都市交通政策は、中心市街地活性化においてもしばしば取り上げられる重要な地域内経済に大きな影響を与えるファクターであとる考えられています。これは、現在の中心市街地空洞化などがモータリゼーションによって、旧来の人間の行動とは異なる流れ(歩きが中心)が変化したからだとする考え方に基づいています。
特に、欧州などのケースでよく紹介されるトランジットモールを支える中心部への公共交通機関として「LRT(Light Rail Transit)」があります。日本において中心市街地においてLRTを導入することで活性化に結びつくのではないか、という期待がもたれているのです。
そんな中、富山市で本格的なLRT路線が先月開通し、今月になり色々と雑誌やネット等で情報が掲載されています。富山には元々富山地方鉄道株式会社が運営している路面電車が富山駅南側を中心に入り、中心市街地への足ともなっていました。ただ、今回はそれがLRT化したのではなく、富山市の北側に通ってた元JR富山港線(戦前は富山地方鉄道が経営していたらしい)を第三セクター方式の運営会社に移管し、それをLRT化したものです。
富山に住んでいる友人に聞いたところ、「まだできたばかりでよく分からないが、自分はほとんど車で移動するし、結局は車社会だよね」という話だった。ネットなどで色々と意見があるので見てみると中心地などのへの出勤や通学などにも使われるようで、JRによる利用者数調査では05年観測で平日2266人に対して、休日は1045人ともあるようで休日の買い物などで利用するというよりは、より平日の交通手段としての役割が大きかったようです。
今後は、富山駅に北陸新幹線が開通するのに際して富山駅を高架化し、その後は元々ある南側の路面電車路線と接続することを計画しているようですね。
中心市街地周辺では比較的路面電車を利用する場合がある(駐車場の問題などもあるようで)とのことですが、それでも近年はやはり厳しい状況に置かれているようです。
以下のグラフからも分かるように、富山駅周辺、中心市街地周辺どちらでも通行量はかなりの勢いで縮小しているのが分かります。やはり富山でも全国の例外ではなく、郊外大型SCやロードサイド店のほうがとても便利でかつ買いたい物がそろっていて車でも行けて家族にも好評ということで、そちらに購買活動の中心は移っているようです。中心街でも再開発プロジェクトなどを活発に行っているようですが、それがどのように地域全体の経済構造に影響を与えるかはまだ未知数といったところでしょうか。
■富山駅及び中心市街地通行者数調査(H.17)より
恐らくLRT路線などはそれ単独で意味を持つのではなく、自動車による通行を制限するようなこと(車の車線を減少させてしまうなど欧州では行われているようですが)、郊外から車よりも中心街に来る手段として便利なものになる、という自動車というとても便利な手段の代替とまでなるには、色々と手段を連鎖的に講じないといけないのではないか、と言われます。またそれに合わせて商業機能の再興を狙うのであれば、それに対する手段も必要と考えます。
実際に富山での試みが、具体的に今後どのような成果を挙げてゆくのか、都市政策と中心市街地活性化の関係を見る上では注目されるかと思います。