再開発エリアのバリューアップはエッヂで決まる。 (No.939)

今AIAがある東京都品川区の大崎駅周辺は、国土計画における副都心化エリアに指定されたり、特定都市再生緊急整備地域制度などの関係で一致に開発が進んできています。

今日も品川区役所にも籍を置きつつ大崎地区のエリアマネジメント会社についても関わっている方と、うちの理事の綱島さんなどとお話をしている中で、「再開発エリアのバリュー」について考えていました。

今、都心部の問題はオフィスビル中心に再開発を推進したものの、土日に都市自体が一気に縮小してしまうので、下層部の商業テナントが経営が成り立たなくなってしまったりしています。これは1つは、オフィスビルは今はセキュリティの関係で大変閉鎖的な空間になっているため、お休みになった時には全く動かない空間になってしまう。さらに下層部の商業テナントは再開発コストを上乗せさせられた家賃となっており、与信問題もあって大手チェーンテナントばかりが入っています。コンビニ、とんかつ屋チェーン、居酒屋チェーン、ファーストフード店、うどん店、ファミレスなどです。残念ながらこれらは平日はランチ需要や夜の飲み会需要がありますが、土日にわざわざ他地域から食べにきたりするような店では正直ありません。どこにでもあるような店だからです。だから土日になると、オフィス床も、商業床も一気に動かなくなります。まー個人的には人がいないので余裕があっていいということもありますが、実際にまちとしてはバリューが半分みたいなところがあります。大崎だけでなく、この傾向は様々な再開発ゾーンに見られる現象です。

大企業が個別開発している再開発エリアの場合には統合的な管理も容易ではなく、単価も高い床ばかりになってしまう。地方商店街中心ストリートと同様ですね。高いがゆえに多様性が失われてしまうというパターンです。均質的なものが複数できても、競争力は生まれないのは言うまでもありません。

ここで他との違いを出して、バリューアップするためには、再開発指定地区のエッヂとなる隣接ゾーンに多様な店舗などが出現することが大変重要な要素になります。今、少しずつ問い合わせが増加しているものの、もっと体系的にここを強化する必要があると認識させられました。

今、国内地方都市においてもメインストリートよりも、路地まわりに魅力的な店が集まり、新たな事業者が相次いで参入できるようになると共に、新たな客層が中心部にくるようになっているケースが多数見られます。

だからこそ、再開発エリア内にとじたエリアバリューの考え方ではなく、むしろ、再開発ゾーンのエッヂにこそ固有の店やサービスが入り込めるような、まち起業の場にしていくことが必要であると考えます。このような他にはない店がチェーン店舗以外に集積していくことによって、再開発ゾーンにも好影響を及ぼしていくでしょう。

マチキチを含めて今年は大崎の再開発ゾーンのエッヂに注目した取り組みができないか考えていきたいと思わされました。これはアライアンスパートナーエリアのいくつかでも同様に言えることでもあるので、積極的に検討していきたいと思います。

Paypal Hereの日本上陸は何をもたらすか。 (No.938)

どこがPaypalHereを国内展開するかなと思っていましたが、ソフトバンクがPaypalHereを国内でスタートすることを正式発表しました。

内容をみると、端末は1200円で販売、海外より手数料率が5%と高いのは大人の事情か、ビジネス的配慮かな。ただ小規模事業者を囲い込みするには、端末コストが飛躍的に安くすむので、粗利率の高い形態、例えばネイルアートとかマッサージ、美容師とかそういうのをやっている個人事業主にとっては非常に良いだろうと思います。あとは、携帯ベースなので、クレジットカードが利用できないタクシーの対応策、観光地での各種サービスや入館料などの課金シーンなどには有効ですよね。

始めやすく、辞めやすいという段階で、クレジットカード決済の裾野を完全な有店舗型のB2Cから、よりアドホックに展開している個人事業主に大幅に広げる形になると思います。本来ネット上ではほぼその環境が整っているのに対して、リアルシーンでは昔ながらの重厚長大型の端末投資や加盟店審査や加盟料がかかっていたが、これが一気に解消される可能性がある。未だ実運用や基準とかは発表されていないので分からないが、海外のSquareの対抗事業として設定されたPaypalHereの柔軟性がどこまで日本でも実現されるか。



PaypalHereに関する記事は過去に私のほうでブログに書いています。ご存じない方はどうぞ。海外のように手数料率が安くないので、広がる個人間決済の幅は少し落ちるように思いますが、これまでの導入投資コストを考えると十分に破壊力があると思います。恐らく、Payapalが独自展開するのではなく、ソフトバンクと手数料を分け合うから、あとは国内の他の決済事業展開企業へのブランド側の配慮によるところと想定できますね。ただ、それを勘案しても、中小小売店舗などが他のクレジットカード決済事業者と契約して支払う手数料と比較しても決して高いパーセンテージではないと言えます。粗利率25%とかを目指す小売店にとっては厳しいかもしれませんが、前述のようなサービス産業で個人でやっていて、これまで審査も通りにくい、加盟店審査通っても手数料率が極めて高く請求されていた層はまず導入を検討したいと思うでしょう。


また、本ブログでも指摘しているように、オンラインPOSなどのシステムとマージされていっている海外の展開をみると、日本でもこのようなアプリがPaypalHere周辺に展開されていくことも容易に想定されます。

中小事業者にとってはある意味でビジネス機会を拡大したり、課金モデルを大きく変えるチャンスにもなっていくでしょう。今後のSquareの国内展開含めて要注目のモデルだと思います。


活性化事業には相対的優位性の観点が必要 (No.937)

ここ最近、毎日の研修材料で全国の中心市街地活性化基本計画のレビューを久々に行なっています。私なりにも過去に訪れた街が多いため、それらについての状況認識と基本計画について見ています。

ただ恐ろしい程にこれらには共通点が見られることが多く、個別事業もメニュー化されていることもありますが、それよりも根源的な現状分析と処方箋の基本的なスタンスに共通項が多くあります。ただ「現象」を説明はしているものの、その原因は各都市によって違うと思うのですが、多く都市では「現象」を述べるにとどまり、その原因にまでは言及していないものが多いです。恐らくは原因まで指摘すると、その原因を生んでいる主体者批判になるからだと思いますが、実はそこが大切だと思うのです。

なぜかというと、中心市街地活性化というのは、拡大人口、拡大経済ではない現状では、既存のパイを皆で食い合うことで中心部が勝ち組になるために何ができるか、ということだと思います。消費者も選択肢として中心部以外がありますし、民間企業も投資効果が高いほうを選択する時代にいかにして呼び込めるような環境を中心部が作れるか、ということだと思っています。つまりは、自分がどうするか、を考える上で、相手に対して相対的優位をいかに作るか、という支店です。これがなかなか見られません。

例えば、現状分析としては、

モータリゼーション : 自動車社会が到来して郊外に人口がシフトしたから中心部が相対的に地位を低下した。->過去に郊外に都市開発を進めてしまった。公共施設を分散移転されてしまった。土地の造成をして住宅販売を促進。以下の大型店出店についても認めてきた。[これらが悪では全くなく、これらによって生活環境が著しくよくなった背景がある。投資効果も高く民間資金も含めて郊外に集中した。]
大型店の出店 : 物流の高度化、モータリゼーションによって開発用地が拡大したことなどによって大型店が展開した。
人口減少 : 少子高齢化、人口流出について対策を講じれなかった。
産業空洞化 : 支店経済の空洞化(統廃合)、工場の海外移転などによって空洞化が進んだ反面、その代替産業の開発、及び雇用シフトができなかった。
空き店舗増加 : 中心部の商業物件に空きが目立つようになった。

などが指摘されています。

これらはまさに、状況としてもどこにでもあることですし、嘘ではないでしょう。各項目における原因に対してはあまり深掘りされていないことが多いです。何人が統計上減少した、何事業所が減少したといいつつも、その原因についてはあまり検討されていないことが多いです。勿論原因というのは単一要因ではなく、複合ですし、もしかすると仮説が間違っていることもあるかもしれません。しかし、これだけで対応策を講じるのは危険です。お医者さんが「お腹がいたい」ということだけで、「痛い要因」を考えずに薬を処方することはないのと一緒で、その原因が食中毒なのか、臓器系疾患なのか、精神的なものなのか、とか原因によって対応策が変わるわけです。まちの活性化事業も現状に対して、それが「なぜ起きたのか」というあたりを考えていくと、前述のとおり相対的な問題が多いので自分たちだけが頑張ってこれやります! というだけでは、うまくいかないのが分かるはずですが、基本計画の多くは、これら現状をもとに「空き店舗が増加しているので空き店舗補助やります」といった類のものが多くあります。

昨年度、熊本市と熊本城東マネジメントでの事業で、熊本市中心部物件の全件調査を行いましたが、空き店舗の発生要因は様々です。例えば、「市場として出店としても儲かる条件か否かによって分かれるため、坪単価引き下げはしているが、床面積は大きい区割りのまま」「1Fで高い家賃がとれているため、その他のフロアについては開いていても喫緊での入居を望むような状況にない」など、空いている要因は複合的です。さらに、これらの自分たちの理由だけではなく、より出店して稼げる可能性のある周辺大型店のテナント用スペースとのリーシング競争もあります。これらの環境に対抗するのには、単に家賃補助を期間限定やります、というのはほとんど意味がなかったりします。例えば、周辺大型店のテナント用スペースも厳しい現状があればフリーレントを必ずつけてくれます。さらに、床割についても過去の大きいままだったりすると、坪単価が安くても家賃自体は高くなるし、内装工事投資も大きくなるので、参入障壁は高いままだったりします。また、設備自体も古いと同様です。さらに、大型店だけでなく、同一地域内でも物件同士は市場内では競合関係にありますので、それぞれでの条件競争があります。さらに、一部に家賃補助あげるだけでは、これらの解決策に繋がりません。

例えば、他の競合を考えると、償却済み物件で、スペースの小規模化による実金額を下げて新たな入居者を集めるようにする、飲食や製造小売など利益率の高い形態に特化する、とか相対的優位性を確立することに繋がるだろう方針を持ち、今後は小規模な店舗、複数人が同一スペース入居するようなシェア型店舗やオフィスなどに変えていくほうが小さな需要を取り込もうと考える。オーナーが入居希望者などを集め、内装工事などを行う場合にリノベーション予算の一部を支援をするなど、どういう方向で不動産マネジメントを変更していくのがいいのか、相対優位に立てるのか、実需がある段階で投資する、という方針とか、努力したオーナーが報われるようにするとかやり方があると思います。オーナーは実際には事業リスクとかを土地保有と事業投資を区分して、土地保有に関する利益については最劣後であるのが自然だと思っています。

つまりは、空き店舗あるから空き店舗補助金、ということではなく、変な家賃補助をやられるほうがより市場環境を歪めてしまったり、全く無意味だったりするので、要注意だと思っています。皆が家賃が高いというか家賃補助出したのに申請が来ない、というのは、家賃補助だけでは相対的優位性が地域内では確立できないという実態を示していると思います。もっと違う観点から見たら、いい条件が地域内の他にあるのだと思います。市場って正直なので。再開発事業も同様ですね。開発しても、相対的優位性をどう確保できるものであるか、という視点が大変重要だったりするわけです。

何より活性化事業内で、効能が矛盾してしまうこともあるわけです。大型店が進出して選択肢が増加したというメリットと、デメリットとしては相対劣位の既存中心部は衰退したわけで、空き店舗をやったりします。しかしまた再開発事業を積極的に展開し、新しい商業床をどんどん増床して競合を増加させるといった具合です。集客とか色々と言いますが、結局はトレードオフなので、どちらをとるのかのがハッキリせずに総花的でみんながよくなるという幻想型計画ですね。実際には再開発施設もダメ、周囲もダメになってしまうこともあります。

現状だけより、もう一段階掘り下げて、その原因構造に目を向けて、どういう処方箋でその原因の一部でも改善するか、というのが大切だなーと感じたゴールデンウィークでした。


地域活性化に取り組みたいと思っている人に伝えたいこと。 (No.936)

昨夕に連続ツイートをさせていただいた内容をご好意でtogetterでまとめて下さいました。この手の話題については、大変興味を持っていただけたみたいで、地域活性化に取り組もうと思われている方が確実に多なっているのに気付かされました。


僕は1998年に早稲田商店会に関わったのをキッカケにして、早稲田での取り組みが全国的に脚光を浴びはじめる時に関われたことで、全国各地の方々と知り合いになることができ、それらの地域にお伺いして、一緒に事業に取り組む機会に恵まれました。また、インターネットがその頃は普及期に入っていたこともあり、ネットを利用してプロジェクトを進めたり、サービス構築していくチャレンジもでき、全国の商店街から資本を集めて会社を作って経営してみる、という恐らく後にも先にもなかなかない経験もさせてもらいました。事業としては初期は本当に失敗続きではありましたが、その後方向性を持つことができ、今の礎となっています。その問題意識から経営学を大学院では専攻し、これも今の強力な武器になっています。そんな話はまた今、今度本にしようと思っていまして、木下が今のような考えに至ったプロセスや頭の中のフレームを今年夏すぎころには共有させていただけると思います。ご興味があれば、ぜひ出たら読んでいただければと思います。

これから地域活性化に取り組みたいと思っている人には、以下の7つの点についてぜひ考えていただければと思います。答えでもなんでもなく、木下が至った現状での考えです。

(1)自分のやりたいことを親しいチームで始めること
やはり自分がやりたいことからはじめるのがベストだと思っています。人から言われたことに取り組むことが苦痛なのは言うまでもないですが、一番陥りがちなのは「分析してこれが有効だ」「こういう人達がいるからサービスをしよう」といった、他人のニーズをマーケティングやヒアリングを通じて把握して、実行しようとするパターンです。
私が初めて関わった早稲田商店会ではやりたいことを提案して実行していました。その後、共同出資会社になった途端に私は、上記のような「言われたサービス」「可能性があると考えるサービス」として地域に提案して行きましたが、全くもってうまくいきませんでした。自分が自分で楽しめる、必要だと思えるサービスであれば、隅々までこだわることも全く苦痛ではないですが、人に向けたものを提供すると「なんてワガママだ」「そこまで言われてまでやりたくない」という気持ちが出てきたり、何よりそんなところですから提供したのに対価を支払ってもらえないということが沢山出てきました。堪え性のない性格というのもあるかもしれませんが、私は自分が本当に必要だと思う、地域での独自財源を作り、それによってまちづくりを推進するという自分がやりたい方法が見つかってからは、ここは解決できつつあります。

あとは、1人だけではじめるよりチームではじめることをおすすめします。最初の頃は事業は心細いものです。結局責任者は孤独ではありますが、チームで取り組むほうがいい。この時にはパートナーのスキルよりも性格を重視したほうが良いです。ただ、これが難しいところで組織や事業成長に伴って変化してくるのです。最初はあくまで仲間というのが大切という意味です。

自分のモチベーションを保ちやすいネタで、保ちやすい環境を作ってやっていくことがプロジェクトの成否にとって、大変大事だと思っているのです。正しいことより、楽しく取り組めることが何より大切だと思います。

(2)資本と経営は一致すること
これは昨日のツイートでも指摘しましたが、初期に資本と経営の分離はしてはいけません。少なくとも資本主義経済において、資本と経営は対等ではなく、あくまで資本を出した側に権利があり、経営側はその資本をもとに事業を回していく実務に取り組むことになります。しかしながら、地域での事業の初期は当初考えていたとおりに進むことはほとんどありません。自分の経験ではゼロです。その場合に、資本を出して頂いた方に「こういう事業で取り組むのでお金出してください」とお願いしてスタートすると、この軌道修正に大変時間と手間がかかります。結果的には、事業を柔軟に変更しながら進めることが困難になり、資本を出して頂いた方にとってもマイナスになったりします。これは自分が共同出資会社をやっていて、初期に計画した事業では全く黒字化を図れず、独自財源事業開発や調査研究を基礎として黒字化を図っても、なかなか株主とのコミュニケーションで方向転換を本格的にできなかった背景があります。

初期の事業は最近のリーンスタートアップ[エリック・リース (著)]であったり、小さなチーム大きな仕事[ジェイソン・フリード (著)]、でも指摘されるように、どんどんサービスを試していった上で、正解が見えたらそれに注力して成長に向かうのが一番だと思っています。

だからこそ柔軟に責任を自らとりながら方向転換を図っていくことができる環境で、自分スタートから関わっている、まち会社については最初から資本と経営は一致するようにしてきました。自分もお金をだせる範囲で出し、共に経営するというパターンで取り組み、これは今のところはうまくいっています。

(3)事業計画の提案よりもまずは始めてみること
よく事業計画を策定してプレゼンしたり、どこかの団体に売り込もうとする人がいます。地域活性化分野においても、地元の既存の商店街や自治体、まち会社などに提案して、これらの団体事業として取り組んでもらおうとすることがあります。これは資本と経営の一致の観点からもあまりうまく行かないわけですが、何より提案をして相手を説得することに力を使うよりも、自分でまず始めてみることをおすすめします。

空き店舗対策の調査をするより、自分で店をだそうと思えば、なぜ店を出す人がそこにこないのか、わかると昨日もツイートしました。こういう実態もやるからこそ得られる情報だったりします。つまり深い情報はやった人しか得られないと思うのです。

地域活性化のアイデアは世の中にあふれています。この分野で何らかの注目を集めている人たちは、アイデアに自ら挑戦した人たちです。自分で自ら取り組み、形にしてみせることが何より大切なのです。論より証拠です。

そして、提案相手がもと答えを持っていないとすれば、誤った方法で事業を推進する人たちだったとしたら、彼らが納得する事業計画になった段階で、その事業は終わっています。そういう時がなんと多いことか。これからの時代に合わせた自分たちの頭で考えたことに自信をもって、まずは始めてみることをおすすめします。

(4)補助金もらわず、自己資金でやること
初期に「手元にお金があまりないので、この30万円を補助金の自己負担分として活用し、2/3の補助金もらって90万円にして事業を始めます」といった話を聞きます。絶対にやめたほうがいいです。

事業に必要なのを「お金」だと思っている人がいますが、綺麗事ではなく、私はお金は勿論資源として大変重要ですが、「時間」と「モチベーション」と「柔軟性」のほうが大切だと思っています。(1)でやりたいことをする、という話をしましたが、補助金をもらうとまずやりたくないことが爆発的に増加します。税金の一部をもらうわけですから当たり前だ、という論調はありますし、そのとおりでしょう。だからこそ、やめたほうがいいのです。申請書、担当者からの指摘に対応した修正、事業に必要な経費の見積書、納品書、請求書、領収書などの整理、事業にかかる報告書、さらにはその事後確認や監査への対応。膨大な手間がかかります。これを好き好んでやる人であればいいですが、私はこれは時間とモチベーションの最大の敵になっていると思います。
さらに、事業変更の柔軟性の喪失も伴います。事業計画通りに進捗することを重要視する補助金事業では、何かを変更するのにも変更申請、その妥当性の立証といったような話が伴いますし、補助金担当者の多くは、その変更を過度に嫌がります。結局は、最初いったとおりに進めることになり、事業に着手して気づいた気づきを全く生かせなくなります。

重要なのは、時間、モチベーション、柔軟性の3点です。私は補助金とトレードオフ関係にあるこれに問題があります。

そして、最後に言えるのは「癖になる」ことです。これもモチベーションに係ることです。
人間のモチベーションは経営組織論でも多く試されていて、例えば「これまで無料でやりがいをもってやっていた作業を、今月は時給1000円出してやってもらう」。そして、翌月に予告なく「また無料でやってくれ」と言われた人は、その生産性を著しく失います。つまり同じ作業にもかかわらず、損したような気持ちになつてしまう、モチベーションというのはそういう相対的なものだったりします。

自己資金でやり慣れている人も、一度補助金をもらうと、もらわない時と比較して「損した」ような気持ちになります。だから次も必ず補助金をもらおうとし、数珠つなぎで常に補助金をもらおうとし続けることになります。これを私は、補助金の麻薬性と読んでいるところです。そういう団体はゴマンとあります。そのうちに補助金のメニューにかなう事業をやるようになる、順序関係が前後してしまうようなところまで至れば、完全なる中毒です。

だから補助金ではなく、自己資金で挑戦するクセをつけることが大切だと思っています。自分たちがやりたいと思うことを自分たちでしっかりとやる癖をつけることが大切です。

(5)店など固定のものありきではなく、仮設変動型からスタートすること
自己資金で、と言われてもお金ないです。という話がありますが、それって例えば昨日のツイートでしていたように、お店開くとかそういう投資が必要なことから始めようとしていないでしょうか。

まず自己資金でスタートするのであれば、その規模に併せて店を出せる金額でなければ、行商型で空いたスペースで仮設で店を出すことも可能でしょう。フリーマーケットやマルシェなどから事業をはじめることもできます。契約関係を整理して、一括発注によってコスト削減し、その一部をまちづくりに利用する我々のモデルのように初期投資がいらないビジネスシステム型の取り組みもあります。

カネがないなら知恵を出せ。早稲田でよく言われたことです。逆にカネがあるから知恵が引っ込むとも言われました。

初期は高い固定コストが書かないものが着手し、収入が増加してきて可能になったら固定投資を伴うところに入るのがベターです。だから初期は例えばあらゆる条件を変動化してもいいと思います。軒先を借りるにあたって、1日1000円を固定で払い、あとは粗利の10%は置いていきます、というような条件設定です。ここは交渉です。人件費も全て貢献度に応じて、チームで最初に決めて、粗利の40%を人件費として、その中から配分を決めてAさん15%、Bさん15%、Cさん10%という形もありでしょう。

初期を仮設変動にしていれば、「あ、これは違った」と思って逆戻りしたり、違うやり方に変更したりどんどんできます。サンクコストが安くすむのです。最初にすごい勝負はってしまうと、これが難しくなります。カフェを出す前に、仮設で週末のイベントの時に同じ場所でコーヒーを入れて飲んでもらう仮設カフェを経営していれば、最初考えていたような深い焙煎よりライトなほうがお客さんが好みかもしれないし、椅子も硬いものよりソファーのほうがいいという話も聞けるかもしれない。むしろ、コーヒーよりも紅茶のほうがいいとかもあるかもしれません。最初にかねかけてカフェを出してしまったら、その分軌道修正にさらに資金も時間もかかることは言うまでもありません。

初期のスタートアップをどうするか?、は試行錯誤のしどころ盛りだくさんです。今進めている遊休不動産を利活用した事業などでも変動化を基礎とした不動産マネジメント事業を進めています。

もともと事業というよりはそうやってアドホックな形からスタートし、規模に応じて固定化を図っていくことが得策です。

(6)黒字であること
そして、わずかでもいいから黒字であることだと思います。
初期から1%でもいいから、決算を黒字にすることが大切です。どんなに偉いことをいっても、黒字になっていない事業は市場で評価されません。何より地域で変化を生み出すような挑戦的事業については、失敗して欲しいと思っている人たちも沢山います。「ほら見たことか。偉そうなこといってて、結局赤字だよ」といわれ、あることないこと含めて風説の流布があります。だからこそ揚げ足取りされないよう、胸を張って黒字を出しましょう。

また何より自分たちの為にも黒字にならない事業は次の一手も見えなくなってしまいます。しっかりと黒字を出せば、財務上の自己資金調達にあたる内部留保が可能であり、翌年度する投資の原資を持つことができます。

とんでもない勝負事業で稼ぐこと優先ではなく、まずはコンパクトにも黒字になる事業を心がけること。大規模な事業においても基礎は一緒だと思います。ここは大規模な事業については結構奥深くて、税制や減価償却とかの観点の知識も必要ですが、それはまた別の機会に。どちらにしても、黒字は大切です。

(7)利益は再投資し続けること
地域活性化で重要なのは、資金を集めて投資して利益を出して、さらに再投資していくサイクルです。今はこの再投資が滞りがちです。地域で稼いだ資金は積極的に地域で再投資していくこと。これが意外と難しいです。稼ぐことで一生懸命になると、今度は何を次の一手としてやると地域にとって効果的で、有効な再投資であるのか。ここもまた知恵のいるところです。

将来に向けた投資は大切です。人々が必要だと、対価を支払ってもらえるサービスを作り、その中から儲けを出し、さらに投資していく、まちの活性に寄与するといえます。

--
以上、少し長くなりましたが、昨日のツイートのエッセンスを一部まとめました。もっと話したいことが沢山ありますが、それはまた本などまとめたいと思います。経験だけというより、他の地域や我々の仲間のケースも踏まえ、経営系のフレームなどから合理的だと思うことを述べました。

地域活性化に取り組む人がもっと増えることを期待しつつ、自分も負けないように頑張りたいと思います。


社会保障から産業化への転換 (No.935)

先日、「病院がトヨタを超える日」を読みました。現場で病院経営をされている北原さんの様々なコメントは大変興味深いものばかりでした。また、現在の日本をどう見るか?という観点からも、大変シンプルかつ的確に示している言葉が沢山掲載されている良書です。

Chikirinが細かく書いているので、ぜひそのあたりはどうぞ。

さて、何より題名にもあるように、医療を社会保障として捉えるだけでなく、一つの産業として捉えようというのが、私にとっては大変面白かったです。まちづくりも、活性化とかいろいろと言っていますが、結局は衰退都市への社会保障的な観点で話をされる場合も多いわけです。しかしながら、不動産や地域中小商業とかを含めて多くの資金循環が発生していて、地域内での税収とかにも大きく影響を与えたりしている、大きな産業であり、社会構造そのものをどうしていくか、という課題だと思っています。このような課題については、他の都市においても開発後の都市マネジメントという観点で例外なく発生することだから、今後どのように日本に人を呼び込むか、ではなく、日本型の都市マネジメントモデルを海外に持っていくか、というのは大変重要な行政、民間問わずに重要な都市産業も出るだと思っています。なんかインバウンドとか、そういう外から内へという思想ではなく、内か外へというモデル展開の観点は、より具体的に考えたいと思わされました。海外現地のまち会社と連携して、資本、人材の面で日本から都市産業モデルを輸出していくようなことももっと具体的に考えながら現場をやらなくてはならないなと考えさせれられました。

つまりは、現場をちゃんと張って自分が正しいとおもう施設を率先して展開しつつ、さらに国内だけでなく、海外にも新たな社会モデルを産業として輸出していくことをしっかり進めていくこと。これを改めてちゃんとやらないといかんなーと。

久々に読みやすく、大変刺激になる一冊でした。




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経産省事業調査で出来た全く報告書ぽっくないレポート。細かなケースをきれいな写真とインタビュー記事を中心でまとめている。私も湯布院・安心院・長湯や北海道グリーンファンドなどいくつかのケース原稿を書きました。値段からは想像できない凝縮された中身の一冊。
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