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プレミアム商品券の構造的問題 (No.1019)

緊急経済対策が3.1兆円となって、その内訳で自治体が自由に使える交付金が4200億円で、その活用事例が「プレミアム商品券」だそうな・・・。麻生政権末期の巨額補正を思い出します。ってプレミアム商品券ってなんなの?という方もいるかもしれないので、少し解説をしたいと思います。

◯補正予算規模3・1兆円に…目玉は商品券支援
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141226-OYT1T50066.html

プレミアム商品券とは、1万円で購入した商品券に税金で20%分とかを上乗せ(プレミアムをつけて)して、1.2万円とかで商品購入ができるようになる商品券事業のことです。つまり消費者的には1万円で1.2万円分買い物ができる商品券が売り出されるということです。ま、結果的に税金なんで消費者が皆で負担をしているわけですけど。

経済対策に向いているのは、2つの要素があります。

まず、商品券自体は売れます。
そりゃ1万円で1.2万円のものが買えるわけですから、相当に変なところでしか使えない商品券でない限り売れます。普段1万円でかっているものを実質的に2割引で買えるみたいなものですからね。これで売れないとかいってたら相当に変な店しか利用範囲にしていないわけです。(ま、ここの矛盾については後に述べます)

もう1つは、分かりやすい経済効果をうたえます。
以下の様な説明ができるからです。過去のプレミアム商品券の経済効果をうたっている鳥取市の資料です。

◯プレミアム付き商品券発行事業(第1弾)の経済波及効果について【鳥取市】

このような形で経済効果をうたえますが。経済効果なんて胡散臭い話であって、いつも購入していものをほれ!この時期にと1.2万円分購入したら、その後は買い控えになるわけです。実需そのものを喚起するような商品サービス自体があるわけではなくて、普段の経済活動の中でプレミアム商品券で需要を食うだけなので、実施経済的には落ち込みも出るわけです。普段かっている店で1.2万円分を1万円で買うけど、その後は多少割高に感じてしまう部分もあるわけで・・・。が、経済効果はそういうプラスマスナスはしなくていいという概念なので、この予算でこれだけの経済効果!!とうたえるので、理論武装しやすいというところです。

問題点はいくつもあります。

まず商店街や商工会でのプレミアム商品券販売は、手作業でやっていたりして、運用費がかかります。つまり各お店のそのまま当然プレミアム部まで全額支払わるわけでなかったりします。ま、場合によっては別予算で事務局運営費を充てる場合もあったりしますが、つまりは実際には予算額の一部は手数料になってしまうということ。ココらへんはもっと効率的に普通に全国共通商品券とかでの対応がよいのでしょうが、まぁそういうことすると地元から顰蹙くらうから基本は地元経済団体を基盤とした配布方法になるんですよね。

さらには、商品券自体をしっかり売るためには、様々な店で使えるようにしなくてはならない→店舗面積で売上が決まるため、大型店量販店が当然ながら優位にたつので、消費刺激にはなるけど、商店街活性化の文脈は形骸化してしまったりします。つまり使いやすくすればするほど市場原理が働くので当然皆が使いたいところで使う。となると、それは衰退しているエリアの商店街ではないという悲しい事実もあります。なのになぜか一石二鳥的な説明をする人もいます。ここは割り切ったほうがよいですよね。

最後に、不正の問題です。
商店街内でのプレミアム商品券なので、内輪で回して2割をかすめ取るという不正が起きていることが実しやかにあったりします。あるところではそれが問題になっていたり。つまり、1.2万円の商品券をかって自分の店で使って換金してしまえば、粗利+2割のプレミアムは手元に残るという錬金術です。まぁ最近は厳しくなっているのでやりにくいでしょうが、まぁこういうこともあるということで監視コストまでかけなくてはならないということでもあります。

まぁ給付金だと振り込まれるまで誰もお金使わない、そのまま預金とかになってしまうという問題があるから商品券なのでしょうが、各自治体が従来のプレミアム商品券のモデルをやるべきか、と言われれば、違うんじゃないかなとは思うんですよね。カンフル剤にしかならない+その後に負の経済効果もある+運営費なども付随してかかる、というあたりを考慮してできるだけ効率化を図る程度しかないんでしょうね。

本当はこんなカンフル剤ではなく、地域内経済として新たな事業開発と向き合わなくては安定雇用などにもつながらないのですが、まぁそういう気長な話ではないということなんでしょうが、こういうのを繰り返せば繰り返すほどにプレミアム率を上げていったりしなくてはならず、ますます地域商業などは実態と乖離てしまって疲弊していく現実があるのも悲しいところです。

◯リアルな地方創生は、補助金に頼らない【東洋経済オンライン・木下斉】
http://toyokeizai.net/articles/-/56603

以下のレポートも初期のプレミアム商品券の動向を取り扱ったレポートとして興味深かったですので、ご関心ある方はどうぞ。

◯「プレミアム商品券」施策に表れる消費者のしたたかさ【山本泰弘
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