ずーっと同じ地域に暮らす人が7割。 (No.1010)

地域衰退の際に「最後は移住すればいい」という考えがありますし、実際に衰退地域からは仕事しなくては生活が成立しない若い人ほどどんどん移住をしていきます。今後は移住すればいいではなく、生活環境を維持できる範囲が限定的になり、「移住せざるをえない」という状況も少なからず出てくるでしょう。夕張市とかは自治体レベルでも既にそうなっていますね。

以下の統計は、人の移動範囲に関する国際比較データです。
これを見ると、ずっと同じ市や町で生活してきた人が43.8%もあり、なんだかんだで半分近くの人たちがずーっと同じ場所に住んでいて、地域という範囲まで拡大すると実に7割の人たちがあまり移住せずにずっと生活していることがわかります。様々な海外で生活したことがある人は1%に限られます。


(引用元) http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1174.html

今後、インターネットの普及で仕事は国内でもボーダーレスになっていくでしょうし、さらに経済は国際化がさらに進んでいくことで、どんどん住む場所などを国内外問わず移動していくことになろうかと思います。が、まだまだ日本人には移住することは抵抗のある選択である人が多くいるのでしょうね。一方でこれだけ国に閉じこもって生活しながら、今のような生活が営めている奇跡にも驚かれます。

また高度な医療施設、インフラ環境、サービス産業集積がある都市部へと人が流れこんでいくことは継続しますし、夕張や被災地(今後も日本国内では自然災害は続くわけで)のようなケースも出てくれば集団移住なども必要になってきますし。そういう意味では、移住という選択肢は積極的選択だけでなく、消極的選択として選ばれる機会も多くなるのでしょう。

さらに、自分なんかは今後、二地域居住や多地域居住生活をどんどんしていくことになろうなと思っています。今でも住所は東京ではあるものの、実際地方に滞在している時間はかなり長いので、従来の居住し、働くスタイルからは乖離してきています。そういう意味では、今後は従来の暮らしとは違う生活スタイルも拡大していくのだろうと思います。

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それでも都市化は進む (No.1009)

先日、「地方の時代」「農村の時代」といった言葉を中心にアジテートする議論の場に出くわし、大変違和感を覚えました。数人・数十人の若者が移住した、という話は勿論大歓迎すべき話ではありますが、それだけでもう大都市が終焉し、地方や農村に人々がかえる、なんてことはないと思います。

実態としては都市化の時代、大都市の時代です。

戦後、1950年〜1985年にかけて進んできたのは、東京、大阪、名古屋の三大都市圏への人口流入です。
さらに1975年以降は東京圏一極集中が進んできたと言えます。



(引用元) http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7675.html

首都圏の人口は1950年には1305万人と全国総人口の15%程度でしたが、2010年には3561万人に伸びて全国総人口の27.8%にまで上昇しています。半世紀の間に人口が一気に2倍以上に増加しているわけです。

バブル崩壊後は一旦首都圏流入は鈍化したものの、1990年代後半には34万人、2000年代前半には70万人の増加となっており、自然増の減少を鑑みても、首都圏の人口変化は他のエリアのような減少と比較すれば、大きな変化がないまま推移してきていると言えます。つまりは、大都市部である首都圏に未だ人々は移り住んできているのです。



(引用元) http://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr11/chr11040101.html

人口偏在は指数から見ても進んできており、未だ都市への人口流入が続いています。
都心回帰も進む一方で、流入する人口を受け止めるために大都市部周辺のエリア開発も進んで都市化が進展しているため、今後も都市圏への人口流入の流れは大きな構造的変化がない限り変わらないといえるでしょう。

極めて重要なのは、ニュースソースなどで地方における特異な事例だけをもとにして「地方の時代」といったことをうたい、それに対して過度な支援制度などを要求することです。本当に地方都市や農村の時代であれば、支援などなくても人々は地方にいくわけで、そういう人は少人数ではありますが、いつの時代にも存在してきました。

地域活性化などに取り組む上では、「大都市は荒んでいる」「もう大都市の時代ではない」といったような地方をアジテートするような意見とかではなく、現実として大都市を選択する人たちが何十万人と未だいる事実を受け止めた上でどうするか、を考えなくてはなりません。さらに現実には、人口半減予測されている地点が日本全国の6割を占める予想になっている事実とも向き合い、その中でどのレベルで生活環境を維持していけるのか、考えなくてはなりません。

自治体などの財政も極めて厳しい中では、従来のようにわずかな税収と地方交付税と債券発行で現在の地方の上下水道をはじめとするインフラを維持した近代的生活環境維持も困難といえるでしょう。


(引用元) http://www.mlit.go.jp/common/001033677.pdf

現実から目を背け、気合と根性でどうにかしていく。
現実の話をすると激しい批判にあうため、いつの間にかアジテートするような意見ばかりをしていくことが業界的に一般化していくことは極めて怖い環境と言えると思っています。

深刻な環境と向き合い、多くの人がなぜ地方都市より大都市、農村より都市部を選択するのか、その現実を見る必要があると思います。深刻な環境を直視するからこそ、現実的に有効な手段をとれると思っています。

変な勢いづいた勘違いは後々大きなしっぺ返しをくらうことになると思います。今の実情はある意味で20-30年前からこういうタテマエの心情論を中心に政策も取り組みも行われてきた結果のように思えて仕方有りません。

◯【参考】「まちづくり・失敗の本質」
http://blog.revitalization.jp/?eid=810872

こちらもお読みいただければ幸いです。
 
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事業をダメにする、支援者と被支援者の相互依存 (No.1006)

先月、国交省と経産省主催のセミナーで公民連携事業機構のご紹介をしに岐阜に久々にお邪魔しました。

その時に10年来の友人であるG-Netの秋元くんと飲んだのです。ちょうど先月、早稲田学報という早稲田大学OB雑誌に彼とネット対談しまして、その簡単な打ち上げ兼ねた飲み会でした。

さて、その時の話を秋元君が以下のブログにまとめてくれました

【秋元君ブログ】ダメな事業のほとんどは、やってる奴がダメなだけ。

私が係る地域再生・都市再生の分野にしても、秋元くんが力をいれている中小企業支援とかにしても、基本的に「うまくいっていない」分野なんですよね。とてつもなく失敗しまくっています。

というか、1%も成功していない。取組みの数からしたら、短期的に成果を挙げるものだけ抽出しても0.01%くらいでしょう。1万件あって1つあるか否かというレベルだと思います。

あまりに失敗するので、どうにか失敗しないように、ということで資金面でも様々な支援制度があり、さらに専門家派遣とかも山のようにでています。前者を「フィナンシャルサポート」、後者を「テクニカルサポート」と呼びます。世に言う支援というのは大きく分けてこの二つになります。ま、そんな支援制度まとめるだけで、タウンページ何冊分にもわたるような資料になるくらいです。

それでも、不思議なもので、単純に支援受けたから必ず成功するわけでも、支援受けてないから必ずしも失敗するわけではないのです。


◯支援制度と成否の因果関係はあるのか。

じゃあ事業自体の成功と失敗って、支援によってどう分かれるのだろう、と考えるわけです。
金銭的な支援制度を活用するしない、技術的な支援制度を活用するしない、という形で分けてみると、A-Dまでの組み合わせがあります。ここからは特段の調査結果とかではないですが、地域活性化分野でいう時の整理をしたいと思います。

1. Aの場合です。
金銭的な支援制度を受けながら、専門家などの支援制度を活用する場合ですね。
この場合は、規模の大小はあるのですが、外注型になってしまいがちで、当事者たちが何かをやるというよりは、外部専門家、いわゆるコンサルにハード系だと様々な計画を作ってもらったり、ソフト系だと当日のロジ周りまでやってもらったりすることが多かったりします。また、規模が大きくなればなるほどに、外部専門家とかの報酬も高くなっていく傾向が強く、補助金や交付金をたらふく使おうとしてしまう場合が見られます。

成功と失敗を分けるのは、外部専門家に予算ごと丸投げしないか、であると思っています。
外部専門家が結構無茶した大規模な計画立てたり、不必要なイベントを開催したりとひとり歩きしていくと、結果的に一瞬成功してもハード系だと運営で破綻したり、イベントもどんどん過大になって費用対効果がなくなっていくということがあります。


2. Bの場合は、単に補助金活用している場合ですね。
ある意味で地域活性化関係では1度は経験する補助金事業。使ってみたりして大きく分かれるのは、中毒症にかかる場合と、もう嫌になって使わない場合に分かれていきます。

ここで成功と失敗を分けるのは、必要ではない補助金まで使ってしまうか、使わないか、というあたりだと思っています。
不必要な補助金まで使いはじめると、補助金もらえる事業しかやらない、考えられない状況になり、結果として一瞬成功した用に見えて、予算が尽きると失敗してしまうことが多いです。


3. Cの場合は、専門家のサポートだけ受ける場合です。必要な資金は投資や融資や寄付とかで集めてきます。
これは結構支援される側、する側双方にとって辛いメニューなんですよね。外部専門家としては、事業に必要な工程を計画たてたり、それに必要な要素を整理していったりするわけですが、当事者はあくまでクライアントです。互いの信頼関係がないと、動かなかったりするわけです。さらに資金に関する投融資とかについては、専門家と共に金融機関とかに回ったりしたりしますから、それなりにストレスはかかります。補助金みたいに書類揃っていればOKとかではなく、あくまで事業性審査になりますので。

ここで成功と失敗を分けるのは、専門家とクライアントがどこまでやり切るか、というあたりです。
途中で面倒になったり、楽をしたいと思ってしまうとうまくいきません。しかしながら、しっかりとそこをやり切ると、ちゃんとした事業になり、継続性も担保されることが多いです。


4. Dの場合は、ってかこれが普通の事業のススメ方なんですよね。
ま、これは当然ながら事業を自分で作っていくというスタイルで、最初はそもそもここからスタートすべきなんですよね。全ての事業は。それが壁にぶつかった時に初めて専門家からアドバイスもらう。だからこそ、「そうなのか!」と気づくわけです。自分で壁にぶつからないと、「いや、そうはいっても難しい」とか言い訳をし始める人が多くて、やらないと潰れると思っていれば、ひとまず自分で試してみることが必要なわけです。それで資金調達して成功を収めていくことが基本ですよね。
それでもダメな場合には、やり方を本来は変えないといけないです。ダメな事業だからといって社会性を謳って補助金もらって誤魔化そうとかしても、結局は続かないと思っています。事業の構造を直すことが最優先です。

成功と失敗を分けるのは、自分でまずはやってみるか否か、ですよね。当たり前だけど、意外とこれ出来ない人多いんですよね。やっぱり最初から色々と保険かけようとして成功事例のパクリをして、さらに専門家に投げて、さらに補助金までもらってみたりして、結局自分達で考えてなかったりする。Dをやっていない人は結局薄いですね。


◯支援が生み出す「相互依存」が問題。

このいずれにしても、支援が行われる際には金銭にしても人材にしても、その支援に依存してしまうと、支援がなくなった途端にダメになるんですよね。支援自体は支援される方にとっても依存になるし、支援する側にとっても依存することもあります。

つまり、支援される側にとっては支援を受けて経営が楽になるし、支援する側にとってはその支援自体がビジネスになります。極端な話をすれば、予算がつき続ける限り、支援される側も、支援する専門家にとっても美味しいわけです。この相互依存関係こそが、制度支援の問題点であると思うわけです。

また一定期間で支援を打ち切るという場合にも、支援される側はその支援がなくなって破綻することはありますが、支援を専業にしている専門家が悪質な場合には、別の支援者を見つけてビジネスを開始します。つまり支援先の使い捨て、ということも起こります。

このようなインセンティブを打開するには、支援自体を一定期間に抑えて支援される側に危機感を常に持たせつつ、そもそも支援する側が制度支援によって支援すること自体をメインビジネスにしないことも極めて大切であると思っています。


◯専門家は、本業は自らリスクを負って事業に取り組んでいる人、である。

まず専門家は、「先駆的にその事業で実績を上げている人」であることか前提です。
そもそも支援だけをやっている人、かつて事業やっていたけど今はやっておらず支援を専門としている人、やはりそれは無理があると思っています。かくいう私も自分が役員とか務めていないまち会社とかの立ち上げ支援とかもやりますが、制度支援ではなく、普通に運営リスクを負って成果報酬契約で進めたりを中心としています。

やはり事業って生物で、数年前に成功した事例をそのまま流布しててもダメです。真剣で勝負をしていないと、常に竹刀で戦っているみたいな形だと、研ぎ澄まされた緊張感がなくなり、支援している内容も陳腐化していきます。常に支援なんてものはやらなくてもいいようなスタイルでいる人こそ、本当に必要な支援ができると思っています。


◯支援される側は、挑戦せざるをえない人、である。

支援される側も常に支援が打ち切られることを前提とし、無理な場合は徹底するタイミングを事前決めるのが得策です。
やはり人間って弱い生き物だからこそ支援をもらうと支援をもらい続けたくなったり、支援が打ち切られる前に打ち切られた段階で運営が成り立つ形にもっていくことをスケジュールに入れて、無理な場合はそこで断念することも決めるのが基本です。

とはいえ、「断念はできない」という不退転の状況である人の方がいるのも事実。だからこそ、後戻りできない人、挑戦せざるを得ない人の方が成功確率が高いのは事実です。
何よりこういう人たちからは「言い訳」が出ません。やらなくてはならないからです。「〜だからできない」といったようなことを言っている段階で、特段支援があってもなくても大してやる必要性がなかったりします。やはりやらなくてはならない、やり続けなくてはならない、ということがとても大切です。

言い訳をしているうちは成長がないのです。


◯人選が9割。

こういう意味で、制度やシステムを運用するのが人間であるかぎり、人選が9割だと思っています。
人材育成というのはそんなに計画的にできるのではなく、事業支援とかであればまだしも、基礎的な能力開発から全部をやっていくということやっていたら、大抵の取り組みは成果を収めるする前に破綻してしまいます。

人選というのは前述のように、支援自体を行う双方に要件があり、それを満たすことが前提。さらに専門家にはどれだけのレベルの知識と経験があるのかということ、支援される側には切迫した状況であるのかということ、というバックグラウンドが求められます。そのあたりはある意味でシステムとしてフィルタリングできるところと思います。

ダメな事業というのは、大抵は主体自体もそこまで追い詰められておらずいい加減であることが多く、それに協力する取り巻きも支援すること自体に金銭的、精神的依存をしている場合が多いのではないでしょうか。

そういう意味で「ダメな事業はやっている奴がダメなだけ」というのは、考えさせれれる内容だと思うのです。
 
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「二度と呼ばれない講演」 (No.1005)

最近きた依頼で一番、考えさせられたのが

「二度と呼ばれないようなお話をお願いします」

というご依頼でした。

こりゃ大変インパクトのあるご依頼なんですが、結構的確だなーと思うんですよね。

地域での問題って大抵は地域内に問題があるわけです。けど、そんなこと地域内で言っていたら「あいつは・・・」という感じで後ろ指を指されるわけで、基本的に仮想敵を作って日頃はトークしているわけですよね。大型店ができたとか、規制緩和が悪いとか、全て人のせい。自分たちが変化していないことが課題だなんて絶対にしない。ま、これが地域の皆が揉めずに済む。予定調和です。

が、誰しもどこかで「いやいや、やっぱり自分たちも悪いよな」「変わらないとヤバイよな」と思っている人もいる。

時にそういったことを地域で発言してみたりするが、かなり強硬に怒られたりして、言ったもの損だなということで二度と言わなかったりする。
けど、やっぱりどうにかしなくてはならないと思ったりしているわけです。腹の中では。

そこで、全くその地域には関係ない人間に依頼が来るわけです。そう、僕のような。
「あんな奴なんで呼んだんだ」と言われるような、グサリとくる話をしてくれ、と。思い切りガツーンと地域のエライさんにひるまずに頭を殴るような話をして欲しいと。

実際にやっている事業の話、地域の問題の構造、市場の変化へ適応すべき方向、そういう話も一つ一つその地域に照らし合わせていけば、「耳の痛い話」になることは当たり前なんですよね。結局衰退ってのは、抵抗と排除によって成立していると思うんですよね。あくまで自分たちは変わらないし、自分たちのルールを変えるものは排除する。ま、限られた財が地方に配られるが故に、その分配は頭数が少ない方がいい。過疎が進むのって私はある意味で地元有力者が合理的選択をしているのだと思いますが。

地域には静かなる抵抗者がいる。その声の代弁者として機能するお役もあるんですよね。
ま、そんな代弁行為は基本的にあんまりしませんが、時折お会いしてこちらも共感する人に関しては、代弁者になってみたりもします。
しかしながら本当に変えるためには、有力者が反対するような話をするより、強かに取り込んで、いつの間にか乗っ取っていくという形式を取るほうが良いんですがね。ま、いかんせんそんな面倒なコトする人は少なくて、その地域を離れてしまうわけです。

そんな話をしてみて、ま、そんなんで地域が変わるわけはないと思っていますが、「やっぱりそうですよね」といって立ち上がる、普段は言いたくても言い出せない静かなる同意者が数人でも地域で立ち上がる契機になれば、その地域は変わることもあります。地域が変わるのは「皆が立ち上がる時」ではなく、「数人が立ち上がる時」です。そんな人達の炙り出しになれば、理想ですよね。

ま、僕は講演業が主たる仕事ではありませんので、あえて「二度と呼ばれない講演」を意識したいと思います。

結局、地域で講演をするということが仕事ではないし、補助金もらう手伝いとかしない身で地域に関わる人間ができるのは、「既存システムのエライさんには不都合だけど、気づいた数人だけでも立ち上がってでもやれること」を話すことだと思うんですよね。



僅かな希望に賭けてみたいということと、言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン、ってことで。

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2013年推薦した「まちづくり」に関わる人の必読20冊。

Kindle本も普及してきた昨今、年末だからといって本を買い溜めるという人も少なくなってきているとは思いますが、今年、Twitterでおすすめしてきた本を簡単にまとめときます。

まだ読んだことがない本があれば、ぜひおすすめいたします。


1. 明治維新 1858-1881 (講談社現代新書)

これは今年一番オススメしたい本の一つかと思います。特段明治維新に思いを馳せているわけではなく、なぜ「議会制民主主義」と「経済成長」を両輪で回せる改革ができたのか、ということと、地方が独立していた時代から国家的な集権を図ろうとした変化を理解せずに、今後の地方分権などに備えていくことは不可能だと思っているからです。またそのような変革を起こそうとした人間の頭数も全体の0.4%に過ぎなかったりと、とても限定的なところから起きた変化であったと言えます。その0.4%の各藩を代表する人材がどこでつながっていたかといえば、経済開発に積極的だった藩が自前でもっていた地域商社での海外との取引の場であったことも大変興味深い話です。

明治維新というと、坂本龍馬とかのストーリーに注目されていしまうのが司馬遼太郎の影響力のよくないところで、もっとシステムやより全体をみて議論するべきことだと思います。そういう意味では、この本では政治史と経済開発などの観点から明治維新を、現代における新興国などにおける政治変革などと紐付けて議論しており、我々が道州制含めて未来に向けて地方が自ら考え、行動するに向けて必要とされるプロセスを考えるのにとても有益な一冊です。新書ですが、内容は大変分厚いものです。




2.富・戦争・叡知 [単行本]

これは知り合いの方からおすすめさせて読みましたが、株式市場という無数の人々が参画するものが、実は個々人では本人も認知できていない断片的かつ不完全な情報を映し出す鏡として整理されている面白い本です。第二次世界大戦における内容も、新聞や各国の論調などではまだ日本が優勢だと書かれている時にも、株価は既に落ち始めていたり、などなどマーケットの動きから時代を回顧するのは大変興味深いものです。

特にこの「叡智」というものの定義が個人的には面白いなと思ったのは、無数の人たちが参画する市場を通じて生み出されるという仕掛けについて、株価などから説明している点ですね。

まちづくりにおいても個人的にはこの「叡智」という仕掛けについては使うべきだと思っていて、限られた人たちの委員会とかで物事が決まったりするよりは、市場と向き合って事業開発やってどうにかうまくいくようにしていこうという中の試行錯誤によってこそ、市場の叡智を活用できる、と思っています。




3.Triumph of the City [Kindle版]

英文の本ですが、木下でも読めましたので恐らく大丈夫です。ま、ちょっとアジってる本なんですが、最近ボクのまわりだと、どうしても「地方の時代」「農山漁村礼賛」みたいな論調が強すぎて、けどなんだかんだいって都市化って未だに進んでいるわけですよ。バブル崩壊した後とかであっても、2000年から2010年までの間でも100万人以上が首都圏に人口移動してきているわけでして、都市と農村の関係というのは、実は「経済格差」ということだけでは片付けられない、人権保護、福祉など含めたトータルなパフォーマンスという観点でどう都市が優れているのかという話をしている本です。

こういう見方もあるし、こっちの方がマジョリティだから都市化が未だ進んでいるのかもなと感じる。普段付き合っているコミュニティの影響ばかり受けずに、より複数の視点をもっていきたいと思わされた。




4.隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】

これは完全に古典で、大学学部時代とかに読んだ本ですが、改めて読むと自由主義の基本を考えさせられる一冊です。

新自由主義批判というのはありますが、そもそも自由主義自体が正しく理解されていないことも多く、ハイエク自身が指摘している内容とかも、実はちゃんと公正取引に関するルールは必要だとか、システム全体での社会保障の仕掛けとかについても言及したりしているわけです。何もなんでも市場化しろといっているわけではなく、市場化によって得られる叡智を活用すべき分野に、行政などが踏み込んで限られた人間で意思決定するとろくなことらならん、ということを示しているわけです。

どちらにしても、読んだことない方には読んでいただくと自由主義に対する偏見とかもちょいと変わるのではないかなと思うものです。地域活性化においても市場の力を生かしていかないと、支援ばかりしてもらっていてはいつまでも解決できないこともあるので、そのあたりの切り分けを意識する上でも良い一冊と思います。

 


5.文章は接続詞で決まる (光文社新書) 

少しばかり息抜き的ですが、なかなか僕もいきなり完成度の高い文章を書くことができないのですが、この本をみたときに「あー大学院の時に言われたな」というのを思い出しました。我が大学院の課題の一つが、分厚い経営史の教科書を1章にあたる毎週40-50pageを2ページのレポートにサマライズするというものでした。

レポートを書く時に言われたのは、接続詞を的確に使えると流れが極めてよくなり、情報が伝わりやすくなるから、接続詞の使いかたを改めて学ぶと良いよ、と。これ結構普通に生活していると「そんなことわかっているよ」と言いたくなるのですが、意外と読んでみると、あーここまで厳密に意識していなかったな、ということが沢山あります。

ぜひレポートの完成度を上げたい方、企画書とかでも的確にサマリーを書きたい方にはおすすめ。




6.わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書) 

「わかったつもり」というのは大変厄介なものでして、つまりはちゃんと読んでいないということなんですよね。
様々なシーンで説明しても、「あーはいはい、こういうことでしょ」という中身が全く違っていることが少なからずあります。文章についても同じで、読解力というのは読み込んで行く中で、自分に対して、著者に対して双方に批判的立場を足りながら読まないと、そうそう中身を理解することはできないのです。

批判する人の多くもちゃんと文章や背景などを読んでおらず、多少調べた知識レベルで、文章を読んですぐに「わかったつもり」になって批判している人も少なく有りません。自分への戒めも含めて、「わかったつもり」にならないように気をつけたいところです。





7.組織の“重さ”―日本的企業組織の再点検

これはタイトルと共に、結構内容的にも分量的にも重たい本なんですが、結構普段感じていることを経営科学的に分析してくれている本です。ま、一橋の沼上先生たちが書いているのですが。

組織って話が決まるまで時間がどんどんかかるようになったりするわけですね。大企業病とか言われる奴です。
けど、大企業病なんて病気はなくて、そもそもその組織がどうして、どの程度、意思決定に時間がかかるのか、とかを「組織の重さ」と整理して解説している本です。皆さんの組織でも「なかなか物事が決まらない」とかを体感的には感じていても、その問題の構造、その重たさ具合というあたりを科学的に分析した人はいないかと思います。そんなことを考えることができる一冊。組織変革をする際に事前知識として身につけたいところです。




8.経済学者の栄光と敗北

これは様々な経済学派の変遷を要約してくれている一冊。僕も経済学部卒ではないので、経済学の変遷とか知らないことも多かったのですが、これでなんとなく、あーこういう弟子筋なのね、みたいなのがわかります。そして、わかってしまうと、結構「あーなんかこういうので対立しているのか」という経済的な理論についてもそれぞれを相対的に見ることができて、地域における取り組みを見極める時にも、この人達はこういう経済に対する考え方なのだな、という思想的背景を理解しやすくなるなと思います。




9.決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 

これはもうここ何年もおすすめしている財務会計の基礎を勉強するのにお勧めている一冊。
家計と異なり、B/S、P/Lとかが出てくると一気に意味ぷーになりがちな財務ですが、そんなに難しいことをやっているわけではなく、人間が頭で一気に整理しにくてお金の流れをちゃんと記録してくれる整理票で、なおかつお金には流れがあるので、その流れをどう見るのかを理解できるものです。

いきなり簿記とかうんぬん以前としてこういうの読んで体系的に理解するとその後のすごい吸収しやすくなると思います。




10.大家も住人もしあわせになる賃貸住宅のつくり方

さて知人が今年出した本の一つ。少し心象的な価値観で読む人も多いのですが、個人的には経営合理的に考えた際の賃貸住宅経営の一つのケースと思ったものです。

部屋が1年間空いているとすれば、10万円として12ヶ月120万円の機会損失。とすれば、120万円投資して部屋に入居してくれる人をつけて家賃払ってもらうのと変わらない(ま、厳密には入居者がいなくなるというリスクはありますが、それほど確率的に高くはないでしょう)。であれば、120万円を投資する中身をオーナーとかが決めるのではなく、入居希望者を見つけて、その希望者の個別にニーズにカスタマイズする、オーダーメイド賃貸がいいじゃん、というのも、完全にマンツーマンマーケティングの方式として実需に則した内容にしてしまう。そうすれば、他の一般的な物件と比較不可能なポジションを作って、長期入居者になってくれて、部屋も大切に住んでくれるから、抜ける時にも次の住みたい人を確保しやすい。とそれぞれが合理的。

といろいろと著者は「愛」と呼ぶものを、木下的には「金」に変換して読んでしまった(という罪深い)一冊。
しかしながら、相手への愛は経済性と相反しないという意味でとても重要な示唆に富む一冊。




11.「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ

これも結構この分野ではもはや老舗本。世論調査含めて社会調査というのは常にウソをつけるという意味で、基礎知識で入れておくべきものです。地元紙とかでの調査、自治体が発表する内容、それぞれ疑いつつ理解しないといけません。

そういう基礎的なスキルを身に付けるための一冊。




12.ブルー・オーシャン戦略 

最近Kindleにもなっていて再読。地域活性化は政策的な方針に則ってやる人が多いわけです。自治体とかも護送船団方式で、皆がやることに乗っかっていく。ゆるキャラ流行れば、みんなでゆるキャラ。まさにレッドオーシャンであります。

今後、地域活性化は他がやっていないことをやる。もしくはやれるようにする。これがキーワード。成功事例を予算つかって真似るなんてアホなことはやめて、自分たちが他でやっていないことをいかにやるか、というのにフォーカスすべきと思っています。




13.失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

これも毎年おすすめしている一冊。「なぜ失敗は起こるのか」「なぜ失敗は繰り返されるのか」ということを考えるためにも、常にこの本のことは頭に入れて行動している。時折、自治体とのプロジェクトで失敗の予兆がある体制になったら、猛烈にその問題を改善するために行動し、それが改善できなかったら、退くことにしている。

未読の方には必ず読んで欲しい。地域衰退はまさに「失敗の本質」に書かれている日本的組織の問題を今に引きずっているケースがケースが少なくない。




14.国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(上)
15.国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)

上下巻上下巻の結構な重たい本なんだが、国家版イノベーションのジレンマみたいな本である。
国が興り、繁栄し、そしてなぜ衰退するのか。このライフサイクルを人類史上に残る国々のケースをもとに語られていく中で、我々は今後どのように生きていくべきなのか考えさせられます。

地域活性化みたいな、地域の盛衰についてもある意味でこのような大きなうねりの中にあると考えて行動する必要があるなと思われます。

 


16.小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

これは、地域でプロジェクトを立ち上げる時には読んでもらいたい一冊。
生産性の高い仕事の仕方に拘ることはとても大切で、ネットベンチャーの話ではあるが、小さな組織の回し方としてとても参考になることが沢山あります。

過去の組織に対する固定観念に囚われて変な固定費をかけることがないよう、ぜひ読んでいただきたい。




17.知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ

これももう老舗本。色々な物事を自分の頭で考え、創造的な発想をしろと言われてもなかなか難しい。それは自分の中に考えるために有効なモノサシやフレームワークなくしてできるほどの人はそうそういない。僕もその一人で、やはり様々なフレームワークを持つことができたことで、情報を整理して、自分なりに発想すべきポイントをつかむことができるようになっている。

まだ思考するための枠組みをなかなか持てていなくて、ロジカルに考えること、自分なりの創造性を生み出すのが苦手な人には読んでもらいたい一冊です。




18.V字回復の経営 2年で会社を変えられますか

これは必読書。地域での再生プロジェクトを進める時に既存組織の問題などどのように変えつつ、さらに事業を構築していくのかをイメージできる骨太の一冊。

AIAのアライアンスパートナーの方々にも必ず読んでもらっているし、学生などにも薦めています。自らの企業再生に関する実体験に基づいてまとめている内容だけに迫力があり、自分に置き換えて色々と考えさせられるのです。




19.ワーク・シフト (孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>) 

これは流行本でしたね。働き方が今後変わっていくというネタを色々と示してくれます。
勿論なんでもかんでもこう簡単に変わるわけではないと思っているが、とはいえ、わざわ過去の領域に身をおいておく必要もないので、今後新たな動きに合わせた働き方をしていきたいなと思うところです。

地域における取り組みも昔の価値観にとらわれて、仕事をしたり、組織経営をしているようでは、なかなか未来は暗い。ただでさえ既存のやり方で不利に立たされているのだからこそ、新たな領域を果敢に取り込んでいくことが必要だと思う。




20.まちづくり:デッドライン

手前味噌ですみません。
今年4月に出した「まちづくり:デッドライン」。12月にはKindle版も出まして、多くの方にお読みいただけたこと、心から御礼申し上げます。

とはいえ、この本で解説している「リノベーションまちづくり」という分野は2014年が本格的に普及する年になるだろうと思っています。各物件の再生を行うための事業チームの組成、対象エリアの絞り込み、事業構築のための逆算方式、周辺エリアへの波及など実例と共に、これら推進方法についてはこの本に勝る整理をしているものはまだないと自負しています。実際に我々も実地で北九州など含めて関わってきてやってきているからこそ、ここの内容は今取り組まれている内容のフレームとしてはそれなりの完成度だと思っています。

まだ未読の方はぜひ。




◯「稼ぐインフラ ―― 人口縮小社会における公民連携事業」
http://synodos.jp/society/6053

◯「リスク・責任・決定、そして自由!」
この連載は結構面白いのでぜひ読まれることをおすすめします。

1.「小さな政府」という誤解 http://synodos.jp/economy/5973
2.ソ連型システム崩壊から何を汲み取るか http://synodos.jp/economy/6279 
3.ハイエクは何を目指したのか http://synodos.jp/economy/6578
 

Kindle Paperwhite(ニューモデル)


出張が多いこともあり、今年友だちからもらったPaperwhiteは本当に多用しました。
というか、もはや紙の本とか持ち歩くのは大変すぎて・・・。2014年は本当の普及期に入りそう。
まだ持っていない方は安いですし、ぜひどうぞ。
 
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「まちづくり・失敗の本質」 (No.1000)

もう10年以上前にブログというのが世に登場した際にスタートした本ブログなのですが、今回で地域活性化ネタについて書く時にナンバリングしていたものが1000を数えました。確かスタートさせたのが、2003年頃だったと思うので、10年くらい続けてきたことになろうかと思います。

ブログエントリーだけでも1000回続けてくると、そのときそのときのニュースや活性化事業のライフサイクル、つまりは盛衰を感じるところですが、各地でのプロジェクトにおいては失敗は繰り返されていきます。あるときに「成功事例」ともてはやされたものが、数年すれば「失敗事例」になっていく。特にプロジェクトが大規模なものであればあるほどに、後に大きな遺恨を残していくものであったりします。さらに失敗したことを隠すためにさらに失敗を続けていくという、負の連鎖が続くと、元々は地域活性化のためのプロジェクトであったはずが、むしろ地域の足かせになっていってしまうこともあります。

何よりこのパターンが繰り返されるというのが一番悩ましい問題です。
この分野に関わる自分としても無力で申し訳ないと思ってしまいますが、なかなかこの問題の構造が認知されずに、過ちが各地域でどんどん繰り返される。実際に行政などの場合にはジョブローテーションがあるので、失敗の構造が全く引き継がれずにリセットされてしまったりします。今年から中心市街地活性化事業に携わった担当者の方は、第一次中心市街地活性化事業のことはもはや歴史の一部レベルで当然、どのような成功と失敗があるのか、失敗の構造を理解する機会がないのです。歴史の伝承がないといいましょうか。

民間でも同様で、10年単位で事業的にまちに関わる続ける人は稀有です。
調査業務など受託事業とかやっているシンクタンクの方とかは別として、普通にまちでの取り組みで事業的に成果を挙げた方でも事業のライフサイクルによって撤退されて、もしくはもう飽きて、別分野のビジネス分野で活躍していたり、など流動的です。結果として、こちらでも失敗の構造などについては伝承されません。

このようなことで、様々な失敗が発生し、さらにはその失敗の構造が伝承されていかない姿を見ていると、悩ましく思うと共に、私はいつも一冊の本を思い出します。

「失敗の本質」です。

読んだことはあるでしょうか。なければ、まちづくりに関わる関係者には必ず読んでください。そして、輪読会をしてください。


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旧日本軍の先の大戦前後において行った戦闘、具体的には、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦に関する分析を行っています。「なぜ、失敗したのか」と。これを戦争事例研究家だけではなく、経営学をはじめとして組織論等に関する研究家があつまり、学際的に分析したものです。

失敗はいつの時もあります。しかし重要なのは失敗と向き合い、「なぜ失敗したのか」ということを学ばなくては、失敗は繰り返されるわけです。これは世代を越えても、再現されてしまうのが怖いところです。私達は当然これら戦闘に関わっていないですが、ここで犯した失敗の構造は、自分たちが現代において仕掛けるプロジェクトで同じように犯しています。だからこそ、失敗するのです。少しばかり以下に整理してみたいと思います。

■まちづくり・失敗の本質

第一章のケーススタディは読み解いていくと大変意味深い。というよりも、自分たちの身の回りで今でも起きているような「なんでこんなことが」ということに重ねあわせて思考できることが多数ある。しかしながらこれは我々が客観的に読めているからであって、もしも当事者になれば同じことをしかねないのである。

第二章ではこれらケースに見られる共通要素についても整理が行われている。

・戦略上の失敗要因分析(あいまいな戦略目的、短期決戦の戦略志向、主観的で「帰納的」な戦略策定―空気の支配、狭くて進化のない戦略オプション、アンバランスな戦闘技術体系)
・組織上の失敗要因分析(人的ネットワーク偏重の組織構造、属人的な組織の統合、学習を軽視した組織、プロセスや動機を重視した評価)

地域活性化においてもよく見られる問題点ではないだろうか。

戦略レベルでも、「何を達成するものなのか」というのが明確化されているケースは少ない。むしろここを曖昧にして、時に心の活性化みたいな誰もよくイメージできないような耳障りだけで選定されるようなものが多い。

1.短期決戦の戦略志向
「一面で攻撃重視、決戦重視の考え方とむすびついているが、他方で防御、情報、諜報に対する関心の低さ、兵力補充、補給・兵站の軽視となって表れるのである。」(同書より)と書かれている。つまり、攻撃こそ最大の防御の掛け声で一気呵成に逆転を狙う作戦である。
地域活性化でも「これが活性化の起爆剤」という文脈で、とんでもない巨大な再開発施設を開発し、破綻に追い込まれるケースが後を絶たない。施設開発は短期決戦ではなく、長期作戦が求められるもので、開発した後も多額の運営費を稼ぎ出さなくてはならないわけであるが、そんなことは無視してやってしまえばどうにかなるということでやってしまう。結果として、運営費が賄えずに破綻するが、「廃墟にはできない」という話になり、税金を用いて「戦略なき戦力の逐次投入」してしまう。これは負け戦になった時にどうにも勝てないのに、しかし失敗を明らかにしたくない、けれども損も小さくしたいと渋ったトップやその周辺参謀が小規模な戦力を逐次投入して、毎度全滅していってしまった構造と何も変わらない。

◯自治体も巨額の資金を投入したものの破綻した巨大再開発施設。昭和では有効だった一気呵成に巨大で新しいものを建てれば勝てる、という思考。さらに失敗したら今度は関係者は怖気づいて、場当たり的な売買や資金投入でさらに無駄金がかさみ、結果的に市が買い取り、ほぼ全面公共施設化。

2.主観的で「帰納的」な戦略策定―空気の支配
この傾向も見られる。地域の衰退問題は経済的な構造問題であり、論理的に戦略選択をするのではなく、「空気」に飲まれる。これは市民参加型まちづくり、ワークショップ型まちづくりに多く見られる傾向で、「議論の余地のない論理的な問題」を皆で議論をして、その空気で戦略選択をしていったしまう。声の大きな人物(市長や町長、会議所会頭などなど)には逆らえない、もしくは集団協調圧力、もしくは反対による一定のコミュニティからの排除(現代版、村八分)があり、全体の論調をひっくり返すことを個人で行うインセンティブがないため、そのまま戦略が決まってしまったりする。
結論が主観的に決定された後に、それを帰納的に戦略決定するため、論理性などはかけらもない、つまりどんだけ努力しても勝てない構造で戦うことを強いられたりする。まちなかに映画館がないから活性化しない、みたいな話が進んでいってしまい、いつのまにか「映画館があれば活性化する」という主観的な意見をもとにして補助金などをかき集めてまちなかに中途半端な規模のシネコンを作ってしまったりする。しかしながら郊外店のようなグループ経営で一定の集客装置として他の部門利益に貢献すれば財務的に回る構造にしていたり、シネアドなどの広告事業も全国ネットワークで稼ぐのに対して、まちなかのシネコンは当然専門会社をつくって映画上映の事業だけで儲けなくてはならない。しかも初期投資もできないレベルの資金調達しかできない=市場からは「儲からないと判定されている」ものがどうなるかは言うまでもない。

3.狭くて進化のない戦略オプション
かつての戦後成長期の成功体験に基づいた、商業集積としての勝利。商業が集まり、その商業が人を集め、商業で稼ぐ。さらに古くて小さいものを、新しく大きくすることで他より優位性を築く。このような戦略を繰り返して成功していくうちに、現在の競争に負けている状況も外部環境の問題だと処理して、「この戦略そのものに間違えがある」ということにして、戦略オプションを広げようとしていない。評価基準が通行量評価などに置かれるのはその典型性だろう。かつての勝ち方から離れられていないのである。そうしているうちに、郊外との競争ではなく、ネットも登場。ますますもって外部環境変化に合わせて戦略オプションを変更していくべきであるが、皆の思考は停止し、大前提となっているような過去の成功体験に基づく戦略が優先される。

4.アンバランスな戦闘技術体系
まちまちにおいても、ある1点では非常に秀でた店舗がある一方で、他が絶望的に悲惨な店舗があったりする。
それを改善しようとするような全体の商店街や中心市街地経営においても、「イベント」ばかりをやっていたり、「ワークショップ」ばかりをやっていたり、と極めて偏った分野に強い人がすると、その取り組みばかりを行ってしまう。個々についてはかなり突出した手法を持っていたりするが、実際のまちは再生しない。
それは実際の競争力には一定の総合力が必要だからである。各店舗の立て直しもしなければ、ダメな場合には入れ替えもしなくてはならず、同時的なデザインの統一から、資金的な投融資に対するサポートも行い、ビル経営の改善もみなくてはならず、その上でイベントや、そのプロセスを支える上でのワークショップというように複合的に管理をしなければならないのだが、そういうことができない。それぞれが得意分野ばかりを攻めた結果、大変偏った戦闘技術となってしまっている。開発・金融・PBなどの総合力で戦ってくる郊外SCや、超高生産性を持つオンラインストアに全く勝てない。

5.人的ネットワーク偏重の組織構造
これは極めてまちづくり分野で強い。問題などについて白黒ハッキリせずに互いの以心伝心のようなものを重んじる。今でも、地域に住んで、地域に溶け込むことが大切であるというような、衰退問題解決よりも先に人間関係構築を極めて重んじ、属人性を排除した上での課題の構造的把握、解決策、解決するに必要な人材を能力や技能で選抜するということが極めて少ない。
「あいつは俺が昔から面倒見ているからよろしく」みたいな話はざらであるし、「あいつの爺さんが裏切ったから、絶対にあいつにも協力しない」というようなことを言い出す人もいる。さらに、問題が発生したり、拡大しても、人間関係の中における情緒的な解決を求めることが強く、「あいつは一生懸命頑張っているからいいやつだ。仕方ない」とかエライさんが言い出したりして、うやむやなまま終わってしまったりする。これは8にもつながる点である。

合意形成プロセスというのを多重構造で行うのは、結果的に課題解決に必要な合理的手段を生み出すというよりは、この人的ネットワークに依存して皆が合意すれば、責任をとらなくても許されるという風調があるからでもある。つまり失敗しても皆が合意していれば、批判をされないから仕掛ける側にとっては最大限の保険なのである。

6.属人的な組織の統合
まちづくりには「キーマン」が必要だという話。もうこれは私がこの分野に関わってからずーっと続けられている話である。
まちでは行政、民間という垣根もさることながら、小売店と飲食店など様々な組織化が分野別で行われきた。現在はその組織の壁を越えて総合力を発揮する戦いをしなければ、都市間競争、商業集積間競争には勝てないのだが、その組織統合を図っていく仕組み、新たな横断型組織の設置、もしくは組織の統廃合などの制度といったことが志向されない。

キーマンの一言によって複数の組織が統合的に機能することがあれば成果が出るが、そのような力が発揮されない局面では全く機能しない。残念なことにキーマンの力というのは時間的に有限であることが多く、一時期成果がでたまちも、その後全くダメになってしまうケースが沢山ある。

7.学習を軽視した組織
臭いものには蓋である。
まちづくり分野でも、かつて成功事例と言われたケースが失敗事例となっているケースは沢山ある。中心市街地活性化分野だけでも多数を決め、開発系でも区画整理などで売れ残った用地ばかりとかも多数ある。しかしながら、成功事例や成果を表彰する制度はあるが、失敗した内容については都合が悪いためか全く出てこない。

特に成功事例の多くは多額の公的資金を投入したものがみられるわけであるが、それらが100発100中であることなんてなくて当たり前なのである。失敗は必ず起こる。それは誰がやっても同じである。だからこそ、失敗から学ばなくてはならない。誰がその時に意思決定したのか。なぜ事業計画が過大になったのか。含めて、しっかりと情報を整理して、失敗に至るプロセスから問題点を洗い出し、同様のプロジェクトを進める際にやってはいけないことを明確化すべきなのである。しかし行われないために、失敗はくり返されるのである。

実は成功法則というのはメソッド化することは極めて困難であるが、「やってはいけないこと」を明確にすることは行い易い。私たちもAIAの取り組みでの失敗については常に整理をして次に行わないように気をつけている。私が商店街ネットワークという初期に取り組んだ事業開発で失敗したケースについて、大学院時代に自分なりに整理をしたこともあり、今のまち会社設立の段階で同じ鐵を踏まないように常にしている。

8.プロセスや動機を重視した評価
課題解決における論理性や、実際生み出した結果(客観的にも評価できる内容)ではなく、それを率いた人物の熱意や努力を評価する傾向が強く、たとえ客観的成果がでなくても「頑張った」ということで許されてしまったりする。むしろ、論理的で成果を出すけれども、対人能力が低いと「あいつは生意気だ」みたいな話で評価を下げてしまったりすることも多く、いわゆる出る杭は打つという評価が基本となったりしている。

さらにプロセスを過剰に重要視し、「誰から話をしていくか」、「どの会議で説明するか」というようなことを重要視して全く意思決定に関係ない人物たちにまで説明を繰り返したり、「書類が全て揃えばよい」というような書類原理主義みたいなことで結果がむちゃくちゃでも許されたりすることもある。しかし、結果を出すことよりもこのような作法を守ることを大切にしているうちに、そんな作法を守るに値する地域ごと衰退してしまったりするわけである。

■まとめ
簡単にまとめてみましたので粗いですが、読者の皆様も失敗の本質になぞって、今一度自分たちの地域のこれまで行ってきた取り組みの課題を考えてみると、ここで指摘できていないような色々と変更すべき点が見えてくるものと思います。個々の取り組みだけでなく、そもそもの組織、行動パターン含めて見直していかなければ、実は成果って出ないんですよね。

今後ともこのブログでは、まちに関するテーマを色々と取り扱っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 
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半沢直樹もいいけれど、リーガル・ハイ第九話をみて地方問題を考える。 (No.996)

半沢直樹も最終回を迎え盛り上がっていましたが、堺雅人のドラマといえば、個人的にはリーガル・ハイの第九話を見ていない方はぜひ見ていただきたいですね。

ま、弁護士ドラマなんですが、まとめサイトが作られるくらい、結構名作と呼ばれている回です。工場排水の公害によって地元を汚染され、それが原因の病理に悩み、結果的に農業なども衰退して高齢者ばかりになっていった村での集団訴訟に関する内容なのですが、「地域を守る」ということに対して、結構切り込んだ内容になっています。なんかこういうのに仕事で関わったことがある関係者がシナリオ書いているのではないかと思うくらいですね。

不利な状況を挽回するために、村の老人たちは、個性派ながらも腕扱きの弁護士である堺雅人演じる古美門に依頼をする。古美門としては特段受けたくない案件という姿勢で仕方なく引き受けたものの、途中で相手方企業の工作活動で、互いにいがみ合ったり、その後にはあっさりと村の老人たちは諦めて「誠意を見れたからいい」「お金が全てではない」「絆が確認できた」と言い始めるわけですね。

それに対して古美門の切り込んだ発言が結構よいです。特に以下が好きですね。

「誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らしていけば楽でしょう。しかし、もし、誇りある生き方を取り戻したいのなら、見たくない現実を見なければならない。深い傷を負う覚悟で、前に進まなければならない。 」

大きな流れに対抗するためには、それだけの力と知恵が必要です。あっさり諦めたり、何か手を差し伸べてもらって満足するといったようなことでは、真なる自立はなく、手懐けられて終わりです。真の意味での自立は勿論容易ではないけれども、個々が諦めてはいけない。地域活性化における結構大切なところを考えさせられるところです。

たかがドラマですが、ぜひ見ていただきたいです。



  
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2020年は東京都の人口ピークの年、その後人口は減少し、高齢化が進む。 (No.988)

東京オリンピック2020が決まりまして、にわかに盛り上がっております。
さて、東京都は2020年に終わるのではなく、2020年以降も当然ですが続いていくわけですので、どんな感じで人口が推移すると予測されているのかおおまかに見てみたいと思います。

奇しくも2020年は東京都が過去最大の人口規模、1335万人になる年と予測されています。逆を言えば、翌年からは減少が始まっていき、2050年には1175万人になると予測されています。

それにしても、終戦時に349万人だった人口が高度経済成長を経て、2020年までに約1000万人増加というのは世界的にみても稀有な人口規模増加ですよね。あ、中国とかインドとかだと当たり前ですかね。ま、その後、30年で約150万人が減少していくわけですが。


また、高齢化率は2020年に24%。2050年は37.6%という予測が立っています。
2020年の高齢化率全国平均(平成24年版高齢社会白書)は29.1%で、2050年は38.8%となっていますので、2020年段階では平均より5%も低いですが、2050年では全国平均程度まで上昇していくという予測です。


東京都は規模が大きいですが、その規模も中身も大きく変わっていくポスト2020ですね。

【参考】
■東京の将来人口等の推計について

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あなたのまちの将来推計人口をご存知ですか。 (No.987)

どうしても身の回りにいる人達の意見をもとにして地域活性化には取り組んでしまいます。かくいう自分も高校の頃はは、周囲に意見を聞いてそれをもとに取り組みをしていました。しかしながら、本来長いスパンで地域での事業成果を目指す場合には、その地域が取り巻く状況について考えていかないと、短期的には成果がでても、中長期的には全く無意味なものであったりすることも多くあります。どうしても地域で意見を聞いていくと、目の前にある課題解決を投げかけられることが多いので。

そういう意味で、先日の国交省レポート「国土の長期展望」も重要ですが、地域別将来推計人口も頭に入れておきたいデータです。特に地域内経済において内需は極めて大切であり、内需は人口に即して変化している面が大きいです。

とはいえ、近年では自動車、さらにインターネットによって地域商圏という概念そのものが変わってきてしまっているので、市町村や都道府県という区切りが決して正解ではないですが、おおまかなトレンドをみるということで有効です。トレンドは流れがわかり、大体どれくらいどうなるかを頭に入れておくことが大切で、極端な話、流れや桁を違わなければ細かな違いはどうでもよいと思っています。

ということで、あなたのまちの人口は今後どのような構成に変化していくのか、ぱっと言えない方はぜひ以下から調べてみることがおすすめします。


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まちを変える事業のつくる7つのステップ (No.986)

ここ2年ほどエリア・イノベーターズ・ブートキャンプというプログラムを現場で事業作ってきたメンバーが集まり、やっています。

これは「まちを変えるための事業ってどう作ったらいいの?」というという新たにまちの事業に取り組もうとしている人たちの問い合わせに対して、具体的な方法論を体系化し、一気に合宿形式で計画を組み立て、その後3-6ヶ月で事業化するという鬼教官的なやり方をしているものです。けど、その甲斐もありまして、北九州や熱海など全国でこのブートキャンプを受けて設立されたまち会社が出てきています。今月は被災地におけるまち会社向けのブートキャンプ、全国の中活まち会社向けのブートキャンプを企画しています。

そこで徹底的に指摘しているのは以下の7要素として、細かく整理しています。
本ちゃんのテキストでは130page以上になり、ケーススタディなども細かく解説、何しろ現場でやっているメンツなので、細かな説明資料から事業シミュレーションのエクセルデータとかも入れ込んでやっているのです。

ここではまずは簡単に要素説明だけしたいと思います。


【1地域課題に優先順位をつけ、事業開発の必要性を認識する

「地域が衰退している、活性化したい」という話には非常に情報の欠落が多いです。まず、地域がどのように、どういう課題をもとに衰退しているのか。活性化したいというけれども、活性化とはどのような状態になることなのか。という話も即答できる人たちは少ないです。

何より課題は沢山あるわけで、これらを一気に解決できることってないんですよね。当たり前ですけど。けど、それを「課題はたくさん」とかいっているだけでは、ぼやいているだけで意味はないのです。ということで、課題の優先順位をつけて、解決すべき課題にフォーカスを合わせることが大切。逆にいえば優先順位が高い課題を解決するのに、その他の制約は全て無視しなければならないのです。

さらに、衰退過程においては事業として一定の持続性をもって取り組めるモデルにしなくてはなりません。そのためには単に予算を食いつぶす事業ではなく、何らかのサービスやプロダクトで対価を払ってもらうに値する事業にしなくてはならないのです。予算が限られる中、人のカネでタダでやって喜ばれる程度のレベルではダメなのです。これもまず意識しないといけない。


【2マネジメントチームの決定

マネジメントチームを決めることは極めて大切。「皆を巻き込んで頑張ります」というのは手段であり、中核的なチームは3-5人程度の少数精鋭にすべきと思っています。ここを中心にして、最後の意思決定はしていきます。逆にいえば、責任とる覚悟がある3-5人という意味でもあります。また事業に必要な資金は自分達で出し合うというのも大切。なんか企画作って人にカネ出してもらおうみたいなスタンスだとアウトです。

ここが曖昧だと何を進めていく時にも「誰がこれやんの?」みたいな話になったり、「これ誰が決めるの?」みたいな話になったりと、全く前に進まないのです。


【3エリアの設定

大抵まちづくり事業の欠陥は、エリアの設定が広大なことです。中心市街地活性化事業でもたいていは超広大な到底活性化なんかできないエリアを戦線として伸ばしてしまうことです。リソースに全く見合わない範囲を指定すれば、それは何も起きないことをするしかなくなります。

ということで、150m範囲とか細かなメッシュでエリアは設定されるべきで、1つのまち会社で対象にできるのは絞り込んだエリアだと思っています。ここで重要なのは、政治的に地元で納得されるとか関係なくて、取り組むべき課題解決と事業に投入できるだろうリソースをマネジメントチームで判断して決めるものです。皆で決めるものではありません。


4エリアヴィジョンの設定

その上で、そのエリアをどうしたいのか、夢を描く必要があります。人が事業に取り組むときに儲かるからというのはあるかもしれませんが、まちの事業は課題解決を目指してやっていくし、そこまで超高収益モデルというのは難易度が高いです。まずはやる意味、意義を明確にして、モチベーションを高めていくのと、事業上の取捨選択を円滑にするためのヴィジョンを持つ必要があります。

人によっては活性化事業自体が目的になって、どうしたいのか?というのが全くなかったりするのです。


5ビジネスモデルの理解

まちで課題解決していく上でのビジネスモデルはパターンがあります。そんなに全く今までなかったような超画期的な事業なんて最初から考えられるわけもないですし、そんなことは必要もないのです。当たり前ないくつかの代表的なビジネスモデルとして理解することが大切です。

何よりビジネスモデルの理解では、手順です。立ち上げに必要な順番が最も大切です。

よく全体の結論として構築されているモデルだけ理解して、手順をちゃんと理解しないまま取り組んで失敗することが多いです。何かを構築する時は順序が極めて大切で、前後させてしまったり、面倒だからと省略してしまったり、努力しなければならないのに予算とってカネで解決したりして、それで終わりです。


6事業選択

上記の理解をもとに、自分達でまず課題解決に有効な事業を選択します。

その上で自分達が投入できるヒト・モノ・カネのようなリソースを決め、スケジュールを固めて、業務タスクに整理していきます。基本的にスケジュールを決めることが極めて大切です。「できるようになったらやる」みたいな逃げの決定は、絶対に事業化できないのでさっさと期限を決めていくこと、それに合うように皆で分担すること、必要な資金を自分達で出し合う足りないものは調達するということを決めることです。


7事業主体の設立

これらをもって事業主体を設立します。有限責任体制を確保するためにも法人化するのがおすすめですね。そして今までの組織でやらないこともお勧めです。従前の組織やそのガバナンスに深く関わっている関係者の問題によって、今の地域課題は放置されてきたり、むしろ悪化したりしています。何回も負けてきた地域代表チームを引き釣りながら新しい事業をやるのは非常に困難です。

事業立ち上げに力を集中すべきであり、うちわの説得交錯や理解をしてもらうための資料作成なんかやっていたら形になるものもなりません。

とはいえ、無視するとよりコストがかかる場合には、別法人を作った上で経営的には法的に口を出せない協議会モデルなどで意見は聞いていくという程よい距離感での関係構築が効果的です。向こうも変に責任を持たされるよりそのほうが心地よかったりするものです。


とまぁこういうのをより細かくケーススタディと共に理解して頂き、その上で各地域の課題とリソースに沿って進めていけば、地域を変える事業になることは結構あるのです。


【参考】Area Innovators Bootcamp Text ver2.0


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