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阪神淡路大震災後の再開発問題は、縮小社会の都市すべてが見習うべき。 (No.1021)

阪神淡路大震災から20年が経過しました。
当時、私は小学校6年生。学校のテレビであの状況をみて戦慄したのをしっかりと覚えています。その3月には地下鉄サリン事件。少なくとも僕らの世代にとっては、その後の人生を考える上でとても重要な影響を与えた出来事の一つであると思います。

阪神淡路大震災から学ぶべきことは防災だけでなく、実はその後の復興事業における、特に新長田における再開発の現状は、縮小とし社会すべてが見習うべき要素が沢山あります。

どうしても震災復興事業は特殊ケースであると考えられがちですが、そんなことはなく、ある一定エリアを巨額の公共投資で再開発するとどういう変化が起こるか。そして高度経済成長期でもない現状において、一気に容積を増していくことで、その中の事業者はどのような境遇に立たされるのか。さらに一度作ってしまった過大投資施設はもはや回復はそう簡単にはできず、計画を根本から変更し、運営自体もリスタートさせない限り財務的にもたなくなってしまうという状況を生みます。

初期投資が大きければ大きいほどにその歪が大きい。過去の成長を前提とした都市開発のある意味では凝縮体であり、その結果招いた様々な問題もとれだれの規模と内容になっているのが新長田であると思っています。

私自身は高校3年の時に関わった早稲田商店会が、まさにこの新長田の大正筋商店街、そして復興期のアスタきらめき会との連携をしていたため、まだ再開発施設のすべてが建設される前の建築制限がかかった状態から色々とお話しを聞いてきました。まちびらきをして、、、、しかしそこからは計画とは乖離した現実が生まれていたのです。

その内容は以下のtogetterで読んでいただければわかります。

◯東日本大震災に阪神淡路大震災の教訓を活かす。
神戸市新長田・大正筋商店街振興組合の伊東理事長による、18年間の復興事業の経過と現実。
http://togetter.com/li/457056

重要なのは、市場には競争があり一気に容積を増加させることは競争が激しくなることを意味する。だから既存事業者には業態そのものを変えたりしなければならないという前提を認識してもらわなくてはならないのに、「大きく綺麗になれば商売が伸びる」というような説明をプランナーがするという欺瞞なのか、経済論理の無視をして進めてしまう。
建物に係る様々なファシリティコストについても、その按分割合やマネジメント方法について、管理会社に完全委託してしまって、不透明な管理が行われたまま、コスト高を容認しなくてはならないような状況に陥ってしまう。
さらに店舗兼民家で経営していたような低利用商業地をいきなり高度利用に切り替えて、施設を立派にして自宅と店舗を分離してあげるというような一見すれば親切な事業も、実はその後の運営をみれば、固定資産税も水道光熱費もすべてのコストが二重になり、それらのコストを店舗経営から稼ぎ出せるかといえば、そんなに簡単にはならない。
さらに土地建物の価値が劣化していくという、資産劣化時代においては、各店舗の事業計画はむしろ上モノでの事業によって生み出す利益は昭和の時代より大きくしないと採算がとれなくなる。10年で5000万円かかって整備した商業店舗の担保価値はほぼゼロになってしまったりする。毎年500万円ずつドブに捨てたようなもの。つまり、この500万円分も稼がないと、トータルでの黒字にならないという構造は、かつての開発手法では全く認識されてきていない。

そしてこの開発計画をある意味で強権的に指揮した管理職世代は20年が経過して、ほぼ役所にもいなくなってしまった。そして、まちからも多くの方々がいなくなってしまいました。残ったものはなんだったのか、我々にできるのはそれはこのプロセスから学び、今後の日本社会における都市開発に対する考え方を180度変えることであると思う。

地方創生においても地方で様々な開発事業を目論んでいる人が多くいるが、それは未来に負債を残すことがあっても、未来に投資可能な資本を残すことにならないのではないだろうか。地方にいる現役世代が逃げ切るための予算として地方創生事業などを使われたら、ますます若者は将来その地域からいなくなるだろう。そのあたりしっかり考えなおしていただきたい。

様々な問題は、実は縮小社会における地方都市再開発で、その影響の大小はあれど発生しています。そして、その影響の規模と内容からして、学ぶことがあまりに多いのが新長田の再開発と言えます。

いつも大正筋の伊東さんとお話しすると、そのような状況でも店を続け、明るく取り組みを続けられていることに敬服するほかありません。
 
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