12/20開催「稼ぐインフラ」inオガール

日本における最先端の公民連携事業であるオガールプロジェクト。
その中核人物たちで組織する一般社団法人公民連携事業機構が主催となって、そのオガールプラザで「稼ぐインフラ」に関するシンポジウムを開催します。

今回は、来年勇退されることが決まっているオガールプロジェクトの立役者である藤原紫波町長、並びにオガールデザイン会議座長の清水義次さん(公民連携事業機構代表理事)、オガールプラザフィナンシャル・アドバイザーの山口正洋さん、オガールプラザ代表取締役の岡崎正信さん(公民連携事業機構理事)、そして木下(公民連携事業機構理事)が登壇します。



このメンツが同時に集まるというのは、本当に奇跡です。
オガールプロジェクトのケースを通じて、真なる公民連携事業のあり方を、首長の視点、プロジェクト全体をみた場合の視点、ファイナンスの視点からまちをみる視点、個別事業をしっかりと形作るという視点、規制や制度のあり方など多方面から議論します。

最近「公民連携」といえば、単に補助金や交付金がもらえるとか、公共単独では建てられない、民間単独では建てられない大規模なものが建てられるとか、勘違いしている人たちが多いことに対する警告でもあります。
オガールは一つの形にすぎず、重要なのは企画でも建物を個別に解き明かすようなものでもなんでもなく、目に見えないプロセスとフレームワークなどの膨大な複合している要素を解き明かす、複次関数なのです。微積分とか理解せずに、単純な足し算引き算だけで解き明かそうとする人たちは大きな間違いをおこします。というか、視察してきた地域で既にウソコンサルや勘違い担当者が間違えを始めています。

「ふざけた劣化コピーにはドロップキックだぜ」ということで、ぜひ真剣勝負の公民連携事業について知りたい方はぜひともお越しください。というよりは、真剣にやらなければ、衰退する地域でそこのエリアバリューをあげるなんて不可能なわけです。

ぜひとも良い形の公民連携事業を推進して参りましょう!!
 
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朽ちるインフラを、稼ぐインフラに置き換える。

先日、シノドスに「稼ぐインフラ」という題名でコラムを寄稿しました。

「稼ぐインフラ」
http://synodos.jp/society/6053

インフラは公共施設から道路などを含む広義での社会基盤を指しますが、これを取り巻く環境は従来の税収豊かな時代から変化して、インフラで稼ぎ、稼ぎをインフラにフィードバックすると共に、稼ぐ機会によって経済活動を地域に誘発していくという何十にも効果を見込んだ経営が求められる時代になると思っています。

現在は空港や上下水道などの運営まで含めたパッケージも国際競争の対象になってきていますので、より高度なインフラ運用能力をもてば、世界中にインフラを提供して稼ぎ、それを日本にフィードバックすることもできます。決してインフラは社会コストとして賄うだけではない時代になりつつあります。

人口縮小などによって生活が縮退するというイメージを持つだけでなく、新たな時代に合わせて生産性をあげ、従来コストだと割りきってきた物事をちゃんと商品・サービスに昇華していければ、異なる世界観を作り出すことができると思っています。

ということで、来週月曜には「稼ぐインフラ」という題目で公民連携事業機構主催のシンポジウムを開催します。
関心有る方はぜひご参加下さい。

◯2014.11.25開催「公民連携事業の最前線『稼ぐインフラ』」シンポジウム
http://www.facebook.com/events/543199429105990/
 
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Kindleを持つと変わる読書生活、得する期間限定割引・オーナーライブラリー

もともと小さいころから本は好きな方なのですが、やっぱり本って重たいんですよね。てか紙が重たい。

出張の時とかに読もうと思って、あれやこれやとキャリーケースに入れていくわけですが、何しろ重たいし、さらに飛行機とかでわざわざ取り出すのが面倒くさくなったりするわけです。電車内とかでも文庫本ならまだしも、ハードカバーのサイズとかだと結構取り出してまたカバンにいれたりというのも面倒だし、かといって他の資料がほんの間に挟まって紙とかがくしゃくしゃになったりするのも嫌なんですよね。本棚も引っ越しのたびに整理してもすぐにめちゃくちゃになるし。。。ま、元来が面倒くさがり屋だというのはあるんですが。最近では本屋にいって本を探すことさえ面倒になってきています。。。orz
(紙さえ嫌になってきて、もらっても全てスキャンして破棄している今日このごろ。その省力化の話はまた今度)

んで、友達からkindleを誕生日にもらってからというもの、最近kindleで売ってる本は全てkindleで読んでいるのですよね。んでもって、一時期よりいっきに本を読むようになった。本当に隙間の時間に色々な本をバリバリ読んだりできるので、これがかなりいい。軽いとかのデバイス面もさることながら、実はkindleを使ってみると、結構使っていない人には分からないサービスが結構あるんですよね。

まずめぼしいのは

・kindle日替わりセール
「毎日1冊、24時間限定でKindle本の人気作・注目作を、通常価格から50%OFF~の特別価格でご提供!」ってわけですわ。
・kindle月替りセール
「Kindle本の人気タイトルを40%OFF~のお買い得価格でご提供!」

この2つのサービスだけでも結構本を読む頻度は増加しましたね。読もうかなどうかなと思っていた本とかでも、kindleですぐにその場でDLできて、なおかつ普通に買うより半額とか1/3とかで販売されていたりするので、読んでしまったりするわけですわな。

・kindleオーナーライブラリー
あと、知られていないのが、この「kindleオーナーライブラリー」ってサービス。
これは実はkindleユーザーかつプライム会員(年会費をamazonに支払うとお急ぎ便とか時間指定便とかがタダになるなどのサービス)だと、月1で「無料」で読める本が結構あるったりします。ネット貸本スタイルで読んだら返すんですが、二度も三度も読む本ってそんなに多くないですからね。十分です。

・kindleコミック
あと、kindleに相性いいのは漫画ですね。宇宙兄弟とか進撃の巨人はじめとして読んでいる漫画は最近バリバリkindle配信に対応してくれていて、もうkindleで購入です。少しだけ安いですし、漫画って連載されると何十冊と発刊されるので自宅保管するのにもストレージコストが大変かかる代物でもあるので、断然kindleですね。あるときに一気読みとかも簡単にできるし。

あとは読んでいて皆がラインを引いている場所とかもわかったりして「あーここが皆にとってツボなのか」というあたりとかも結構面白いですね。ま、そのあたりの機能面はまた今度。

◯kindlePaperWhite Wi-Fiがベストバイ
なんかkindle自体もニューバージョンも発売されて、今なら9980円でこれに1980円分のクーポンコミコミとなって販売しているので、実質8000円ということでおすすめですわ。色々とモデルがありますが、このPaperWhiteの一番安いWi-Fiバージョンで十分というかこれがいいです。

軽いし、通信しない時はフライトモードにしておけば劇的に電池持ちます。この1年で手にはいったデバイスでは迷いなく本好きの友達には勧められる買いの一台です。



Kindle Paperwhite(ニューモデル)

あと、今、kindleが一周年記念で結構いい本を安く配信しているので、これを期に読まれることをおすすめする本をご紹介。

まず、「◯◯再生」とかの仕事に携わる全ての人が絶対に読んだ方がいいのが、この三枝三部作。これらも激安で1冊286円。3部作揃えても1000円かからないんですよね。。安い。
V字回復の経営 2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
経営パワーの危機 会社再建の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)
戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

あとは、ここ数年で話題になった2冊。

ワーク・シフト (孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>
ワーク・シフトを読むと産業の変化と仕事の仕方の変化から、自分がどういう仕事の仕方を今後目指していくのが面白いのか考えさせられますね。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
従来の製造業のモデル変化について考えると、実は製販のあり方が抜本的に変わるかも!と思うと、メーカー→卸→小売みたいな産業革命以降に分化してきた役割が再編されたり、パワーバランスが変わったりすると、まちの変化についても考えを巡らせることができる一冊。

最後にもはや古典の域ですが、松下翁の経営哲学本。
道をひらく

こんな本とかをどんどん安くかって読めるのがkindleの良さっすね。

まだあんまり使っている人が飛行機とか、新幹線みていても少ない気がするのでおすすめっすねー。

 
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放置空き家の更地誘導目指す空き家対策法案 (No.999)

自民議連が発足していた空き家対策ですが、議員立法で対策法が提出されるようです。

◯【朝日新聞】空き家自主撤去で固定資産税減免 自民議連が対策法案
http://www.asahi.com/articles/TKY201310220429.html

要約をすれば、以下の3点が書かれています。

・空き家を自主撤去した場合に土地の固定資産税を軽減する
・市町村に空き家への立ち入り調査権を与える
・市町村は所有者に除去や修繕などを命令できる

これらの問題意識に関しては、2013/6/11のBSプライムニュースにおいて「老朽化する空き家にどう対処するか」という討論が議連会長が出演して語っています。以下にログが詳細に残っているので、ぜひ。これで今回の法案での対応すべきだと考えてるポイントはわかりますね。

http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt130611.html

今は更地並課税より空き家を放置している方が固定資産税が減免されるという条件が基本なんで、皆はどんなに朽ちようともそのままという話がありました。商店街の空き店舗問題も同じですね。使わない、使う気もなくてもそのままにしておくのがベストということでした。既に地方都市では、人口減少産業衰退によって空間需要は減少してきており、過去作った建築物を全てそのままにしておくと大変な荒んだ状況になっていきます。

 
写真・地方都市の中心市街地に点在する廃墟

そこを是正していくということでありますが、ま、実際には「解体費」というのが、どれだけ新たな固定資産税減免措置による金額で賄うことができるかというあたりです。例えば1年間で解体費が出るレベルの固定資産税減免というのは難しいとなると、どの程度なのかというあたりで、「ま、面倒だしいいか」ということで放置されることもあるでしょう。そのあたりは経済インセンティブでせめるのであれば、ある程度調査権も出てくるのであれば、問題物件に関しては、一定上記のようなオーナーの維持モデルをベースに指摘して誘導していくことが必要でしょうが、行政コストがかかりますね。単純にオーナーに負担させて「修理しなさい、解体しなさい」という命令をするというのでは、財産権の問題に抵触しそうですからね。となれば、ある程度の中心部みたいな固定資産税評価額が高いエリアでこそ運用できそうですね。

となれば、

放置物件→更地にするか、本当に活用するか否か。

という議論は巻き起こりそうです。この点で、まち会社とかは更地誘導したら周辺物件にプラスになるような計画を組み立てる、利活用できる物件なら利用したほうが課税が安くすみますよ、という話で活用提案をするということができそうです。

自分が関わる地域のいくつかでも、リノベーションによる利活用と共に、そもそも必要容積がなくなっているので、一部はまち全体の減築としてある程度利用不可能な物件については更地にして緑地帯にしようみたいな取り組みも検討しているので、それには有効に機能してくれそうです。ただし、まだ利用できる物件が安易に全て更地になって変な再開発計画とか組み立てられたりしないようには危惧するところです。

どちらにしても、これまであったような中心部の物件オーナーを今のままで減免措置をづつけるみたいな話よりは良いと思います。

[参考]中心市街地の用地利活用を促進するためには減税は逆効果!? (No.978)
http://blog.revitalization.jp/?eid=810833

このように更地にして、例えば緑化して民間公園的に運用していけばさらに固定資産税減免みたいな「利活用」までを視野に入れた内容になっていけば、周辺の価値にもプラスに影響するでしょうから、そういうバリューアップまでをカバーできるような制度につながっていけばよいですね。


・兵庫県佐用町の更地を芝生を販売する会社の養生場所として活用した緑地化
 
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活性化に必要なのは「欲」である。 (No.997)

自分自身が活性化事業に取り組むことと、他者の人たちが活性化事業に取り組むことのサポート要請されて実施することで、どうしても違和感がありました。前者であれば全く問題にならないのに、なぜか後者になるとこちらでどうにもしがたい問題が出てくる。

その決定的違い。それは「欲」です。

まちの活性化というのは、仕掛けるチームが現状の衰退状況に対して、自分まちのまちを「こうしたい」という明確な欲をもって行動する必要があります。当たり前ですが、活性化のあり方、到達地点に正解なんて存在しません。

いくらワークショップをしようと、いくら市場分析作業をしようと、最後には、誰かが自分達で欲を持って行動に移さないと、何も変わりません。話し合いだけでは前に進まないし、欲がなければ「何か成功する事業ってないですかね?」みたいな人の欲に相乗りするみたいな話しか出てこない。これでは、プロジェクトの発端が出てこないんですよね。

何より大変厄介なのは、「欲」というものは主観的かつ能動的なものなんですよね。

私たちも自分でやってきた、やっている方法論を人に伝えたり、事業計画における要点を抑えて共に作ったり、地域で実装していくときの具体的なアクションとかは体系化して学んでもらえるようにしたりはできます。

しかし、地域が仕掛ける当事者に「欲」がなければ何も始まりません。
組織で決まって仕事だから、地元でやらなくてはならないという話になっているから、なんとなく、、みたいな欲の希薄さが出てくると、とたんにプロジェクトは滞り、魅力は失せて、誰もそれに力を貸そう、絶対によいものにしようという話にならなくなります。

方法論の以前の問題なのです。仕掛けるがわに適切な「欲」があるか否か、というのは。

活性化事業に取り組む人は、適切な「欲」があるのか。これが問われています。

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商店街は従来型卸小売から製造小売に転換できるのか。 (No.993)

先日再掲したエントリーで知人と議論を交わしていたので、少しこちらにも整理したいと思います。私は今後の商店街で行っていく中小商業は、卸小売では相当なセレクト効かせられる店か、自ら商品そのものを製造して小売する店か、技能によって差別化できるサービス業くらいだと思っています。

既に数十年単位で地域商圏を対象とした流通業の末端としての中小小売業は競争力が相対的に低下し、したがってシェアを落としてきたきたわけです。中小小売商→量販店の流れですね。さらに今は量販店→ネット(中小小売商も参戦)という形式に以降していっています。となると、地域内でどこにでも売っているものを提供するという役割自体が様々な競合(ネットも含めて)が出てきて普通にやるので、卸小売はゼロにはなりませんが、その役割は普通に特別ではなくなるので、ますます利益率が低下するのも当然と言えます。量販店とかネットで安く売るのが悪い!のではなく、もう特別その人がいなくともいくらでも代替が可能な市場になって、さらには市場規模自体は縮小するという状況になっとるわけです。それをいい悪い言っていても計画経済ではありませんから、無理なわけです。であれば目はもっと先に向けられるべきです。

それが製造小売による新たな中小商業の可能性というところです。以下参照。


さらに、中小事業者でも、従来は直接小売とかしていなかった商品、B2Bを主として来たような部品販売とかもネットで行えるようになったりしていて、最近では自転車関連から、建材関係までネット経由で販売して成長しているところもあります。国内のamazonで好調だと、海外のamazonからも出しませんか、というお誘いがきたりします。
だからネットという地域商圏に物理的に縛られない形式の統合型マーケットを対象にして中小小売とかは従来になかった市場携帯で伸びていき、そこで中小事業者が活躍するというのも出てきているわけです。

つまり、一定の産業基盤があり、したがって一定の人口のある地域商圏のボリュームが確保されるところは、都市部において内需対象にした製造小売やサービスという都市型産業のモデルで中心部を作り替えて競争力を持たせることができるということです。

さらに、ネットなどの全国・世界統合マーケットに出て行ってかなーりニッチな領域の商品を売りさばいていくこともできて、それは品揃えとか投資規模に左右される従来の競争軸とは全く異なるところで外需を狙うことができます。昔は商圏が分断されているから出稼ぎにいったりとかでしたが、これからは地域内内需を回しつつ、ネットにより統合されていくマーケットには地元にいながらにしてアクセスできるという二重作戦で成長余力を持つというところです。

今までのあり方を捨てて、次なる市場変化に対応できるのか。大型化には対応できなかったというのは資本調達力とかで仕方ないところもあったかもしれませんが、これからは特段大きいことによる効率性が強いことではない戦いと思っています。ともなれば、あとは中小小売商側が変化するか、しないかというお話です。

商店街を昔のように、みたいな時計の針を戻すようなノスタルジーは無理ですが、自ら時計の針を進めて新たな形に変化することは可能です。

けど私は従来の店の変化というのはやはり固定観念とか、もう年だから無理とか、色々と理由をつけてやらないので、新たに商売始める人達がこういう変化に対応すればいいと思っています。既にそういうお店は沢山でてきていますしね。結構こういう店の出現と増加し面白いのです。年数重ねれば新陳代謝で置き換わるようにしていきたいと思っています。

「まちづくり:デッドライン」でもハイブリッド店舗経営の事例とかも指摘していますが、東京とかでやってて地方にもどってくる店舗経営者の方々が実践しているモデルです。

以下は昨日のやりとりです。ご参考までに。

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Q : 転売が主のビジネスモデルに頼ると、‐売での利幅の大きい(仕入れ値が安く、売値の高い)商品を扱うようになる、顧客にとっては満足度が高まらない(本来の価値以上のものを買うのですから当然)、7覯漫△客様も離れて行く、と衰退しかねない怖さがありますよね。

木下 : やはり競争の基本的なポイントは、商品、価格、サービス、ブランドという4点が大きいわけですが、転売では、まず商品自体で差別化ができず隣近所でも同じものを取り扱える。価格自体もご指摘の通り卸から仕入れるので粗利が低いから価格競争するためには卸価格の引き下げできるだけのバイイングパワーが必要だが中小小売商には無理、サービス面での違いを出すというのがありますがこれはほぼ立地での利便性くらいしかやっていないところが多い、ブランドは別にない(あえて言えば熱海というブランド?)だから特段地域内で差別化要因にならない、といってしまえば、同じ商品をより安く立地の良い場所で販売されて駅ビルなどの安心感がある環境で出されたら一発ということですからね。


Q : 製造小売でしたら、製造プロセスに時間がかかるために、転売以上に、市場を的確に掴まないといけないと思います。ある商品から別の商品にチェンジすることをスムーズに進めるには、どうすればよいでしょうか?

木下 : 製造小売といってもラインを組むわけではありませんので、その場で商売になるものを自分で見極めて、自分の手で作れるものをその場で作って提供するということですからね。事業を継続する知り合いは、商売替えをバリバリやっています。最たる人は、電気店を廃業して、出家して寺を立てましたw スムースに進める以前として、別のやりたい商売を見つけるのが先決かと。やっぱり自分も、周りもみてて思うのは、何かやりたいという動機ってとても大切で、何が儲かりますか?何が失敗しないですか?というのは少し視点が違うかなと思っています。動機がないのであれば、商売は辞めたほうがよいわけですが、それでは生活が成り立たないというのであれば、必至に考えるかと思います。商売やめて別の仕事につくというのもありますしね。うちの父はそうでした。


Q : なるほど。「製造小売」は「転売小売」以上に、主体性が求められるわけですね。当たり前の事実ですが、案外見落とされているような気がします。

木下 : 元々転売自体は、卸の人たちが店の陳列までメーカーの営業の人がやってくれてきたところも多く、土産店では結構未だにそういうところもあるんじゃないですかね。どちらにしても、品物のセレクトとかは卸に任せていたりと目利きさえしていない人もいます。そうでない場合にも、やはり商品自体のセレクトの幅は市場シェアでみて、主体性のあるしな選びって相当に難しいです。一方で製造小売は単なる場貸しみたいな商売はできないので、主体性は極めて大切だと思います。単に業態替えをするというよりは、そもそもの商売の構造自体が違うといいましょうか。そのあたりは違いますよね。


Q : 皮肉な言い方はイヤなのですが、製造小売に変身できる小売商って少ないのではないでしょうか。製造小売でいけば生き残れるのではなく、製造小売でいける力と主体性がないと生き残れないのではないか、と思ってしまいます。

木下 : 仰るとおりです。なので、既存の卸小売の商店のほとんどは現在の世代の人たちで廃業します。しかし、別の人達が新たに創業して置き換わっていきます。その時に製造小売業態が多くなっています。サービス業含めて(サービスも技能とかで差別化きいて粗利が高い)。今、既にそうなっています。


Q : なるほど、既存の事業者が「生き残れる」ようにするのではなく「生まれ変わり」を視野に入れる、ということですね。ビジネスの感覚としては当然なのでしょうが、行政にはこの観点が少ないだろうな。これは大事なところですね。

木下 : まさに生き残るなんてことは僕はないと思っていて、LivingDeadになっている商業者を集めても救済策を求められるだけで、新たな価値を生み出す話になんか全くならないです。ちゃんとした商業者はそういう集まり自体に出てこないので。行政は対峙するのは、圧力団体である業界団体の鎮圧という意味合いが強く、本気で商業をどうにかしようなんて思っていない場合が多々あります。本気の場合は全くもって、生き残りではなく、生まれ変わらせるという政策を持ち出すのが適切と思います。つまり今の人達を優遇する(補助金で集客イベントとか)のではなく、業態替えなどの投資をする(新たな商売やる気がある際の資金調達サポートなど)ことを誘導するほうですね。


Q : 行政が本気ならば、「自ら積極的に新陳代謝して長生きするか、生まれ変わってフェニックス(不死鳥)になるか、安楽死を選んで潔く身を引くか、どれを選ぶ?」という選択をさせる政策ですね。

木下 : いえいえ、悩み続けている領域なので、今の自分はこのように考えているところでございます。その通りですね、どちらにしても投資をしなくてはなりません。自分自身が業態を変えるための修行の時間などを含めて。地域商業は内需を地域内で回すという地域経営の視点においても、また日銭商売というものはこういう時代には個々人のセーフティネットとしても極めて大切だと思っています。だからこそ、既存事業者を中心とした政策を行使して、既得権化してはいけないと思っています。

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まちに関わる学生は「事業」を仕掛けよう (No.992)

私が早稲田のまちに関わった15年前は、まちづくりなんてやってる学生は0.01%程度しか居ませんでした(実際に5万人程度の学生があるのに5人程度しかまちづくりなんてやっていませんでしたw)が、最近の多摩地区の大学向け調査とかみると20%近くが何らかの地域活動に参加したことがある学生がいたりします。本当に世の中は変わりましたよね。大学のゼミでもやっていたり、サークルがあったり、と関わる経路はいろいろのようです。

しかしながら、やはり取り組みとしては活動ベースのもので、内容的には「お手伝い」というものが多かったりします。中には「学生らしいアイデア」というものを期待した活性化プランコンペみたいなのやってみたりする地域もあるみたいです。補助金もらって空き店舗で店やってみたというのもあるみたいです。が、学生主導で大きく何かが変わったという話を聞いたことは大変希少なケースかと思います。

前述の通り、私自身は15年前の高校1年の時に講義とかではなく、個人的に関心をもって早稲田商店会に連絡して取り組みに参加したのが発端で今みたいな仕事をしています。高校3年の時に商店街の共同出資会社を任されて、大変酷な経験をさせていただきましたがw、それが今の糧となっています。何も分からないままに飛び込んだからこそ学びは大きかったと今となっては思います。だからこそ、地域に関心をもっている学生の人にも、お手伝いレベルではなく、もう少し現実の地域課題と真剣に向き合い、それを解決するために「事業を起こす」ということをやってもらいたいと思っていました。

そんな中、大学に地域系の専門コースなども出てきていまして、北九州市立大学地域創生学群の先生方と出会いました。その出会いから、昨年から北九州市立大学地域創生学群とエリア・イノベーション・アライアンスとのコラボレーションによって展開する、地域で自ら起業するための実践型教育プログラムを仕掛け始めています。

◯北九州市立大学×AIA 「地域起業型インターンシップ・プログラム」

簡単に説明すると、自分たちでまちなかの空き地やお店とコラボして、普段まちなかで商売などしていない人たちを巻き込んで、事業企画を組み立てるというプログラムです。しかも、リアルな現金を取り扱って事業計画を策定し、場所の確保も自前で行う、組む事業パートナーも自分で交渉し、決算まで責任をもちます。つまりは、お金を扱い、実際のまちを舞台に事業をやってみるということです。

北九州市の商店街などとはAIAでは前々からリノベーション事業など一緒に仕事する接点が色々とある地域でもあり、当然北九州市立大学の先生も実際に深くコミットしていますが、あまりお膳立てはせずに学生が自ら仕掛けることを重要視。

AIAからも講師派遣をして事業のすすめ方などを概説し、仕掛ける企画内容、事業計画を策定する一泊二日のブートキャンプを開催し、そこで決定した内容をもとにして1ヶ月程度で事業化してみることになっています。一ヶ月の間に数度の進捗確認会議を行い、値付けや集客状況など含めてお互いに管理しつつ進めます。重要なのは、計画したことを補助とかなしに自分たちで仕掛けて形にして黒字決算まで持っていくという一連のプロセスをやり切るということです。

学生向けのビジネスプランコンテストみたいなのやったりしますが、あれって無意味だと思うのはプランを競っても意味なくて、プレゼンがうまいだけで、実務やったら何もできなかったりする。しかもコンテスト止まりだと、それだけで評価されてしまう。勿論プレゼン能力も大切だけど、プレゼンだけで留まるのは全くもったいない。やはり実行してなんぼなわけです。

昨年から始めた本プログラム、今年で2年目になります。
最初は難しいかなと思いつつも、できるはずという意識で仕掛けたプログラムでしたが、やってみたら実に学生たちは創造を超える企画をたて、それを実現し、しっかり黒字決算を収めています。実に素晴らしい。地域に関わる大人でもなかなかやりきれなかったりします。

2年目の今年は、ビューティーレッスン。美容の専門の先生を呼んで、アクセサリーなどの関連商品の販売をしてもらったり、ドリンク販売をしたりという複合的に色々な人を巻き込んだ企画でした。しかも前日までに100人のキャパの9割を売り切ったという営業力が素晴らしいものでした。


KYOMACHI PROJECTでは、普段使われていない駐車場で、大変良い場所にあって皆が使いたいけどなかなか使わせてくれない場所を活用した企画。最初は地元の大人たちが「あそこはなかなか使えないよ」という苦言を呈していましたが、学生たちは交渉してここを突破。マーケット企画を開催。北九州にはポポラート三番街含めてリノベーション企画がバリバリ進んでいますので、ここからそこに出店していく流れもできるかもしれません。これは出店料ビジネスですね。


うおまち秋のマンガ祭という企画も開催したチームもあり、これは地元でマンガ収集家の人と出会い、まちなかのスペースを活用してマンガが読めるスペース運営というものをやっていました。今後の捻りは必要ですが、こういう出会いを見つけてくるあたりが面白いものです。10月13日にも開催するそうです。



やってみて驚くのは学生の成長速度です。
普段は全国のまち会社の方々などと事業開発やブートキャンプとか色々とやりますが、若さというのは自由な発想とかそんなものではなく、成長力だと思いました。純粋に問題に向き合い、課題解決に努力すると、数週間で目つきが変わったり、事業の問題点を自分で見つけてきたりと圧倒的に変わります。逆にこちら側も刺激になりますね。

最初は事業の仕掛け方などブートキャンプでかなり激しくこちらからけしかけますが、実際にやってみると、面白く、かつちゃんと黒字にする事業をまちで仕掛けてくる。勿論補助金とか一切なし。赤字になったら自分たちでバイトして返せ、レベルで話をする鬼プロジェクト(とはいえ、そんなことは知恵を絞ればそうそうないから、そこが僕ら実践してきた人間の知恵のサポートの出しどころ)。しかし、そういうガチの事業として取り組ませるから真剣味が出てきて、主体性もでてくる。

これによってできる事業は、AIAとして推進したい同時多発型の地域再生事業のあり方の一つでもあり、つまりは大学の講義でもあるが、実際の地域社会においても価値を生み出すという自己満足ではない二度美味しい中身であるのです。

北九州市立大学では来年からは正式な講義となる予定ですが、こういう実践経験は学生にとって将来どのような仕事に就こうとも力になるでしょう。だって自分でお金を扱って、大人たちと交渉して事業を形にして黒字にまで持っていくことを一回しできた人材は、働く段階になって確実にバイトしかしてこなかった学生とは実社会における戦闘力が違います。公務員になろうとも、実経済の手触り感があるだけでも全く働き方が違うでしょう。

地域と協業を推進したい大学と複数連携してAIAではこのような教育プログラムを国内で普及したいと思っています。複数の大学が参加することで、より学生間の刺激も増加しますし、AIAでは常に地域での課題と直面しているため、より事業構築力のある積極的に若手人材を各ローカルのまち会社で確保できる可能性もあると思っています。自分で業を興した経験ある人材にこそ、地域にきて一緒に事業を仕掛けて欲しいんですよね。僕らの狙いは教育そのものというよりは、地域にかかわる学生に「事業」を仕掛けてもらい、それによって地域を変えていきたい、そこにあり、実力ある人材に場合によっては起業して事業を作り続けて欲しいと思うところなのです。

また別軸では、海外の大学に留学しつつ、海外のまち会社にもインターンする、みたいなパターンもありえるなと思っています。それで国内外で活躍する人材も生み出して、AIAの考えるアライアンスによる事業の高度化を図っていく一人になって欲しいと思います。

学生の皆さん、教室をでて、まちに出よう。そうすれば、さらに学びたいことが沢山でてきて教室に戻ってみて学習し、さらにまちで試したくなっていくと思います。そのスパイラルが大切。

そして、こういう地域に資する人材育成に関心のある大学があればご連絡ください。もっと大学が地域における教育と貢献のあり方を変えられると思います。

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商店街にとってアーケードの存在はいいことですか、わるいことですか? (No.991)

昨日、友人のG-netの秋元氏より朝一番で「商店街にとってアーケードの存在はいいことですか、わるいことですか?」という直球勝負なご質問を頂いたのを発端にしてやりとりをさせてもらいました。それを少し加筆修正して掲載します。

商店街のアーケード問題ってもう長らくというか、僕が商店街に関わるようになった15年ほど前からずーっと言われている話で、「アーケードを撤去すべきかいなか」「アーケードを維持する資金を稼がなくてはならない」とか結局のところ、あれだけの巨大建築物の維持は頭痛の種だったりします。

 

しかも、知らない市民の方もいるのですが、アーケードの多くは商業者たちによって組織されている商店街振興組合が、組合員から負担金を集め、それだけでは足りないので主体的に補助金を国や市町村からもらいつつ、さらに高度化資金などの制度融資を受けて建設・管理しています。道路の上にあるので自治体が建てていると思っている人もいるみたいですが、基本的には違って、「商業者たちがお願いしているから建てさせている」というのが基本的な体です。

アーケードは数億円、数十億円と建設費がかかり、さらに毎年数百万円、数千万円の維持費がかかり、それらを商店街振興組合に加盟する組合員の分担金を原資に上記のような補助金と制度融資で建設費は補助しつつ、しかし維持費は商店街の自前で賄うという構造です。

近年の商店街加盟店舗の経営難の状況で、この分担金を支払うのが苦しくなってきており、それを原因で商店街振興組合から離脱する店も多く、新規加盟も低迷していたりもします。メリットはアーケードがあることと言われても、それだけの自分達の店の経営にプラスがあるとは思わないというわけですね。

さらに、商店街振興組合の理事は制度融資を受ける際に「連帯保証人」のはんこを押していたりします。つまりアーケードの巨額の負債の連帯保証責任を負ったりしているのです。正直、自分の懐に一切お金は入ってこない(というか出て行く)ものの連帯保証人というものをするというのは、経済原則的にアウトなわけですが、ま、それが慣例としてやってきました。新規理事にこの連帯保証責任を負わすとなると引き受け手がいないので、建設時の理事メンバーが死ぬまで負っている場合がありますが、それでも死んでしまったら新たな保証人をたてないといけないということもあり、理事の引き受け手が出てこないという問題も実はあったりします。ある商店街振興組合では解散するにあたり、理事長が多額の負債を支払ったということもありますし、破綻するにできずにリビングデッドになっている商店街とそのアーケードもあります。

 

恐ろしいことにアーケードは老朽化するので、お金がなくても朽ちていきます。結果として、朽ちたアーケードは公道上の危険なものになったりします。実際にアーケードやアーチなどが老朽化して、市民が下敷きになって怪我や時には死亡事故になったりもしています。

とまぁアーケードと商店街振興組合という構造は結構根が深かったりします。

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◎秋元氏 : 商店街にとってアーケードの存在はいいことですか、わるいことですか?あるいはどういう場合には良くて、どういう場合には悪いですか?

■木下 : 私は商店街が自ら整備するアーケードは「貴族の設備」と思っています。とんでもない金額が常にかかり続ける巨大建築物だからです。だから、お金のありなしで判断します。

そもそも戦後の近代アーケードの発祥の地である北九州魚町は、朝鮮戦争特需でボロ儲けして、その資金の行き先がなくて、ひとまず小倉城を商業者の資金で再建して、さらにそれでも余ったから、アーケードを当時の建設省の許可無く勝手に立て始めたという経緯と聞いています。
なので、お金がありあまってる商業者が構成している商店街は、自分達ので判断してアーケードをしっかりと整備して、個別の事業者が持つ建築物では提供できない機能を皆で作るのはいいと思います。つまり、商品、価格、サービスなどの競争力は万全で、これをより強固にするための手段としてアーケードを作るって話ですね。

けど、お金ない事業者はアーケードみたいな直接的な投資対効果がみられにくい設備にお金投資するくらいなら、その資金を自分達の本業に対して投資すべきと思っています。新商品開発したり、店舗改装したり、従業員教育したり、ともっと資金を経営基盤の強化のために投資すべきです。

これとは別に、自治体とかが雪があるから中心部にアーケードが必要だとか色々と言うのであれば、社会資本整備としてちゃんとやればよくて、商業者の活性化とは全く関係ありません。イマドキ、屋根があるだけで買い物にくるなんて人は少ないし、その少ない人達のために数億円かかる設備に投資する投資対効果なんてありませんから。

今、全国各地でアーケードを撤去していっている商店街は沢山ありますので、僕はオープンモールにして、既存建築のまま若い人たちにリノベーションかけて店舗や住まいとかにしてもらうという形がやっぱりいいなーと思っています。自分としての実践的にも、その他の実例的にも。

◎秋元氏 : なるほどですねー、すでにアーケードがある場合にそれをかつようするのがよいのか、それとも撤去して各建物のリノベーションや再開発がしやすい状況を作るのが良いですか?あるいは、複数の振興組合で構成されている柳ヶ瀬で特定のかしょ、特定の組合のみが撤去をきめたことはどう評価すると良いのかしら?

■木下 : 基本、撤去ですね。未来まで負債施設であるアーケードを残すくらいなら、ここでいっきに取り払った方が、中期的に良い方向に向くと思います。ただ重要なのは、「アーケードを建てるとか維持するとか撤去する」というだけで、商店街はよくならないということです。


・アーケード撤去して一部緑化した米子

重要なのはそれぞれの不動産や店自体がどうその機会を皮切りに変わるのか、というのなしに、単に共有部分であるアーケードの話だけする方が空虚でもあります。あくまで補助機能であって、メインではないのです。特定の団体だけが決断できた、と評価すればいいと思いますよ。むしろ、皆でそれに続いて、全体的に撤去して、その上で各店舗や不動産が何するかという方が大切す。

最悪なのは、アーケード取り払って、その上でストリートの街路整備とかまたむちゃくちゃやって、けど、店とかはそのままでクソ、みたいなのは全くもって何も変わりません。税金を無駄遣いして終わりなだけと思います。アーケードの問題は商業としての諸問題を思考停止させる理由にはなりません。

あと、再開発を岐阜の商店街でもってのはもうないと思いますよ。まぁあっても商業ビルはなく、マンションとかに鞍替えしちゃうとかでしょうか。既に駅前であれだけやってて、郊外でも普通に新規開発物件はあるわけなので、まちの競争力を形成するには既存物件での対応を徹底して低コスト経営が実現できるところからスタートして、その後開発については検討したほうがいいです。

やはり今後、経済的に細っていく中で、撤去する補助金が活用できる自己資金があるうちに、僕としては普通に撤去をしたほうがいいかなと思います。とある商店街では、アーチが崩れて女子高生が下敷きになって亡くなられたり、その他の地域でも商店街振興組合が破綻し、その負債部分を理事長が負担されたり、と。アーケードをお持ちの商店街では連帯保証人のはんこを理事さんたちが押されていると思いますが、そういうことも起こりうる、ということで、せこい木下は早めにとれるものはとっておいて、その上でできることをちゃんと進めないと、後々大変なことになるというものを見てしまっているのでございますー。

だから、そんなカネは問題なくはらえるぞ、という商店街のみ使えばいい手段であると思っています。

◎秋元氏 : ところで、さらに疑問点。商店街活性化ってあたかも、社会問題のように語られ、地域のことだから税金を投入すべきだ、的な話になりがちだけれど、よくよく考えると、単に個店の商売、すなわち金儲けがそれぞれうまく行っていないというだけのことではないか?と。そこに金や資源を投入しまくるというのはどうなんでしょう?

もちろん、これまでの投資されたインフラを、集積して効率の良い部分を活用するために、とか高い地価エリアを維持することが税収上意義があるとかって指摘には一理あるとは思いますが。

■木下 : 2点あって、一つは秋元くん言われるとおりで、まちづくりというのは、その指定するエリアで不動産を保有する人たちの不動産経営上の問題であって、その不動産で商売をしているビジネス主体者の経営がうまくいかないという結果の問題だったりする。だから主体者たちが自分達で資金出しあってまちづくりをするのが筋なんですわな。逆に行政が本気出したところで、そのまちの土地のほとんどは私有財産。あーだこーだいっても私有財産を徴発して開発とかできないわけですから、本人たちが本気になるのが前提です。各国で取り組まれているBIDのモデルはその発想ですね。本気になった地主やビジネスオーナーたちが資金出しあうことの仕組みを行政がサポートするモデル。けど、日本では皆余裕があるから、別に衰退しても自分達の生活が直接的に困らない人も沢山あるので、なかなかうまくいかないのですよね。

一方で、社会コストの視点からやるところもあるようで、不動産オーナーたちがまちを放棄するとご指摘のとおりで税収的な問題が発生するとか、不良がたむろして悪いことが沢山発生するからというところもあるけど、結局は税収的にはは交付税で補完されたりしているからね。税収的の短期的な視点では、結局そこまで困っていない現状もあるし、そもそも税収を増やそうなんて行政マンは稀有です。適当にやってるというレベルすね。実際に、そんなに商店街活性化が社会問題とかいいつつも、そこまで多額の資金が投入されるまちの方が少ないです。

あとはまぁけど絵に描いた餅だけど、郊外に広がった機能を中心部に戻した方が社会コストが安くなるって話とかもあるけど、結局私有財産だから、莫大な再開発をしたり、公共施設と民間施設を併せてみたいな無理やりやる自治体もありますが、どんどんその施設は破綻しています。これで破綻していない施設は、こういう問題をすべて理解したメンバーがちゃんと仕掛けている一部のケースだけですね。大抵、再開発コーディネーターみたいなのにまるなげして、失敗。

どちらにしても、僕は一義的にまちの問題は物理的なエリアをしていする限り、不動産は切っても切れ話せないので、当事者である不動産オーナー、その物件を構成するビジネスオーナーが資金出しあったり、権利を考えなおすことなしにどうにもならないと思っています。事実そうですし。

結局タテマエの世界ですね。本気ではない。つまり結論、商店街や中心部が衰退しても、大して困っていないのがリアルかと。

◎秋元氏 : なるほどですねぇ。結局、意欲ある人たちがいないと始まらない、でもってその支援策としてはBID的なものがよいってこと?

■木下 : やる気にならせる政策とかはないって僕は思っているんですよ。なので、「やる気になっているグループにはこういう支援制度がありますよ」というのは、中心部であろとなかろうと行政がするのはまだよいけど、やる気になっている人たちのいる特定の地域に支援しているのは全く意味がないと思いますね。最後は全部税金でやってくれ、になるし。

だって意欲がない人の会社が潰れるのは当たり前だし、意欲のない地域が衰退するのも当たり前だし、それによって意欲のある人たちがあつまるまた別のまちが形成されたりして、そこから僕が楽しめるまちができたりする。ま、そういう流なのだと思います。長い目でみれば、決して悪いことばかりではないかなと。新陳代謝ですね。

◎秋元氏 : では、おうおうにして特定のエリアって考えると、意欲ある人たちがちょっといって残りは意欲がない、ってことが多いと思うのね。その場合は、やはりエリアを支援する施策をうつというよりも、リスクとってチャレンジしようと言う人たちに対して応援すべき、ってことだよね。

■木下 : まさに規定エリア、既存の組織、でやるのは難しい状況でございます。
なので、やる気のある1人のひとを軸にして3-5人程度のチーム作って、法人つくって、事業を仕掛けてしまうことが多いですね。ただ仕掛けるがわとしてはその後連鎖させていくというシナリオを作っておいて、後出しでどんどん攻めていく感じですね。

どちらにしても全部まとめようとか、商店街として活性化しないと個々は活性化しないとかないので、個々が勝手にやり始めることが大切だなと思ってやっとります。

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まちづくり人材育成は、教育プログラムではなく、出口から考えろ。 (No.979)

まちづくり分野で長らくずーっと言われているのが、「人材育成」です。

各省庁もこぞって人材育成事業の予算を積んで、座学型の研修やったり、現地研修というインターンプログラムのようなものを用意したりしています。ただ、じゃ、それを経験して「素晴らしいまちづくり人材」が生まれてきた試しがあるかといえば、少なくとも私のまわりの事業やってる人たちはそんな研修事業で勉強してやっている人はいません。

そもそもまちづくり人材というのは、流動的なものです。常に出入りがあって当たり前。
ある市場があった時に、その市場に出入りする人材というのは、その市場の付加価値生産によって左右されます。付加価値生産が高い産業であれば、より優秀な人材が集まり、低い産業であれば、そうではない人材が集まる、というのが基本です。

「まちづくり領域にいい人材が来ない」というのは、付加価値生産自体の体制が担保されていなかったりするために、やりたくても、イキナリ飛び込んで仕事にできる人じゃないと無理ってこと。実際、若くて優秀な人材で地域活性化に流入数は増加しつつあるとおもいますが、それでも、やはりその前にその地域に一定の報酬とかも用意できる体制を用意したりしないと厳しい反面、かといって付加価値生産にプラスにならない単なるぶら下がり社員みたいなのでもだめ。だから時限的に報酬は支払いつつも、その働きに応じてさらに継続したり、独立してやってもらったりというパターンでやったりするわけです。だから日本で若者系のプロジェクトが注目されるのは、交付金系の充実している中山間地や離島系などが多いのは、このような初期部分の人材資金を担保しやすかったりするからです。ただ、この初期の時期にキャッシュ・フローを作れる人材でないと、継続は困難だったりするのも事実です。交付金系で若者が使い捨てられている実態も垣間見たりします。

プロとしてまちの課題解決や生き残り、はたまた成長を実現していくための主体という人材は、極めてレアです。今現在は、人材育成事業の講師になるような人たちは、そのようなかなり特異なキャリアで達している場合が多いです。ビジネス領域でバリバリやってて一定の年齢に達してまちのために尽力しているパターンは、海外のBIDのチェアマンやマネジャーにも見られる傾向です。もしくは、自分もそうですが学生時代からまちづくりに関わり、そのまま事業として展開している人たちです。ただ、これも一握りに一緒にはできず、それぞれが都市計画分野、建築分野、僕みたいな経営分野みたいな領域を持って、そこで実績を上げていっている人が多かったりします。

ただし、あまりここをストイックに考えなくて良いのは、基本的な兼務がベースであるという点です。まちの取り組み自体は、地元にないのであれば外から移住してきてもらうケースもあったりします。実際に既存建築活用型の中心部再生に取り組んでいる人たちは建築家などの人たちが多いわけですし、商店街とかで言えば自分の本業持ちつつ事業取り組んでいる人もいたりしますし、多様な関わり方は事業領域別ではあったりします。こうなると、こちらの兼務型の場合には、事業メニューに合わせて複数産業分野とコラボしてやっていくことを仕掛けていくことが有効であると思っています。

つまり「まちづくりやりましょう」とかではなく、それぞれの市場とまちづくりが重なるモデルを示して、「こういう事業にも取り組んでくださいな」ということを示して、参入を促すということですね。重複領域のビジネスチャンスを見出してもらえれば、兼務してやっていく層も増加していきます。先日も工務店の業界紙の取材をお受けした際に、工務店の将来ビジネスモデルとかの話なれば、まちづくりでの空間実現部分(店つくったり、住居整備したり)についての変化の道筋を一緒につけていくことも十分に可能だったりするわけです。


僕がやりたいことは、まず、プロ領域としては、各地域の優秀な何らかの特異領域を持つ実績を持つマネジャーが、複数地域に流動性を持って働き、市場全体の産業としての付加価値生産量を増加させること。それによって、流入する人材の質そのものを高めることで、中途的な了入を増加させること。しかも、これを未来永劫やらなくてはならないというのではなく、3年-5年とかの腰掛けOKで、自分の人生のキャリアの一部としてまちづくり領域で仕事してみたいと思ってもらえる環境整備をすること。また、学生時代から御膳建てされていないマジの事業として損得責任含めて、まちの課題解決に取り組ませる機会を提供することで若手から発掘すること。

専業領域についてはAIAのアライアンスパートナーのマネジャー陣などと共に攻めてしっかり複数地域での付加価値生産拡大を実現していきたいと思っています。若手人材育成は複数の大学と組んだ、学生向けの実践する機会提供をしていこうと思っています。既に北九州市立大学とは去年から開始して、来年度からは本格的なコース化を目指しています。

さらに兼務領域は、異なる別市場にいる人材にまちづくり分野にも寄与する事業領域に積極的に参入してもらえるケースを作りつつ、業界とその流入を増加させる思索を講じていくこと。ここはかなり多分野あるので、積極的に開拓していきたいと思っています。

どちらにしても、人材育成事業というのはこういう今、人材が稼いでいる別市場との関係性を紐解きつつ、同流入しやすくできるか。兼務でも関われる環境を創るか、があってこそ機能していきます。

出口もないのに、単に教育訓練の機会だけ作っても無意味って話です。
人材市場を無視して、国・地方の行政マンの一部の人は「地元の人たちが本気になってもらって彼らにやって欲しい」みたいなことをいいますが、そもそも地域衰退問題は、その当事者たちにもその責任の一旦があります。楽観的に自発的にやってもらえるように育成プログラム、みたいなのは本当にいい加減な研修だと思っています。そんなんで変わったまちはあるか?という話です。そういう機会に昔は呼ばれていったりしましたが、本当に無意味な「楽しかった」レベルの感想ばかりで、実際にそんな単なる研修で地域で動き出したのを見たことありません。講演会というのは質の低い落語のように捉えられているといっても過言ではありませんし、話を聞いたくらいでできることなんて、話を聞く必要さえないと思っています。

僕らがやってきたブートキャンプは出口から考えています。事業やってどの程度のキャッシュ・フローを生み出せるかというところをしっかり組み立てて、さらに実際に実施することを前提として合宿で集中して計画組み立てをするわけです。その時に過去にやってきたトライアンドエラーから起こりうる問題を事前に考え、対応策を組み立てていくわけです。出口があるからこそやる意味があるわけです。単にノウハウ研修だとしたら無意味です。

民間市場の人材流動のあり方について意識しないと、税金でやってる人材育成事業は単に「耳学問」を学びたい人たちに税金を投入して終わってしまうと思います。また、マネジャーの給料の制度保証とか求めたりして、自分たちの財布のことしか考えていない現場側ももう少し視点を変えなくてはならないと思っています。これは私達も含めてです。

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リスクを乗り越える人、リスクを回避するだけの人 (No.977)

今日は、リスクに関するちょっとしたお話です。日頃出会うことが沢山あるので。

重要なのは、「リスクを特定すると共に、それを乗り越える方法を作り出すこと」だと思うんですよね。様々な分野で蔓延している「リスク病」ですが、リスクを特定し、それを指摘した人が偉いみたいな風潮は本当に違うなと思うわけです。その他、新設のまち会社の事業開発においては、関係者のマインドセットを変える必要があると感じたりしています。ガチガチと営業とかも皆でしているわけですが、「条件が合えばやるし、やらなければやらない」という当たり前そうな意見を出されたりするのですが、それは完全に無理なんですよね。もともと条件なんて不利なところばかり、100%成功する事業なんてありません。

ただし、その確度をあげるために、事前に営業や契約を固めていったり、BEP(Break Even Point)を下げるのに規模を縮小させてみたりと、何度も相互調整する必要があります。つまり「条件は合うものではなく、合わせるもの」であるのです。そこが主体者としてリスク張って絶対にやり遂げられなくてならない事業をやってるい人と、リスクを計算して回避ばかりしている人との違いだと感じる。やらねばやらぬ戦いってのがあるのよね。

そもそも地域再生などの普通に考えて不利な条件で何かを仕掛ける人は、条件を合わせていくことで形にする必要があると思う。僕らは事業会社をやっているわけで、金融企業や支援組織をやっているわけではないので、どうにかしてキャッシュフローを踏み出さなくてはならないのです。だからこそ最初から逃げありきではなく、逃げられない状況でどう突破するかを決めなければならないと思っています。 

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