2/13(土)21:00より、ちきりんさんとネットで地方に関するトーク配信します。

ブロガーとして有名なちきりんさんと2/13(土)21:00より地方に関するトーク配信をすることになりましたー! 

昨年、東京FMの番組などにお邪魔しつつ、お知り合いになりました。
その後も、色々とお話をさせていただく中で、やはり地方の話はもっと色々な人にも伝えていくべきだね! ということになりまして、トーク配信をすることにしました!

といっても、お初の試み。当日なんかトラブルとかもありそうですがw、まぁひとまずやってみようという挑戦ネタでございます。

ちきりんさんのブログは以下です。トーク配信についての予告も書かれているので、ぜひ事前に読んでください。紹介されている地域に関連する過去のエントリーもぜひ読んでくださいね。


ちきりんさんの本はこちら。一冊も読んだことない人はぜひ一冊くらいは読んでおくと、よいかなと。自分の頭で考えよう、とか入門本としてよいと思います。

基本的にメディアが流す「美しい地方の頑張り」みたいな話をマトモに信じちゃいけないよ、ってあたりです。都市がダメで地方がいいわけでもなく、地方がダメで都市だけがいいってわけでもないわけで、そのあたりは両面みなくてはならないです。特に、地方が衰退している状況においては、やはり今のガバナンスを握っている人たちに多少なりとも問題は多々ありまして、だからこそそこをしっかり理解した上で地方でビジネスしたり、移住したりしたほうがいいよと思うところです。

この世に安易な楽園なんて存在せず、自分なりに考えていく情報の適切な判断能力が必要になります。

50人の移住があっても、50人が自然減となり、さらに50人が流出すれば、人口は100人減っていきます。だから減ることを悲観することも、逆に多少の誤差のような移住数で「成功した」とかいっても意味はないわけで、重要なのは現象に合わせて行政もスリム化し、破綻しないように経営していけるのか、というあたりだったりします。この話はいつも木下はしていますが、未だなかなか伝わらないんですよね。

もう2年前にもなりますが、以下のエントリーは読んどいてください。

消滅可能性都市のウソ。消えるのは、地方ではなく「地方自治体」である。 (No.1016)

このあたり過去の失敗を若者が地方にきて解決してくれる、なんて都合のよい考えをもっている政治行政分野の方々も少なからず存在しており、そこにおいてその若者の中長期のキャリアとかは完全に無視しています。当座の流入増加が達成されれば、今のセクションにいる自分が評価されるからOKという話が、それほど悪いことだともなんだとも思わずやっているわけです。

多少の給料を国からの交付金を自治体が活用し、3年の時限という期限付き雇用のモデルで若者を雇い、移住してもらって、さらに地域課題まで解決してもらうという都合のよい狙いの「地域おこし協力隊」なんてものも同様です。期限なし正規雇用でやってきた地元の行政マンはそのままに、移住の数字を稼ぎ、課題も解決してもらうなんて都合のよいことを、期限付き雇用の若者に押し付けるなんてこと自体が変な話です。解決する能力のない人のほうが、解決を期待されている人より高いという矛盾もそこにあります。

なぜ地域おこし協力隊は派遣先で困るのか。5つの改善策 (No.1029)

しかも3年間のキャリアロスをし、しかもその間やっていたのが、閉鎖直前の集落の見守りとかだったとしたら、ますますもってその後の転職とか考えた時にも結構なダメージになるわけです。若いころの3年間ってとんでもなく大きな差になる時間であって、ここを真剣に考えないといけないわけですが、なかなかそういう募集にもなっていません。

この国は当座の数字をどうにかするため、過去の失敗を何か新しい施策によって取り繕うために、「若い人」の時間や、時に命さえも犠牲にすることが、社会正義あるいは美談のように語られたりします。地方創生はまさに「失敗の本質」のケーススタディとして後に回顧されることになると思います。

あ、失敗の本質読んだことなければぜひ読んてくださいね。本ブログの必読書の一つです。

「失敗の本質」

ということで、トーク配信では18年ほど商店街などかなーり地方でも政治や行政と絡みつき、しかも私利私欲が前に出てくる業界でやってきた中からの語りをさせて頂きますw ま、お前がみてきたのはあまりにグロい世界すぎて、それは地方じゃねーぞ、とか言われそうですが、私にとってはそう見えていて、その中で古今奮闘し、仲間をみつけて事業をやってきているというところもまた地方の一面でもありますので。笑

ということで、なんか真面目に書いてしまいましたが、当日は基本的に面白おかしくやっていきたいと思いますので、よろしくおねがいいたしますー! 

ほんまでっかラジオみたいなもんですね。笑

地域で事業と政策を仕掛ける人が読むべき20冊(2015年版)

一昨年はやったんですが、ちょっと去年は更新できなかった、読むべき20冊シリーズ。
2015年もいよいよ年の瀬ということで、upいたします。多少でも皆様のお役に立てばと思います。

◯ 学習と実践のリンクの重要性
推薦図書一覧に進む前に、ちょいとウンチクです。笑

地域における取り組みを進めていく上で重要なのは、「学習」と「実践」のリンク、そしてそこから体系的理解への昇華にあると思っています。現場で何か事業を推進する際に、一定の知識は必要になります。

それは直接的に事業に役立つノウハウということではなく、社会構造的な問題の認知であったり、実際の目に見えない経済的な財の交換プロセスを頭で把握する知識であったり、初めて出くわす問題を自分で整理して解決策を検討する論理的な思考方法であったりします。

それらを学ぶ上で、本や論文などは様々なの人の知恵を整理して短時間に学習できるツールです。しかしながら、頭で分かるだけでは、定着はしません。自分なりの実用をして、ようやく学習した内容は定着をします。さらに実践から自分が学習した内容の過不足などが理解できるようになり、それを反映することもでき、進化させていくこともできます。

さらに、これらの相互運動を経て、既存ではまとめられていない知見を発見すれば、学習・実践の両面から得られた体系的な理解へと自分で昇華していくことが責務でもあります。これによって、自分より後発で同じような取り組み、課題に向き合う人は、自分なりに考え方、取り組み方を学習することができるようになります。そして、前述の学習と実践がまた別の人の下で始まるのです。この連鎖によって、人類の様々な知識・知恵は進化してきたと思います。

今までは現場で事業に取り組む人は実践だけを考え、研究者が学習をするということであったり、体系的理解なんて意識する必要がなかったと思います。しかしながら、日本の抱える強烈な縮小都市問題は、全国各地において実践する人が自ら学習し、そして実践に活かし、その相互作用から有効な体系的理解を生み出す必要があります。そして地方での多くの人の取り組みから得られる体系的理解をすりあわせて、一つの理論へと進化させる必要があります。

海外や東京から何か知見をもらって、それをそのまま劣化コピーすればいいという時代は終わりました。学び実践し、自分たちで一つの体系的理解を生み出さなくてはならないと思っています。高校時代に「専門家」と「実践家」は両立しないと、新しい社会課題分野は解決策を見いだせないなと思ってから、このバランスを常に意識するようにしています。といっても、なかなか両方うまくはいかないですが。笑

とはいえ、何の学習もせず、単に実践をしていればいいということではないと思っています。その逆も然りです。
ここにご紹介するような有名図書(私の本も入れちゃっているので、それは手前味噌で恐縮ですが・・・)はしっかり読んで、頭に入れておいてほしいと思います。そして、読むだけでなく、実践をして頂ければと思います。これらは学習だけでも有意義な本ではありますが、実践にも当然役立つものばかりですので。

ということで、その学習と実践のリンクを常に意識していただければ幸いです。



◯ 必読の20冊一覧【2015年度版】
2015年現在、読んでいないものがあればぜひとも読んでいただきたい20冊です。
以前もブログなどで紹介した鉄板本も入っていますが、改めてという意味で入れています。

またkindle版があるものは、そのリンクも入れておきました。
基本的にkindleで購入したほうが、割引がきいていたり、ポイント還元がついているものがありますので、利用されている方はご確認くださいませ。

【1】V字回復の経営
http://amzn.to/1NOIVzA
(増補改訂版)http://amzn.to/1OqM7GZ
中小企業再生に関する一冊であるが、衰退した地域を再生する事業推進においても参考になる。実際に中小企業再生で手腕を発揮した著者が書くビジネス小説のため、読みやすく実践に活かしやすい。下町ロケットよりリアル。

【2】失敗の本質
http://amzn.to/1NOIULX
(Kindle版)http://amzn.to/1mDifuP
旧日本軍の各戦闘敗北を整理した一冊であるが、今の地域で起きる活性化事業の失敗にも繋がる。私達は過去から何も学んでいないのかという反省と共に、対策も見える。

【3】決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法
http://amzn.to/1NOIVj1
(kindle版)http://amzn.to/1OqMi5b
財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の意味が全く分からないという人が、それらを理解する上で最適な一冊。小難しい仕分けだなんだとかではなく、それぞれの意味、互いの相互関係を理解できる。

【4】イノベーションのジレンマ
http://amzn.to/1NOIXaw
(kindle版)http://amzn.to/1OqMfGC
大企業がなぜ中小企業の新サービスなどに負けてしまうのか。それは行政が多額の予算を投入しても、民間の小さな事業のほうが地域活性化の効果を生み出すのと近似。予算も人材も潤沢に抱える組織だからこそ社会(市場)変化に失敗してしまう理屈が理解できる。

【5】[新版]ブルーオーシャン戦略
http://amzn.to/1NOIXHF
(kindle版)http://amzn.to/1mDilTk
予算事業で全国各地で同じような事業を一斉に国の予算を使って失敗する。地域活性化事業において目指すは、「皆がやっていないこと」である。その大切さを理解し、実践する考える上で有効。

【6】クリティカルチェーン
http://amzn.to/1NOJ1ai
(kindle版)http://amzn.to/1mDindN
プロジェクトを立てても予定通り進まず失敗する。プロジェクトマネジメントにおいて重要な要素を理解できる。

【7】マーケティング3.0
http://amzn.to/1OqMbGW
性能によるマーケティング、セグメンテーションによるマーケティングに続く、第三のマーケティング戦略について書かれたもの。これから地方の商品・サービスを広く売っていく上で極めて重要であり、チャンスであることが分かる。

【8】ワーク・シフト
http://amzn.to/1OqMcdY
(kindle版)http://amzn.to/1mDid6h
技術革新と世界市場変化によって大きく変化する「働き方」。半世紀前にあった仕事が今なくなっていることはよくある話。これから先を見越した際の自分たちの仕事のあり方を考える上で有効な一冊。

【9】小さなチーム大きな仕事
http://amzn.to/1mDiGFt
ベンチャー企業の仕事の仕方を記した一冊だが、地域での事業を仕掛けていく組織モデルを考える上で有効。昔ながらの毎日オフィスに集まるという形式にこだわりすぎない仕事の仕方が地方を変える。

【10】創造の方法学
http://amzn.to/1mDixBY
(kindle版)http://amzn.to/1mDiy8U
論理的な思考が必要なのは分かっているけど、苦手という方は多い。この本は論理的な思考自体をわかりやすく整理してくれている。因果関係、はどうしたら立証できるのか、が分かるだけでも、問題と原因を混在するなどの間違いは起こらなくなる。

【11】明治維新1858-1881
http://amzn.to/1OqMFNj
(kindle版)http://amzn.to/1OqMVfe
長らく続いた江戸幕府が終わり、明治政府がおこる際に、幕末において倒幕派の各藩はどのような事業に取り組んでいたのかが垣間見られる点が面白い。地域商社を持った各藩は海外において互いのネットワークを形成し、それは明治政府の礎になっていった。しかもそれを民主的に行ったという点も興味深い。これからの地域活性化においても極めて参考になる。

【12】二宮金次郎はなぜ薪を背負っているのか?―人口減少社会の成長戦略
http://amzn.to/1OqMCkC
江戸末期の人口縮小社会において600農村を再生させた、二宮金次郎。彼の報徳仕法の一端を垣間見られるが、それらは今の地域活性化の指針ともなりえる、「事業」と「金融」と「財政」を組み合わせた内容。

【13】年収は住む場所で決まる-雇用とイノベーションの都市経済学
http://amzn.to/1mDiJkC
(kindle版)http://amzn.to/1mDiLJ7
高付加価値型のIT産業が集積するシアトルの高卒のほうが、低付加価値型の製造業中心のデトロイトの大卒より給与が高かったりするという、都市産業構造によって年収は左右される内容を整理した一冊。クリエイティヴ都市論とは実はある意味で、都市の因果を逆にする説明で併せて読むと面白い。

【14】クリエイティヴ都市論
http://amzn.to/1mDiQwD
(kindle版)http://amzn.to/1mDj5Yw
クリエイティブ人材が集まると都市の経済がプラスになり、競争力が上がっていくというクリエイティブ層と都市の関係を整理した一冊。年収は住む場所で決まると比較しながら読むべし。

【15】発展する地域衰退する地域-地域が自立するための経済学-
http://amzn.to/1OqN2Ht
もはや古典であるが、アメリカにおける大都市再開発やチェーンストアなどが地域の再生においては機能せず、むしろ多様な経済構成を独自資本によって持つ地域が発展していくという域外収支など地域の一体的経営を整理したもの。アメリカの話だと思わずにぜひ読んで欲しい。

【16】人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡
http://amzn.to/1OqN5TS
サンセバスチャンになぜ多くの人が訪れるか。その美食の店がなぜ集まり、海外から人を集めるほど強くなっていったのか。日本の観光産業を考える上でも重要な示唆がある事例を説明した一冊。
 

【17】新・観光立国論―イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」
http://amzn.to/1mDjom5
(kindle版)http://amzn.to/1mDjk5W

デービット・アトキンソンが提唱する、日本は観光立国での経済成長を目指すべきであるという提言。日本も成熟国家化を果たしていくなかで、過去の歴史・文化の価値を再認識し、観光産業を侮らずに向き合うことが必要。過去の内需向け観光産業の体制のまま、単にインバウンド客を相手にするようないい加減なやり方ではダメということも分かる。

ここから下は2015年、木下が関係した本でございます。けど、ぜひ読んでもらいたい3冊です。笑

【18】PublicDesign
http://amzn.to/1OqN9D4
馬場正尊さんの木下も出させて頂いた一冊。ちょっと一部の方はあれなんですが、ぜひ読んでもらいたい対談ばかり。

【19】地方は消滅しない!
http://amzn.to/1OqN95P
上念さんが書かれた、木下もコメントなど執筆協力させて頂いた一冊。今流行りの人口論の危険性についての整理はしっかりと読んで欲しい内容です。社会は常に人口増減論に踊らされてきたんですよね。

【20】稼ぐまちが地方を変える
http://amzn.to/1mDjiLd
(kindle版)http://amzn.to/1OqNjKI
木下が今年出させて頂いた新書です。木下のこれまでの失敗(の一端。もっと沢山失敗があるのでそれはまた今後の本でw)と共に、試行錯誤の中で経営と地域との関係性を意識した事業と向き合う内容。さらに地域で役立つ10の鉄則などもまとめています。


ということで、以上長くなりましたが、ぜひこれらは年末年始を利用するなりして頂きましてお読みいただければと思います。

皆様のお役にたてば幸いです。

 
 
毎週火曜配信の業界有数のまちづくり週間情報誌
「エリア・イノベーション・レビュー」

600農村を再生した報徳仕法、現代に活かす10の教訓。 (No.1031)

人口縮小社会において、縮小する600もの農村を再生した取り組みが、かつて江戸時代にありました。


自ら自然災害が原因で衰退し、その苦労で両親をなくした一人の少年は、自らの手で薪を売り、田を耕し、失った田畑を買い戻して、家を復興させます。少年は青年となり、その手腕を買われ、依頼された借金に喘いでいた藩の重臣の家計も見事に再生。その後、藩主からの命を受けて今の栃木県に移ります。

その頃、天明・天保の大飢饉などにより、北関東から東北などを中心に多くの農村が廃村の危機に陥っていました。地元生産力の要である田畑は荒れ、各藩の財政は重税を貸してもなおりずに借金を続けて破たん寸前までに追い込まれ、そのような悪条件から多くの住民は土地を離れて、他の土地へと移住していってしまいました。残る人々の人心は荒み、勤労意欲もなく、賭博に走り、わずかな利得を互いに奪い合うという有り様になっていました。

そのような環境下で、彼は移り住んだ衰退する三ヶ村の再生までをも達成します。

その噂は広く多くの人々が知ることとなり、全国各地の農村から再生依頼が押し寄せます。最初の頃は個別の申し出についても個別対応していたものの、もはや全てに対応することは不可能。弟子を集め、自らが取り組んできた農村の生産力再生と金融手法、さらに租税に関わる藩財政改革までをも体系的に整理し、その手段を細かくまとめたマニュアルを作成します。

それこそが「報徳仕法」です。
報徳仕法は、その後、弟子たちを中心に問題を抱える藩や農村に積極的に採用され、実に600もの農村を再生したと言われています。

関係書籍などを全部をまとめるのはいきなりは難しいのですが、ひとまず10の教訓としてまとめてみました。
その面白さを垣間見ていただければと思います。

【報徳仕法・現代に活かす10の教訓】

(1) 補助金は地域生産力を低下させる

彼は、自分が派遣される先に向けて支給されている支援金について、停止するように殿様に進言しています。
殿様がお下しになるから、地元の役人も農民もそれをいかに自分がもらうかということばかりを考えるようになる。といっています。貧しい地域が、自らの自らの生産力をもって生活を豊かにし、地域全体の再生につなげていく。それに集中させるためにも、補助金をやめてくれなければ、私はいかない、と云います。

これは今の地域でも同じですね。
地域で生産力を拡大するのではなく、単に補助金などの制度活用ばかりが議論され、やってみたら大赤字。地域はますます衰退したりするわけですが、その補助金関係で仕事をして得をする人たちがいる。役人もそれが仕事。民間でもそれをもらって何かをやるほうが生産力を拡大して儲けるというよりもてっとり早い。だからますます生産力がマイナスになり、財政負担も拡大する。

江戸も今も変わらないですね。

(2) 基礎税収に対応した、継続可能な地域財政計画を約束する

彼は、まず各世帯を周り、困窮の状況を図るとともに、過去の長期にわたる収穫記録から豊作、凶作の平均を求め、田畑の生産力分析を行います。生産力にもとづいて、妥当な租税を改め、基礎的な租税合計額を算定。それをもって、各藩の今の基礎税収にあたる歳入を算出し、その基礎税収額を下にして歳出予算計画を見直します。いわゆる収支均衡予算の策定を行います。彼はこれを「分度」と呼び、全ての仕法のスタート地点としていました。
もしこれを行わなければ、いくら民が生産力を拡大しても、結局は重税を課されるか、藩が高利貸などからさらに借金し続けることになり、不健全財政が継続し、結局のところ、民間は働けど生活が改善せず、生産意欲が奮起しないと考えたからです。当時は、既に借金地獄の藩も多く、商人などから決して安くない金利で金をかりつづけ、その返済でさらに重税を課していくという悪循環に陥っていたからです。

彼は「三年の蓄えなくして、その国、国にあらず」という中国古典からの引用もしています。

生産力拡大に基づいて、分度改定を行っていく健全な経営モデルを目指しているのは、今の地方自治体にも求められる考え方です。重要なのは、あくまで生産力の拡大が先であるということです。それに基づく、税収によって収支を均衡させていく。蓄財をし、時に投資をするとしても、返済の見込みなき負債を重ねていけば、必ずそれを一気に返済しなくてはならなくなる。

その時には極端な緊縮財政になるので、さらに地域は危機に陥る。常に余裕を作り、過度な緊縮が起こらないように、長期的な安定的財政計画を地元の税収を下に策定することが求められていますね。

(3) 税制優遇をもとに新規経済開発を優先せよ

彼は、既存の田畑の再生だけでなく、新田開発を積極的に取り組ませます。
新田開発は一定期間無税になるため、農民たちはこぞって新規開墾に取り組めば、豊かになるわけです。時に、既存の豊かな畑を豊かな農民から貧しい農民に売却させ、豊かな農民には自ら新田開発に乗り立たせるということもしています。当座の生活に困らない人ほど、より生産力を拡大するために投資させる。この循環で地域は豊かになっていきます。豊かな人が既得権のようにその生産力を我が物にしていれば、時期にその地域は衰退していく。当座の生活にこまる人は新田開発なんてしていられないため、いい場所を持つものばかりに搾取され、結局のところは地元を離れていく。

今の地方も同様ですね。農業も、水産業も、林業も、商業さえもそうです。

新たな産業力改善に向けたところに、既存事業者に今の権利を極力放棄させるようディスインセンティヴを設け、その資本をもとにして、新規事業に投資させるインセンティヴを設ける方向性が必要です。

(4) 移民を積極的に取り入れ、優遇せよ

怠惰な生産活動問題です。とはいえ、なかなか苦しくなると心も荒んできます。
地域が衰退するというから、新田開発などを指導すれば、「今の田畑だけでも大変なのに、新田なんてとんでもない」というわけです。であれば、ということで地域外から移民を引き受けるよう、家も田畑も用意して受け入れる体制を彼はつくります。やはり元々の生活を捨ててくるわけですから、住む場所や田畑が昔からある地元民と同じスタートラインでは誰も移住しません。だから、そういうスタートラインだけは作り、あとは自分で生産力拡大に向けて頑張ってもらうわけです。
しかし、地元民の一部は移民に対して無理難題をおしつけ、集落の様々なものに協力させ、仕事をやっていられないようにし、住みにくくなって地元を離れさせる。それで「どうら地元も捨ててここにきたような薄情な奴だから、次なる土地に逃げていったんだ」と罵る。溜飲は下がるかもしれませんが、地域はさらに衰退していくわけです。

今の時代も地域外から若い労働力を受けいれても、彼らに苦労するのが当たり前、といわんばかりにしたり、もしくはあまり協力的でなかったりします。それで最近の若い者は、、、という場合もありますね。もう少し地域として生産力を拡大していくために、元々の地元の人より豊かになる機会を提供するという意識を持って迎え入れないといけないわけです。

(5) 官民共に遊休資産は生産活動に活用せよ

彼は、潰れかかった家老の家計(といっても禄をもらい、人をやとっているので今でいう企業会計に近い)の建て直しをする際にも、使っていない庭の木などは梅の木にしたり、裏庭などにも売却可能な生産物をつくるように転換したりしています。

お金がないのに立派な庭を単に庭にしていたら単なるコストセンター、しかしながら有価物を育てる場所にすれば、それはプロフィットセンターになるわけです。マイナスがプラスに変われば、それは毎年積み重ねるととてつもない変化になります。また、かまどについてススについても、炊事場を任されている人たちから買い取る制度を作ります。鍋からススを細かに落とせば、燃料代が大幅に安くなるわけです。その燃料効率改善の金額を割り出し、その中からススの買い取り財源を捻出したりもします。これでコストセンターの負担も軽くなっていきます。

稼げないものだと諦めるのは簡単ですが、実は知恵を出せば活用できるものが沢山あるわけです。

公共資産などについても既に国内では余っているものがやまほどあります。一方で財源はりなくなってる。
民間資産でも空き家も空き店舗もあるわけですが、これらも活用できる。

まちには活用できる資産だらけですが、過去のやり方に囚われていると活用されないんですよね。もっと知恵出すことが大切です。


(6) インセンティヴを効果的に活用せよ

彼の特徴はタテマエのみならず、個人などの純粋な損得意識をテコにして取り組みを設計しているところにあります。
先ほどのスス落としもそうですが、儲けが出る仕組みをつくって、その一部を従事者に還元するモデルにします。だから担当者は熱心にそれに取り組む。

新田開発も同様です。無税期間を効果的に活用することによって、個人にとって既存田だけではないメリットを認識させるようにしているわけです。

インセンティヴがなければ、誰も真剣に取り組みません。
しかも、そのインセンティヴを皆に理解させないといけないのです。

現代においては「べき論」とか綺麗な話にばかり注目が集まりますが、それはマヤカシであることが多かったりします。実際には、巨額の交付金などで展開されており、誰よりも資金を使うだけつかっている取り組みも沢山あります。そういうプロジェクトの関係者に限って、「まちづくりは損得ではない」とか「地域活性化で利益とか考えてはならない」とか未だに眠いことを言っていたりします。しかし、結局は利益をだしている誰かのお金を使って、地域の衰退を加速させているだけだったりするわけです。結局は雇用も増やせなければ、税収も改善しない。個人のメリットと地域社会全体のメリットは相反するモデルにならない。それを構築するのが重要なのです。


(7) 地域金融を用いて経済の複利効果を導入せよ

実は彼は、先の個々人にインセンティブを設けて得をさせた後、その資金をさらに集めて「五常講」という仕組みを作ったりしています。今で言う、信用組合、市民型のマイクロファイナンスの仕組みです。

それぞれが毎月1万円ずつもらえるインセンティヴが作られたとして、それを1年で12万。100人から集めれば、1200万になります。また、地元でタンス預金しているような個々人の資金、そういう様々な地域内に台流している資金を原資にして、金融事業を始めるのです。しかも、単なる貸金みたいな話ではありません。

彼は、経済開発、弱者対策、社会資本整備を金融の力で区分して行っていたことが極めて優れています。
地域で富める人が武士のような給与所得のようなものをもらえる人、事業や当座資金などで資金が必要な時はそれなりの利子設定をしてお金をかりてもらう。一方で、貧しい人には無金利で融資して(高利貸しからの借り換えなどを推進)、元本返済だけ(金利計算すると返済意欲がなくなるのでわかりやすい元本返済の目標設定)で良しとするが、元本返済が終わった後にはその返済金と同額を何ヶ月か出資させる仕組みを作ったりしています。これにより、貧しい人の生活再建をするだけでなく、返済能力=生活力としつつ、さらにその返済能力をそのまま生活に使うのではなく、出資させて、家計に金融収入モデルまでも作り上げます。労働力だけではない収入モデルを樹立するわけです。さらに、いわゆる社会資本整備についても長期低金利で投資・融資する仕組みをつくるなど、開発銀行のような仕掛けをつくっています。

このように地域金融を多重的に作り上げ、地域の余剰資金を使い、今では財政などでやっていることまで金融で仕掛けています。
これは現代においても、金融支援などのほうが事業が稼ぐ力を身につけ、地方を豊かにする事例が出てきています。地域内の資金で、地域において産業力に繫がり、公共サービスに繋がるものに投融資を展開すれば、その資金を預けている地元の人達にさらに資金が回るようになっていきます。この循環効果は複利的に発生するため、地域はより豊かになっていきます。

今はこの循環構造が地方では断絶してしまっているため、これを変化させるのが大切です。


(8) 家庭、企業、行政を一体的に考え、全体の収支黒字化を目指せ

報徳仕法は、「域外収支」などの概念がしっかりしています。
家庭においても収支をしっかり黒字化させる、産業においても同様で黒字化、さらに行政についても黒字化をして蓄えをしていくことを求めています。これが単純な緊縮財政と思われがちなところなのですが、弱者を切り捨てろという話ではなく、彼はあくまで弱い人にまで支援がいきつくためにも、堅牢な稼ぐ仕掛けをつくりあげようとしているところがあります。彼自身が自然災害で家族が崩壊した経験を持つわけでもあるので。

現代においては、地方におていはこのあたりの黒字化についての意識が、かなりごちゃごちゃになり、特に財政支援が多くつくことで、より判断が「使うこと」にばかりいって、収支のイメージがありません。公共事業さえ東京に資金が戻る仕組みになってしまっているところもあります。

今の活性化でも域外収支を意識し、個別でしっかり黒字化を目指すというのが、重要です。


(9) 成果の生まれるところから手を付けよ

いきなり困難な地域を取り扱わないのも重要です。
報徳仕法をやってくれときた藩の一部では、藩内で一番困難な場所を指定したりします。まぁ外モノの二宮をいじめてやろうと意地悪にやっている可能性もあるし、逆になんか困っているところから手助けするのがいいと勘違いしている人もいたりします。「この土地が再生すればどこの地域でも再生できる」とか間違ったことをいい出す人って今でも居ますよね。そんな考え方では全く物事うまくいきません。

重要なのは、成果がうまれるところからやる、ことです。
なぜならば、今ある手元資金で困難な地域を手がけたら、すぐに枯渇しますし、時間がかかりすぎる。結局成果が出る前に終わります。ただ成果がうまれやすいところからやれば、すぐに成果がでて、資金がむしろリターンで大きくなる。その大きくなっていく資金をもとにして、困難な地域はある程度成果がうまれていったうえでやらないといけない。成果が生まれれば、関係者の納得感も強くなり、物事は進みやすくなる。

彼は、何度も失敗している河川工事を任された時に、上の人から「お前ならどうしたらできるか」という答えに対して、「これは何年かかるかもわからないし、いくらの予算がかかるかも分からない。しかし、やり続ければ、いつかはできる。そのため、まずは河川工事をすることは後回しにすべき。そうすればできる」という回答をします。上のものは「河川工事をしろといってんのに、なんで河川工事は後回しにしていたらますますできないだろ」という話をするわけですが、彼は「河川工事予算をつかって、新田開発を行い、その新田開発から得られる収入を毎年の予算とすれば、永年完成するまでの予算を生み出し続けるモデルができる。だからまずは河川工事は後回しにして新田開発をし、それを活用すべき」というわけです。特定財源として、開発をしてその収入で何年かかるか、いくらかかるか分からない河川工事をすすめるべきというわけですね。極めて理にかなっていますが、当然そんなことは受け入れられません。今と同じ縦割り。順序などを戦略的に設定できないカタチです。

これは今も同じですね。なんか皆、困難なことから始めて成果がでれば、簡単なところはできると思っているけど、逆です。
簡単なところからはじめ、困難なところにシフトしないと、困難なところはそれだけマイナスが大きいので、必要な投資も時間も額が違います。物事の順序を間違えると、誰も救えないのです。さらに、順序によってはできないこともできるようになる。物事を1側面からだけ捉えてはならないのです。

私もまち会社設立の初回は確実に稼げる事業を作り上げて、その利益をもとに継続させる仕掛けを創ります。熊本城東マネジメントにおいてもごみ処理などのエリア全体でのファシリティマネジメントコストの削減をしてその財源で取り組みを続けています。このあたりの構造をいかにして効果的に維持、継続していくモデルとするか、が問われています。

(10) 身分を尊重しても、信念は捨ててはならない

彼は農民から幕臣にまで登用された身ですが、それでもやはり元々の武士のような立場にはなれない。
しかし、相手に対して身分の尊重はしつつも、自らの信念を曲げるようなことはせず、道から外れたことは断ります。これは今の時代にも必要なことですが、意外と皆は迎合主義で、自分だけは嫌われないようにしていきます。

それによって地域の取り組みはますます変な方向にいったりしますね。信念を捨てないまちづくり。どこまでできるでしょうか。自分に対する宿題でもあります。

実は、このような報徳仕法をまとめた人物こそ、皆がよく知る「二宮金次郎(二宮尊徳)」、その人です。
彼は単に薪を背負って本読んでいる人として有名になったのではありません。彼が有名になったのは、報徳仕法を作り上げていく、自らの実践と体系化が評価され、さらに死後に報徳記という彼の取り組みを弟子が記した本が遍参され、明治天皇に上奏され、廃藩置県後の各自治体に配布されたことが発端になっています。しかしながら、彼はその思想性である、報徳思想が注目されたり、その忍耐強く幼少期から努力した姿が政策的に使われたりと、大変偏りのある評価になってしまいました。私は彼自身の実践におけるケーススタディも参考になるだけでなく、その報徳仕法(方法論)を現代の経済、経営、政策などの観点から評価をすると極めて立体的かつ重要な地域経営の方針として採用できると思っています。

そのため、人口減少社会における地方創生において最も参考にすべきは報徳仕法であると思います。
 
現在、二宮金次郎の超訳を「エリア・イノベーション・レビュー」にて不定期連載をしていますので、ご関心ある方はぜひ購読いただければと思います。来年にはどうにか報徳仕法に関する書籍をまとめたいと思っています。 http://air.areaia.jp/

東洋経済オンラインでも超絶簡単な内容を書いたのですが、あまりウケなくて泣きましたが(w)、かなりコアな方々が反応くださりました。コア向けですね。

◯ 「元祖再生人」二宮金次郎に学ぶ地方創生
http://toyokeizai.net/articles/-/59625

また、9/20 報徳二宮神社にてこのよう話の講演と、二宮神社の宮司である草山さん、大日本報徳社の榛村社長などとのトークも予定しています。ご関心ある方はどうぞ。

https://www.facebook.com/events/1656839841198445/
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組織の文句ばかり言う人と仕事してはいけない、3つの理由。(No.1030)

地域活性化の仕事をしていると、うちの会社はクソだから辞めて地域での仕事したい、とか、うちの役所はどうしようもないからやめて、自分で地域で事業を興したいとか、この手の話をされる方と出会うことがあります。

地域での取り組みは正直、野武士みたいなもんなので、言い訳はできないわけです。結果が全てですから、そんなに甘く捉えてできるはずないじゃん、と思うわけです。プロセスしっかりやっていれば認めてくれるなんてことは一切ありません。所属していれば給料くれるとかありません。

愚痴ばかり言っている人と地域の事業やってロクなことになった試しがないので、基本的に僕はしないのですが、その理由を3つに整理してみました。

(1) 語るだけで、結果を出せない。

斜に構えて世の中知ってる風で、「だからこの組織はダメなんだ」みたいなことをいう人に限って、組織でも大した仕事をしていません。

結局、愚痴というのは、問題を指摘しつつも、自分はその解決をしない、もしくは何人にも解決できないこれだけの大きな理由があり、だからこそ腐っている、的な話になるわけです。そして俺だけはそれを冷静に見極め、組織内では戦ってきたという、正体不明の組織内武勇伝になります。小学校のクラス内のもめごとレベルの井の中の蛙感が出てきます。しかしながら、事業実績つくって上にあがるわけでもなく、うだうだいってるだけで正直結果が全く出ていないので、何もしていないのと変わらないわけですが・・・。いくらでも組織内での解決策なんてあります。地域内の課題解決はさらに利害関係関係ない人まで出てくる複雑な状況と立ち向かわなくてはならないわけで、組織内の課題解決もできないようでは話になりません。

基本スタンスとして、語るだけで何もやらない、結果を出せない。本当に自分がやるべきことが明確であり、本当にわかっているのであれば、実践して成果を何がなんであげるという話になるわけですが、そうではない。一番の安全地帯で声を上げていることに、人生の満足を得ています。この手の人は何をやっても愚痴ばかりを言い出し、最後は邪魔をしてくる人になるので、地域のおける取り組みでは要注意人物だと思っています。


(2) 自分は上という意識で語るけど、結局はフリーライダー。

「そんなに嫌ならさっさと辞めればいいじゃん」というのに色々と言い訳をいって辞めません。
結局、辞めないのは当座本人にとっては合理的な選択をしているって結果です。そもそも組織で働くこと自体は別に悪いことでもなんでもない環境選択の一つなわけですが、なんか文句いう。文句いうわりに別にやめない。

やめないにはやめないなりの理由がある。
それは本来もっと意欲をもって取り組むべき仕事に日々取り組まずとも、組織で規程された給料が貰えるからです。そして組織の看板と肩書でなんとなく自分の居場所が保証されるからです。しかしそれらは彼が馬鹿にしている周囲の人の絶えまぬ日々の労働によって担保されているわけです。つまり、その人はとんでもないフリーライダーなわけです。

色々といっているけど、結局自分では何か自立してやっていく自信はなく、勝手に下に見ている周囲の人の尽力によって生計が立てられているわけです。そのようなフリーライダーは、大組織であれば全体の規模によって負担をしても即座に潰れるわけではありません。とはいえ、大組織でさえ、フリーライダーが蝕んで、稼ぐ人たちが組織から抜けていって企業業績がまずいことになることは普通に起こるので、問題がないわけではなく、見えにくくなるという、より悪質な経営における症状に発展するわけですが。。。

自分が文句を言っている周囲の労働によって分不相応な給料をもらっているなんてことは、お小遣いもらいながら親の悪口いうみたいなもんです。自分は他よりも自立している気になっていたりするので、大変困ります。

地域活性化というものは、周囲の人達の生計も立てていき、さらには地域全体の稼ぎに対してまで意識を巡らせ、行動し、責任をとっていく必要があります。1つの組織内でも自分を客観視できず、フリーライドしてることに気づかないまま自己満足を貫く人と、地域全体を云々といった意識を共にすることはできないのです。そういう人は、ますます地域衰退を加速させる人になりかねない危険人物です。


(3) やる人は言う前に、さっさとやる。

本当にやる人は、うだうだ言わずに、さっさとやります。会社もさっさと辞める。事業もさっさと始める。ひとまず飛び込むんですよね。無謀なタイプの人もいるし、慎重だけど粛々とやるという人もいる。多種多様だけど、皆一緒なのは、やろうと思ったら衝動的行動力をちゃんともっている人です。僕らのローカルパートナーであったり、コーポレートパートナーの企業の人だったりは、結局別に組織がうんぬんとかに文句言わずに、組織内でもやることはさっさとやる。自分で独立してやるべきことは独立してやる。

そのあたりの意思決定力、スピードが大切なわけです。
事業はセッションみたいなものなので、同じテンポで進まないとうまくいきません。誰かが乱すテンポで演奏されると、事業はおかしな方向にいきます。だから私としては、さっさとやる人とやりたいわけです。

会社辞めたら生活どうなるか、、、事業失敗したらどうしよう、という話を周囲にしたところで、そんなもんは、基本的に自分でどうにかするしかないのです。というか、どうにもしようがないですよね。周囲からすれば。多少手伝ってあげたりはできても、失敗したら「その時はオレが生活の面倒みてやるよ」とでもいってくれると思っているのかと思ってしまいます・・・。自立心皆無。

さっさとやる人と共にやる。これが地域における事業においても重要です。状況は刻一刻と変わるからです。
やるやるアピールだけして、いつまでもやらない人はある意味の自己欺瞞を重ね続けているので、精神的にもあまりよくないと思うところです。環境は文句をいうものではなく、自分で変えるものですよね。

ということで、地域で取り組みをしていて、地元ではそれなり有名な企業とか役所に務めている人で、「組織の文句ばかりいう人」とは一定の距離を持ち、しっかり事業に集中したほうがよいです。私達は貴族ではないので、地域内で愚痴ってるだけでは事業が前に進みません。気をつけて参りましょう。
 
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なぜ地域おこし協力隊は派遣先で困るのか。5つの改善策 (No.1029)

昨日、機会を頂きまして、栃木県内に派遣されている地域おこし協力隊の集合研修にお邪魔してきました。10名以上の協力隊の方々とお話をさせてもらい、私なりにすごい恥ずかしい昔やっていた地域で興した稼ぐ事業について話したりしていました。失敗も含めまして。受け入れている自治体職員の方ともお話をして、色々と悩ましき現状もお聞きしました。そのようなやりとりの中で、私なりに感じた点を書かせて頂きますー。

(参考web)地域おこし協力隊とは?

◯ 「行く側」も「迎え入れる側」も未経験 
さて、今回含めて全国各地でお会いしてきた地域おこし協力隊の方々。やはり色々と想いあって地方にいっている若者が多いわけですが、現実としては色々と悩んでいる人も多かったです。自分は早稲田商店会の時から様々な機会に恵まれ、全国各地にも高校時代から出かけていく、丁稚奉公の旅をさせてもらっていたので、なんとなく自分なりの地域に入っていくメソッドというのはあります。しかし、普通に生活していれば、いろんな地方に行く機会もないですが、地縁血縁ない人達といきなりどう話をしていいか、どのように事業やっていいかなんて分からないというのが当然な話でもあります。

それは行く若者だけでなく、ずっと地元に住んでいる方々もどう受け入れていいかなんて分からないし、さらに行政側も地域外の若者を向かい入れて、地域活性化をするなんてことも、過去やったことなんてないわけですね。

なんとなく制度が出来たことが流れができているものの、各自治体によってその対応はまちまちで、かなり個人の資質、行政側も担当者の能力、など制度として担保ではなく、個人能力に担保されているだけという実態を感じています。

そこで、ひとまず意見交換して感じた5つの改善策について整理します。

◯ 5つの改善策

(1) 集落支援業務は分離すべし

業務的に話を聞くと、集落支援員とほぼ変わらないような業務になっている方もいたり、もしくは事業立ち上げを要求されているにも関わらず、集落支援に関する業務も行政から要求されている中途半端な環境になっている方もいました。まあ何をやっていいか本人も分からず、招いている側も分からないとこういうことになったりするのだろうと思います。

「地域おこし協力隊」ですから、地域がおきなきゃ話にならんわけですね。福祉や集落保護といった行政特有の業務とは区分した内容にしないと、事業なんて立ち上げられませんし、3年後自分で自立して生活していけ、なんて不可能な話です。

もし集落支援などを中心にするのであれば、地域おこし協力隊の制度を活用しないほうがよいと思うところです。ちゃんと各種派遣制度はあるわけで、区分しないとダメです。

・将来的に行政の常勤雇用候補者のお試し雇用なのか
・事業を立ち上げる人材の初期スタート支援としての雇用なのか

そのあたりを明確にしましょう。
それによって職能や3年の時間の過ごし方も全く違うわけですから。そのあたりがごちゃごちゃになっていますね。もう少しこのあたりの派遣事業全般の区分を明確にすべきと思いました。


(2) 兼業規程は全国一律でOKにすべし

兼業規制をしている自治体があるようです。なんかその可否については、これまた自治体次第てな話のようです。

兼業NOということは、行政から言われた業務以外で事業を立ち上げて収入を得てはいけないという話ですね。
任期付き公務員だから、というような杓子定規なことをいうようですが、長期雇用する予定がない人に「副業もするな」というのはあまりにブラックすぎます。もし副業させないのであれば、しっかり正規雇用で若者をやとって地域に入れるべきです。正規公務員として。

期限付きで雇用するのだからこそ、あくまでベース賃金としてお金は払うが、それ以上は自分で稼ぐのが当たり前。
さらには、将来は全く保証されていないのですから、そのプラスで働いている収入が将来のベース収入になっていくという流れのモデルでないと、当然ながらそこで生活はできません。

概して地域にもともと住んでいる人より、地域外からきた人には倍くらいは給料があって然るべきなのです。所得ベースだけでみるから不均衡に見えますが、実際、もともと地元に住んでいて土地も家もあり、田畑ももっていたりする人と、地域外からぽんときて、家賃も払い、生活すべてをゼロから立ち上げる人のほうが明らかに条件は不利なわけです。だからこそ、このベース部分は3年だけは保証し、けどそれでも足りないから、プラスαで事業を立ち上げ収入を持たせる。

「あの地域にいったら儲かった」と地域おこし協力隊に言わしめることが、地域活性化を目指すためにやっているのであれば大切なところです。もちろん受け入れ側の問題ではなく、上記のようなモデルとしてベース収入として月20万は出しますが、独自事業を通じて、1年目:月5万、2年目:月10万、3年目:月20万の収入を生み出すことを想定して進めていきます。そのために地元も〜〜のようなことを用意します。といったカタチですね。

といった内容にすれば、また応募する人材も変わっていくように思います。


(3) 募集審査段階で、「特技」(手に職)をつけている人を優先すべし

特に、地域活性化に必要なのは、平均的に高い成績をとって高い偏差値の大学に入る能力ではありません。毎日ちゃんと学校に通い、先生のいうことを聞き、友だちと部活動をし、恋愛をし、受験をして進学をしていくというその「普通」の中で、抜かりなく平均を上げていくということは正直、一定ライン以上できることに越したことはないですが、だからといった何かの役に立つかというと厳しいわけです。それは、誰かが決めた、分業された仕事を、きちんと他よりもできる、ということを想定して行われてきた人材開発の教育です。それにそって大企業、大組織になどに属して仕事をした経験があっても、大抵は分業された仕事なので、1から10までを自分で見よう見まね、分からないなりにやってみることは許されません。仕事の全体像を一人でこなすなんてことは、当然大組織が取り扱う仕事では不可能ですし、そんなことは要求されてもいません。

ただ、地域での事業は自分でなんでもやらないと、人手なんてないし、そもそも人を雇う金なんて最初からはありません。
だから、地域における事業で大切なのは正直、平均ではなく、一つでも特技があるか、にかかっています。

蕎麦が打てる、豆腐が作れる、建築とか好きで建物をいじれる、イラストとか書けるといったような、何かを作れる力であれば、あとは営業面での問題をクリアすれば良いわけです。経験でいえば、学生時代にでも300人規模のイベント開催を自分で取り仕切ってやった、飲食店を経営していたとか、人的資本蓄積があり、大したものでもなくても自分は知り合いに100人くらいに営業できる、とか、そういうことだったりするわけです。

地域おこしのリアリティをもう少しつきつめていくと、このような特技がどのようなものであるのか、というのが大切なわけです。
平均的な入社試験的なものとかは全く意味がなく、一点で特技がある人にきてもらえるか、そこにフォーカスすべきと思いますし、そういう人は、3年くらいの短期間でもやれることは具体的に出せると思います。


(4) 募集側も一定の事業想定を持ち、人を探すべし

今はなんとなく若者が田舎にきてもらう事業、みたいな感じで設定してしまっている地域もあります。受け入れ自治体側の問題ですね。なんとなくこういう制度を使おうという話が先行し、独自で考えることをしていないパターンです。もちろん、具体的な事業像をもって人材募集をしている地域もありますが、それが本当に稼げるものであることは稀有ですね。単に地元のお荷物施設をどうにかしてほしい(儲からない産直施設の活性化みたいな)といったような話だったりが事業想定がある場合にも主のようです。

私はやはり、募集要件として明確に事業想定を持ち、それを担える人材を募集して、3年間でしっかり事業を軌道に乗せたら生活基盤が成立するという目算をして募集したほうがよいと思っています。

たとえば空き家があり、それが確保できたから、そこをリノベーションしてゲストハウス経営をやってもらおう、とか思えば、ある程度、建築や工務店で仕事したことがある人とか、宿泊業の経験がある人とかを2人程度で募集する、とかですね。店舗開業をターゲットにしてやる期限付き雇用でシェフ公募とか色々とやりようあるわけですよね。ま、思いつきなんでちょっと雑ですがw

先日四万十に関して話していたのは、すでに栗製品などの販売が順調に推移し、植樹をバリバリ進めているわけですが、その植樹と管理と収穫をしたり、お茶の栽培・収穫をするとかで年間で400-500万の生活基盤を確保できるようなモデルを作り、それを生活基盤とし、その上にどんどん新たな取組を兼業でやってもらうようなモデルで募集するとか、そういうなんというか具体的な事業像があれば、人材像は明確化すると思うところです。

漠然と若者よ地方へ、みたいな話では互いに勘違いを産んで不幸になる可能性が高まると思うところです。いいマッチングもほぼ運任せみたいな話ですからね。それはあんまり好ましくないなと。


(5) 地域おこし協力隊業務の地元民間メンターと相互管理を設けるべし

あと、地域で事業立ち上げをするにしても、民間側の確かなメンターが必要だなと思います。役所だけで若者を地域に誘い込むのはナシです。

とかいうと、すぐに行政は地元商店街や町内会とかにいってしまうんですが、そうではなく、もう少し地元で独立独歩、役所に従来だと近づかないような人じゃないとダメです。ここも、今はネットワーカー型の行政マンが担当だとうまくいって、そうでないと、そもそも担当自身があまり知り合いがいない、、、みたいな話になって悲惨なことになっているようです。

やはり事業立ち上げるためには、行政のみならず、民間側についても一定の人的ネットワークを持つ人がいないと厳しいところです。それがいないから地域外から、、、というのであれば、もっとやはりもう少し報酬はあげて、一定のコミュニケーションスキル、事業スキルある人呼んで来ないと何も動かせないよなとも思います。

栃木には日光珈琲の風間さんはじめいろいろな方がいるよね、という話をしましたが、知っている子は知っていましたが、なんというかそういう人とつながって、自分のビジネスにつなげていくという意識には連結していないようで、なんとなくそのあたりについても、事業たちあげの作法を教えてくれる人が近くにいないと、単に知り合いが増加するだけになってしまうのではないかなと思ったりしたところです。

あとは入り込んでいる協力隊同士でもよいから、やっている業務進捗などを互いにネット上で互いに確認していくようなことをやったほうがよいと思うところです。ブログで発信するのでもよいのですが、そのあたり見えないとあっという間に時間がすぎて3年のタイムリミットだろうなという感じもします。メンターと相互管理の双方がないと、時間管理をして、短い間に地元にネットワークを広げ、事業を立ち上げ、地域を活性化しながら、自分の生活基盤をも作り出すという高度なことはなかなか一人孤独には難しいよなと思います。

  
◯ 制度的問題についても見直しは必要。金融支援も検討を。

やはり全国に展開する制度としては、実際の地方に若者が入っていくリアリティが明確化されておらず、何より中途半端な金額で、しかも期限付きで若い人を地方に送り、行政業務に従事させるというのは正直筋が悪いと言えます。どうしても日本は若者は給料やすくても苦労をするのが良い事、みたいにおもって人が多いんですよね・・・。
このあたりは、実際の現場での運用面だけでなく、そもそもの報酬モデルについて、前述のように副業も含めてトータルで明確に制度側でも取り込んでいくべきだなと思います。同時に、派遣する自治体側に対しても、その受け入れ体制を含めて明確にすべき要件をつけるべきだと思うところです。

もしそこまではしないというのであれば、そもそも地方分権で根こそぎ財源渡してやりたい地方が独自にやればいいだけ、というように思います。

そもそも制度支援として、給与と事業費を特別交付金で面倒見るモデルですが、事業立ち上げをする際には、事業費を税金で出しているわけなので、ここの運用も相当に恣意的になっていきます。もう少し事業立ち上げに有効な、金融支援策を政府系金融機関と協調して、補助金・交付金ではなく、新たな事業を地方で始める際に投融資を通じて行うものもセットにすべきと思います。単に派遣するというだけでなく、事業費というだけでなく、地元で投資できるように、金融支援がセットじゃないとなかなか動けないよね、と。となると、政府系と地元金融機関のセットということになるのかな、とか色々と考えさせられました。

あまりまとまりないですが、昨日だけでも多くのことを考えさせられました。
地方に人がいくというのは、単に人件費・事業費を出せばいいってもんではない。もう少しディテールが大切であるということを改めて思わされました。

少なくとも、一人の若者の人生を左右する事業ですので、そのあたりはしっかり考えるべきと思わされます。
 
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