中心市街地空洞化は市場の失敗なのか?-「見える手」で作る競争力-

本日、経済産業省において産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会合同会議の中間とりまとめが出されました。午前中は大学院だったため会自体には出席できなかったのですが、午後に経済産業省に行った際に資料を頂いて読ませて頂きました。

副題が「コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指して」ということで、コンセプトとしては柔らかな内容という印象を受けました。政策コンセプトとしては中々具体的なメッセージを出せないのかもしれませんね。企業のドメインの設定やミッションステートメントとしては中々ちょっと曖昧すぎてしまうかもしれませんが、政策の中身が複雑なので致し方ないと感じます。

さて、よく中心市街地空洞化の原因として指摘されるのが、政府が自由競争政策を導入することによって生まれた「市場の失敗」であるというものです。今回の会議でも、旧大店法による商業規制の撤廃から、新まちづくり3法が全く機能せず、実質的に無規制の環境にあることで、無作為な店舗開発をコストの安い郊外で引き起こし、結果的に商圏内におけるオーバーストア環境を作り出してしまった。そして、規模的に弱小にある中心市街地商店は苦境に立たされてしまったという話です。

よく言われる「市場の失敗」ですが、私は(政治経済学部出身ですが政治学科専攻だったので)経済学には明るくないので、高校の社会で出てきたような内容ですが、おさらいすると、「市場の失敗 (しじょうのしっぱい) は、市場において資源配分に非効率性が発生すること、またその非効率性を指す。」とあります。つまりは、「神の見えざる手」ではうまく行かない市場が存在するということなんですよね。これらが発生する状態などは

* 独占の存在や自然独占の傾向
* 公共財市場
* 外部性の存在
* 情報の非対称性が顕著である市場
* 不完備市場
* 失業および他のマクロ経済的攪乱

というのが指摘されます。特に公共財・準公共財の話や、情報の非対称性の問題はよく言われます。このような定義を元に、中心市街地活性化での市場の失敗とはなんなのか?ということを考えますと、負の外部性の存在が一つにはあるのかと思います。郊外開発を行うという経済主体の影響が、中心市街地に対して外部不経済性を作り出しているという考え方ですよね。双方に契約関係は全くないわけですが、中心市街地からヒトがいなくなることによって、中小の経済主体が負の影響をどうしても受けざるをえないという点ですよね。けど良く分からないので、その他経済学専攻の友人とかにも意見もらいたいなぁと思ったりします。。

どらにしても市場の失敗、つまりは競争原理が効果的に発揮されないから、資源配分に非効率性が発生している状況を指しているわけですよね。となると、中心市街地空洞化が市場において資源配分が非効率なのかどうか、という点が焦点になるのかと思うのですが、一般的な商業的な話でいれば、中々そうとは言い切れないかと思います。特に大手グループのような、いわゆる垂直統合が進んだ組織が市場で効率よく大量販売を行っているから市場優位性が発揮され、顧客はより安い価格でよりよい商品を手にとることが出来ます。

となると、恐らく中心市街地議論で言われるべきのは、公共財市場的な意味合い、つまりは商業を越えた都市機能としての問題定義だけに集約されるものと思います。例えば購買活動が郊外店まで行くことができない消費者にとって郊外店だけに集約されるのは、公共的側面から問題があり、「購買機会の提供機能」を公共財として位置づけて考えるのかな、と思ったりします。

このような議論していても仕方ないのですが、よく市場の失敗と言われることなのですが、果たして、競争を促進する政策自体が誤りだったのでしょうか。また競争に負けたことで引き起こされた問題を元に戻すやり方だけで成功するのか、という点に関しては少し自分なりに疑問視しております。おきてしまった環境を規制などである程度整理をつける必要はあるのかもしれませんが、根本的な問題は長らく規制の壁だけで市場優位性を持っていた中心市街地側の脆弱な小売の競争力にもあったとも考えられます。つまり、どのようにして郊外などの乱立開発を規制するかと共に、中心市街地の商業集積自体の競争力をどのように高めて行くか、という課題も等しく問われるということだと認識しています。

ということで、郊外と中心市街地の抱える、資金面での差やエリアプランド(地価やプレミアムショップの出店)での差、交通面での差、コスト(面積あたりのインフラのランニングコスト)の差を、どのように埋めてゆくのか、ということも真剣に考えられてよいと思っています。それがTMOなどのタウンマネジメント機関にもとめられるパフォーマンスであると考えています。
自分自身が関わる事業は全て、このような視点から会社作ったりして具体的な支援を仲間と共に実現していっているというところです。

日本の小売を取り巻く環境については、個人的に賛同できる内容としてマッキンゼーのレポートが結構細かく分析しているので、読んでみてください。私としては、このような競争力の差をいかに埋めてゆくのかという前向きな視点こそが中心市街地の再生に寄与するものだと思っています。政府による規制という「見える手」で守られていた中小商業集積が、自由競争になった時に「見えざる手」によって崩壊させられた。今度は、自らの「見える手」よって、大手商業流通の用いる「見える手」に如何に対抗するか、が問われていると思っています。ちょっと纏め方は、大学院の授業の影響を受けていますが、本当にそのように思います。

【参考web】
■参考:wikipedia「市場の失敗」
■マッキンゼー日本法人レポート「日本経済成長の阻害要因-ケーススタディ小売-」(PDFファイル形式)

■後記
マッキンゼー日本法人のレポートを今回使いましたが、知っている方から米国マッキンゼーが出したNPOのFederationの状況などに関するレポートを頂いていたので、それを読んでの感想も近々書きたいと思っています。海外ではコンサルティングファームも非営利組織向けコンサルの組織をグループ内で抱えているんですよねぇ。残念ながらまだまだ日本ではそのような動きはないようです。

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経産省事業調査で出来た全く報告書ぽっくないレポート。細かなケースをきれいな写真とインタビュー記事を中心でまとめている。私も湯布院・安心院・長湯や北海道グリーンファンドなどいくつかのケース原稿を書きました。値段からは想像できない凝縮された中身の一冊。
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