大手企業による、金融事業への進出。(セブン・電子マネー「nanaco」など) | 経営からの地域再生・都市再生
毎日、駅で利用するのはSUICA。時々決済でコンビニやレストランで利用する、edy。携帯電話におけるクレジットビジネス、DCMX。 近年、既存の大手企業が金融事業に相次いで進出しています。SUICAは当然ながらJRですので鉄道。edyはソニーですので製造業。DCMXというクレジットビジネスを始めたドコモは情報通信業。とこれまででいえば、全く金融ビジネスとは離れた事業を展開していたわけですが、近年は金融事業の規制緩和が相次いだこともあり、めまぐるしく変化しています。金融業界内での変化より激しいかもしれませんね。 数年前に騒がれたセブン銀行(旧IYバンク)などによる、流通業による金融事業は、これらの他の企業から比較すると早期から注目されていたわりに、あまり目立たず、しかし着実に基盤を整えてきています。セブン銀行に関しては業績報告をみると、03年度から既に経常利益は単年度黒字を達成し、05年には累積損失も全て解消して余剰金を計上するまでになっています。英国などの欧州流通企業の多くは決済を全てグループ内の金融企業が行っており、流通業と金融業との融合が早くから進んでいたということを以前聞いたことがありますが、日本でも徐々に進んでいる感じですね。 このように好調な金融事業ですが、さらに来春からセブンイレブン等での電子マネー決済がスタートします。独自の電子マネーで、「nanaco」と呼ぶようです。これまでセブンイレブンでは電子マネーやクレジットカードでの決済は行えなく、近年他のコンビニで電子マネーやクレジットサービスが浸透しているのに対して否定的でした。今回の導入は、昨年に発表された内容だったと記憶していますが、独自の方法で電子マネーを導入する理由として、決済履歴などから独自の消費者の購買行動分析など「決済外の情報」の収集を目指していることもあるようです。このあたり情報収集に関しての目的設定は、さすがセブンイレブンらしいといったところでしょうか。 近年のコンビニの純増数はセブンイレブンが業界でもトップ。第二位のローソンはスクラップアンドビルドで全体数はほぼ横ばいで推移しています。つまり不採算店舗は積極的に閉鎖し、そのかわり有力地域に出店するという形です。この影響もあってか、既存店舗売上・利益共にローソンは伸ばしています。これに対して、セブンイレブンは数こそ増加しているものの、旧来の高収益力が少しずつですが、低下しています。それでもローソン等と比較するとまだかなり高い水準で推移していますが。 コンビニ このようにコンビに業界ではやはりマンモスのセブンイレブンで利用できる電子マネーカードは、私はきっと利用しますね。よくセブン利用しますし。 しかし電子マネー業界全体を制圧できるか、というとそれは難しいでしょうね。やはりSUICA(SUICA互換を含めて)が、制すると思います。ただマーケットを席巻する目的というよりは、先の情報収集の目的やポイント供与による購買動機の喚起、他のコンビニとの差別化(もしくは他が既にスタートさせているので、反差別化)を目指しているものでしょう。 しかしながら、トラックバックしていただいていたブログ(0番のりばさん)によりますと、なんとSUICAやEdyとも相互乗り入れが可能なものにしようと試みているようですね。SUICAやedyとの相互乗り入れは基本的な基礎技術はFelicaですから簡単なんですが、決済のためのお金をプールしているのは各管理事業者や金融機関などによるのでそれらとの関係を調整しないと、実際の相互乗り入れは中々できないので、そのあたりがどれだけ今後取り込めるのか、というところでしょうか。 どちらにしても、日本における様々な大手企業による金融事業への進出はまだ続きそうですね。