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教育とは非連続の「シゴト」をする。 (No.994)

宇佐美さんが「高学歴・高キャリア」の人たちの仕事の偏りみたいな話を昨日のブログで取り上げていて、その中で怪物呼ばわりされている僕なりのわずかながらのご意見を。



【教育の延長線にある、大組織と専門職というシゴト】
冒頭にある「自分で商売やっている人少ない」っていうのは僕の出身大学学部周辺でも同じですね。私学でもそんなんだから、東大なんていっちまったら、マトモな人からすれば、対象とする仕事の選択肢って狭まっていくのだろうとは思います。高学歴だから選択肢が広がるっていうのは、下から上まで狙えるって意味だけど、普通だとわざわざ下を狙う人はいないわけですからね。

学生時代は偏差値(成績)を示す学校名、社会人になったら実績を示す、肩書と報酬。

置き換わっただけで、基本的には同じような評価軸で考えている人が多いと思うんですね。少なくとも延長線的に考えている人は多いかと。だから「東大出たのに、なんであんな仕事しているの?」みたいな話や「あんな大企業にいたのに辞めて自分でホソボソ商売するなんてもったいない」みたいなステータス評価でみている感じがします。

成績がよければ、受験の時により上のランクの学校に進学できる。組織の中でも実績をあげて報酬もらっていれば、その実績で次なる上の大組織へ行ったり、大組織内で肩書をもらったりする。こんな感じで僕らは一定の既定路線のヒエラルキーの中でのポジショニングを奪いあいながら、経済を動かし、生活基盤を形成しているのですよね。ま、皆がこれが評価軸だとおもっている時点で、これはこれで人間社会の一つの事実でもあります。

だから、高学歴だからこそ、自分で商売始めて稼ぐことで予見される不確実な評価より、自分がこういうヒエラルキーの中でできるだけ上のランクに所属することによって見られる確実性の高そうな評価のほうがよいと考えるのも当然ではありますね。

確かに個人で市場と向き合うと組織というアブソーバーというか自分が組み込まれている組織内のポートフォリオがないので、沢山働いて労働時間バリバリ増加させて頑張ろうと成果がでないものはマイナスが直接くるし、組織が何か努力を評価担保していくれるということはないです。だからこそ、反応が直でわかるし、緊張感がでて、いいものができたりすると思っています。ただ、それは1つ転べば破綻するかもしれないという意味ではリスクです。ま、だからそのリスクを今度はできるだけ担保しながら挑戦する方法を知恵を出し始めていきます。けど、それでも勝負をしなければ成長もないので常にリソースを投資しなければならない。失敗しないのでは成長せず、死なない程度の失敗を常にするだけの勝負はし続けなくてはなりません。けど、それが成長の源泉なんですよね。

大組織は逆にそういうのを大きな器で担保してくれますが、それだけ市場に対しては鈍感になったりします。ま、そうではない大組織もあるのかもしれませんが、僕が仕事したことがある世界的な大企業というのは、非常に鈍感で保守的でした。失敗しない方法を皆が気にして、人事にびくびくしている感じの割に、報酬だの社会保障だの休暇規定だのばかり気にしている。

ま、組織がひっくり返らなければいいわけですが、多くの人は組織が潰れるより個人でやる失敗のリスクの方が大きいと思っていますし、これまでは確かにそうだったでしょう。けど、最近は組織が崩壊した時に、もう他の組織では評価されない人材になってしまうこともありますしね。どっちがどっちでもないでしょう、人生のその時々で選択は変わってもよいでしょう。けど、常に教育の延長線にあるような仕事の選択肢だけではないというオルタナティブが常にあるという考え方は大切だと思います。


【教育に携わる人たちのリスク認識】
僕も経験してきた日本の教育って、宇佐美さんが言われているように、「リスクをいかに回避して、安全地帯にいくのか」という訓練であると思います。設定された問題を迅速かつ確実に回答していくわけですし、解けない問題は後回しにしていく判断力が求められる。さらに、集団生活の中でルールを大切にし、それを率先して守る人が評価される。

僕が高校3年で僕が商店街の共同出資会社の社長やるって時も一番反対というか心配をしていたのは、知り合いの大学の先生でした。「折角、早稲田の付属に入ったんだから、そのまま大学に進学すれば普通に就職できるのに、変なことやったらキャリアに傷がついて仕事がなくなる」と言われました。ま、僕のことを大事に思ってくれてのアドバイスではあったと思います。

けど、確かに市場に直接手を突っ込む仕事を自分でやってみて、事業でも失敗続きで、その業績を理由に株主との問題などを抱えたりと苦労したけど、ま、それを上回るほど楽しいこと得るものも当然あり、仕事ってそういうことであると経験しました。早いうちにこういう経験できたことの多くは今の自分の仕事の仕方に生きています。


【高校の時に市場に出て触れることができたシゴト観】
高校3年の時に事業に挑戦してみようと思ったのは、高校1年の時に自分で関心もって自分で連絡して、早稲田商店会の活動に参加してみたことがキッカケでした。そこで、出会った人たちが本当に多様で、世の中にはこんなに沢山の仕事があって、沢山の社長がいるのだということを知ったんですよね。

それが当時の高校1年とかの僕にとっては衝撃だったんですよね。

高校1年生とかが普通に生活していた触れられる仕事って本当にわずかで、自分が利用しているプロダクトとか、テレビとか新聞とかなんかすごいわずかなものしかないんですよね。けど、市場って本当に多様で、飲食店や小売店から始まって、環境機器をつくってる人もいれば、システム開発してる人もいるし、不動産やっている人もいるし、建築やっている人もいる、中央官庁から自治体職員、シンクタンク、マスコミ、そして海外の様々なビジネスやっている人、国際機関の人、などなど、なんか書ききれないほどに本当に色々なことで飯くってる人たちがいるというのは、僕にとって世界観が一気に変わった経験でした。

その中でやっぱり一番面白いのは、自分で事業を始めている人ですね。
いいおじさんなのに「これはこういう課題を解決できるんだ」とか「こういうので世の中こうしたい」とかすごい楽しそうに商品とかサービスを見せてくれてプレゼンしてくれるんですよね。きっといろいろと大変だろうに、けどやりたいことがあって、それを仕事にしているという話はとっても面白かったです。

キャリア教育とかやっている先生でも自分が就活一つやったことない人もいたりするわけで、自分の人生は自分で学校の外に出て触れて、挑戦した中からその時その時選択していけばいいんだと思わされました。それだけ誰かに指導されるようなほどシンプルではないと。

だから、高校3年で自分で事業をやってみるチャンスをもらったらやってみようと思うのは、それほど突飛な話でもなかったんです。いろんな人がいろんな仕事やっているから、自分もチャンスがあるならやってみたいなという感じだったんですよね。


【評価だけでなく、動機も大切】
冒頭で話したのは、社会における評価をいかに最大化するかという点で教育過程とその先にある就職先での仕事というのは一緒、というのとは別で、僕は結構、動機って大切だと思うんですよね。評価にそった合理的に行動するというのも一つだけど、それとは関係なく動機で動くってのも人間として意味があるのではないかと。

まぁ僕は単に昔から衝動を抑えられないところがありまして、普通に我慢ができない人間なんです。小学生の頃からこれだと思ったらやらないではいられない、変だなと思うことは相手関係なくいってしまうし。。。あとは勝手な自負を持ちやすくて、これは自分がやらなくてはならない、とかそう思うとついつい熱くなってしまうのです。

自分が知ってしまった問題の解決にあたるとか、こういうことやってみたいと気づいたことをやってみるというような、自分のやれることを伸ばして仕事にしてみるとか、そういう自分なりの動機でやってみるのは良いと思うし、学生とか若いうちにこそどんどんチャレンジして、自分なりの仕事の作り方を考えて欲しい。

商店街で事業つくって地元に経済的成果を生み出して、そこからフィーをとるなんてビジネスは、元々僕がやり始めた頃は存在しなかったし、未だマイナーではありますし、皆から無理だと言われ続けてきましたが、10年くらいやってると試行錯誤づつけているうちにできたりするんですよね。

とはいえ、それだけ継続できるだけの動機が必要だと思います。笑 執念と申しましょうか。

不思議なもんで、こういう仕事をやり続けていると、幸いに様々な組織で働く機会を頂いたりもするんですよね。実際に僕も学部の頃から大企業、中小企業、財団、役所とかから仕事もらったり、大学院以降は社員にしてもらったり、デスクもらって色々なプロジェクトとかもさせてもらいました。そのままそんな仕事するってのも道としてあるかなと思ったことも大学院の時とかありました。

けど、やっぱり自分でできることを考え、直接的に自分軸で世の中で仕事にしていくというのは、普通に楽しいんですよね。やめられません。


【市場と教育を往復すると役立つことも】
高校、大学、大学院と常に仕事をしながら学校に通っていたので、市場と向き合って感じる自分能力や知識の至らなさとかを意識するんですよね。
それに基づいて、地方行政や政治学学びたいと思って政治学専攻したり、やはり戦略や組織・マーケ・会計とかの基礎知識を仕事に生かしたいなと大学院では経営学専攻をするのに一橋を選択してみたりしました。
高校の時も企画書とか実践している内容の体系化とかが苦手だったから論文指導とか先生にしてもらったりと、相互に行き来しながらとても僕にとっては意義深い生活ができました。レポートが得意になったことで、学生時代は仕事の中で、やはり海外のまちづくり事業を調べたいと思った資金とかは懸賞論文とか調査研究企画を出して、それでいってレポートまとめたりしていましたし。

まぁ実社会の市場と断絶しているのが教育ってそういうもんだよね、と割りきって、自分なりに使い方を考えた方がいいと思うんですよね。先生に評価されようとか、成績がうんぬんとかの価値観に飲まれるのではなく、自分のやっていることにどんどん使ってみると、それはそれで便利だったりします。


【既存のシゴトだけが選択肢ではない】
最近ボクのところにくる学生さんとかは、まちづくりやりたい=公務員とかシンクタンクで勉強して、みたいな人が多かったりするんですが、決して今ある仕事から選ぶだけが道じゃないんですよね。ハローワーク的に「ある仕事から選ぶ」みたいな話じゃない道もあるのだと知ってほしいです。

あと、学生さんの中には就職してからしか仕事ができないと思い込んでるのも不思議。
学生だって仕事を自分で作ることもできるんですよ。商品サービス提供して対価を受け取ることに罪悪感をもっている学生が結構多いんですが(まぁこれも教育で現なま取り扱うとかタブー視されているところに問題あると思いますが)、やってみると楽しくてバリバリやり始めたりします。


変なバイトするより学びあると思うんですよね、バイトって仕組みの中でルール評価されるスタイルなわけじゃないですが、けど自分で仕事つくるのはその枠組自体を作ることなので、全然違う経験できるんですよね。それが大切だと。

人生いろいろ! ってことで、従来の王道以外にも色々と仕事して飯くったり、今「なにやってんの?」と言われて職種を即答できない仕事をするって選択肢があることも、ぜひ多くの若い人たちにも知ってほしいっすね。

ま、つまり何でもありなんすよねー。いい悪いはなく、どれも可能性の一つなのだと気づいた欲しい。

<参考>
そうそう、過去の学歴やキャリアの延長線とかではないという意味では、スピークの林さんとかも面白いです。個人的にもちょいちょいお会いしますが、以下のインタビューで細かく整理されているので、ぜひどうぞ。



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