聞いていて、着実に04年に話している内容をさらに進化させている点に驚きます。

メーカーなどが去年と同じ製品を出していたら「なんだよ、それ」
と皆さんもおっしゃると言うかと思いますが、ソーシャルビジネスも同様で日々進化、成長していくことが求められます。このあたりの意識を変にソーシャルだからと言い訳にせず、プロジェクト成果に対して真摯に進める必要があります。

まちづくりにおいても、計画だけ沢山立てるのではなく、しっかりと構想したことを完遂可能かという戦略性を持って進めることが重要です。絵に描いた餅をいくら贅沢にしても意味がないですから、着実に成果をあげていくことが必須です。このあたりはやはりマネジメントの意識があるか否かにかかるな、と感じます。

それにしても、非常に有意義な朝食会でした。

calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
お問い合わせ
Podcast配信
まちづくりの経営力養成講座Podcastを始めました。ArtWork
この画像をiTunesにドラッグアンドドロップするとpodcastとして登録されます。今後の更新の際に自動的にコンテンツダウンロードがされるようになり、便利です。
recommend
recommend
recommend
recommend
Kindle Paperwhite(ニューモデル)
Kindle Paperwhite(ニューモデル) (JUGEMレビュー »)

木下も常用しているkindle。ニューモデルもでてさらに高性能化しているみたいですね。薄くて軽くてディスプレイがEinkで見やすいのがメリットかな。
recommend
まちづくり デッドライン
まちづくり デッドライン (JUGEMレビュー »)
木下 斉,広瀬 郁
2刷。リノベーションまちづくりを解説した本。過去に蓄積してきた遊休不動産などの資産を活用し、低価格でも利益がでる環境をまちなかに実現しよう。郊外でもネットでも無理な魅力ある経営環境を構築しろ。その方法論と全国各地の具体的事例を示した一冊。
recommend
まちづくりの「経営力」養成講座
まちづくりの「経営力」養成講座 (JUGEMレビュー »)
木下 斉
6刷。本ブログのテーマでもある、まちづくりを経営的に考えるための入門書。初めての単著本です。
selected entries
categories
archives
links
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM