既存建築・新築・再開発をつなぐ、エリア・アセット・マネジメントの挑戦 (No.1032)

 

愛知県春日井市勝川。もう代表つとめる 水野 隆さんとのお付き合いは16年前に遡るのですが、なんだかんだで事業を共にするようになったのが3年ほど前。

2年前に商店街の店舗兼民家をリノベーションしてシェア店舗TANEYA (http://taneya.tv/ )がスタート。 嶋田 洋平さんにもきてもらったり、メンバー研修をしつつこの開発プロセスで逆算開発、補助金に頼らない民間資金活用などについて学びつつ3ヶ月ほどで営業終えて、半年くらいで事業スタート。

お陰さまで、入居者の皆さんと地域の方々のご愛顧により、施設側は計画通りの1.5年投資回収を終え、さらに入居者さんは予想を上回る業績をあげてこられています。 百時の 素美さん、 河野 明子さんをはじめとして多くの方を巻き込み、事業成長と共に、様々な成果を上げられているのがすごいです。

その成果もあり、勝川周辺への出店問い合わせなども2年前よりは格段に増加。

ちょうど、その頃にとある土地の買収の話が出たのです。それが写真にある更地となって放置されていた商店街のど真ん中の敷地。もともとTANEYAでの事業法人でもある、勝川商業開発(地元の資産を持つ地権者たち長老たち・写真でわかるはずw)の皆様が購入をいつの間にか決断。

 

「もう土地買ったよ」という話で、「買う前に相談してよー」ということなのですが、買ったのであれば、これを効果的に活用した事業を仕込むことになりました。

そもそもの需要が拡大していた背景と共に、様々な企画で集客を集めるものを勝川はやっている一方で自分たちで自由に使える広場や小回り聞くスペースがないということもあり、それらをどうにかしようという話が出てきました。

それらを統合し、例の如くの「逆算開発」「補助金は使わず、金融活用」でコンセプトにあう店舗の募集と調整を重ね重ねて10ヶ月ほど。途中「出来ないのではないか」と思うこともありましたが、木下の細かな管理にも負けずw、現地の方々の熱心な営業によって、一歩一歩進んでいきました。

その後は 河合 忠さん、 山田 貴之さん率いる、建築チームに厳しい予算制約の中、テナントとの調整と共に、活用できる「稼ぐ共用部」の開発という2つを調整しながら進めてもらいました。これは本当に地元建築チームの賜物。当初どのような構成にするか、 広瀬 郁さんにスクラッチの議論を整理してもらったりしていました。入居者の人たちと幾度と無く調整を重ねつつ、最後はスケジュールとの勝負となっていきました。

また、ネーミングについては世代の間、既存居住者と新規居住者との間などを埋めるというコンセプトから「ままま勝川」という名前に。minna( http://minna-design.com/ )の 長谷川 哲士さんに愛知出身ということもあり、サイン計画までをサポート頂きました。

 

そして、ようやく施設が完成し、先日お披露目パーティーとなりました。今回の入居者の皆さんも、TANEYA同様に長老の皆様からすればとても若い世代ばかりです。

 

今回の開業を機に、TANEYAとままま勝川の管理と共に、それらの共有部運用、駅前の再開発施設での低利用共用部などを共同で活用ビジネスを展開する、「株式会社勝川エリア・アセット・マネジメント」を私も含めて出資して設立。

ままま勝川は特に底地は20年で切りつつ、上モノは底地の10年返済分を織り込んでも11年以内で投資回収を終える計画になっています。さらに、共用部をイベントビジネスで活用することにしており、ビアガーデンやハロウィンやクリスマスマーケット、周辺生産地とコラボした収穫祭など様々な企画を週末に展開して稼ぐことで、施設側としては投資回収がより圧縮でき、またエリア・アセット・マネジメントの財源に繋がる計画になっています。

さらに施設としては8割はテナント収入で回すことにしつつ、2割り程度になる8坪のギャラリーと24坪のホールは事業計画の上振れを目指す運用を目指すものです。また、一定の固定費を抱えることで、エリア・アセット・マネジメントとしての背水の陣を抱えるプレッシャーを与えるモデルにしているのも各地での経験を踏まえた構造にしています。

ま、このあたりの構造などについては今度改めて資料に整理します。

 

どちらにしても、これからが勝負。まさにビジネスとしての成功を実現しなくてはならないのです。

先日のお披露目の際にも、市長さん、議員さんもお越しになられましたが、「補助金ではない支援は、ここで飲み食いしたり、お客さんを紹介していただけること」とお話しました。まさに社会資本が豊かな議員の方々は、本来は行政予算の割り振りだけでなく、自らのそれら資本をもって地域に貢献できることでもあると思います。ビアガーデンの際には事前チケット販売で相当枚数を購入いただけるものと思います。笑

どちらにしても今度は1-2年に一つずつリノベーション・新築を組み合わせながら、10年ごとの変化に対応できる、季節で変化していく小規模店舗集積を皆で図っていこうと仲間と共に誓いました。

どこの地域でもそうですが、始まる時は不安になるものですが、上の世代から若い世代まで、政治、行政、民間の垣根を超えたフラットなチーム感が勝川の強みだなと思います。

まちを変えるのは「民の覚悟」。様々なセクター間での関係も再構築が必要となる縮退社会=成熟社会において、勝川はどのように今後展開していけるのか。休むこと無く動き続けなくてはなりません。

挑戦は続きます。


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【10刷御礼】木下斉「稼ぐまちが地方を変える-誰も言わなかった10の鉄則」
[7刷御礼]木下斉[まちづくりの「経営力」養成講座] (地域で事業に取り組む時の本)
[4刷御礼]木下斉・広瀬郁「まちづくり:デッドライン」(リノベーションまちづくりの本)


公園維持管理に貢献するホットドッグ店が上場する社会 (No.1025)

ニューヨーク市の公園マネジメントでは、最近は積極的にコンセッション(営業権の民間への一定期間売却)を行っています。

http://www.nycgovparks.org/opportunities/concessions

先日いった時も、ブライアント・パークではバンク・オブ・アメリカが、スケートリンクとカフェ等をつくって経営していました。この営業権によってニューヨーク市は収入を得て、公園維持管理費などに活用しているわけです。市民や観光客にとっても楽しいスケートリンクなどができて、寒い公園にいく明確な理由ができていいですね。多くの人が来ていました。

 

さらに、ちょいと工事中で残念でしたが、マディソン・スクエア・パークのコンセッションで生まれた、ホットドッグ店「シェイクハック」は先日上場しています。マンハッタンの中だけでも複数の店が今は展開されているので、別のお店で食べましたが、正直味は普通でした。笑 オーガニックとかコミュニティみたいなコンセプトなども含めてウケているのでしょうね。



Wikipedia : シェイク・シャック

元々は以下みたいな感じなのです。資金調達できたから改装中なのかな。

Shake Shack Madison Square.jpg
"Shake Shack Madison Square" by Beyond My Ken - 投稿者自身による作品. Licensed under GFDL via ウィキメディア・コモンズ.

 
地域にとって貢献し、さらにはその営業が伸びていって上場するなんて、素晴らしいストーリーではあります。
社会と経済が接触し、より良い公共サービスが提供される。

これまで我々も公園活用したマーケットからの周辺への出店促進など含めて様々な利活用に取り組んでいました。
都市公園だけでも全国でどれだけあるか。これらが単に整備されたままに税金で保守されるだけなのが変わるだけでも相当なインパクトだと思います。札幌大通り公園の夏のビアガーデンとかは世界に誇れると思いますが。

もう一歩踏み込んで、こういう取り組みを都市部でさらに模索していけるなと思わされました。まだまだ開拓できる余地はありますね。
 
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プレミアム商品券の構造的問題 (No.1019)

緊急経済対策が3.1兆円となって、その内訳で自治体が自由に使える交付金が4200億円で、その活用事例が「プレミアム商品券」だそうな・・・。麻生政権末期の巨額補正を思い出します。ってプレミアム商品券ってなんなの?という方もいるかもしれないので、少し解説をしたいと思います。

◯補正予算規模3・1兆円に…目玉は商品券支援
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141226-OYT1T50066.html

プレミアム商品券とは、1万円で購入した商品券に税金で20%分とかを上乗せ(プレミアムをつけて)して、1.2万円とかで商品購入ができるようになる商品券事業のことです。つまり消費者的には1万円で1.2万円分買い物ができる商品券が売り出されるということです。ま、結果的に税金なんで消費者が皆で負担をしているわけですけど。

経済対策に向いているのは、2つの要素があります。

まず、商品券自体は売れます。
そりゃ1万円で1.2万円のものが買えるわけですから、相当に変なところでしか使えない商品券でない限り売れます。普段1万円でかっているものを実質的に2割引で買えるみたいなものですからね。これで売れないとかいってたら相当に変な店しか利用範囲にしていないわけです。(ま、ここの矛盾については後に述べます)

もう1つは、分かりやすい経済効果をうたえます。
以下の様な説明ができるからです。過去のプレミアム商品券の経済効果をうたっている鳥取市の資料です。

◯プレミアム付き商品券発行事業(第1弾)の経済波及効果について【鳥取市】

このような形で経済効果をうたえますが。経済効果なんて胡散臭い話であって、いつも購入していものをほれ!この時期にと1.2万円分購入したら、その後は買い控えになるわけです。実需そのものを喚起するような商品サービス自体があるわけではなくて、普段の経済活動の中でプレミアム商品券で需要を食うだけなので、実施経済的には落ち込みも出るわけです。普段かっている店で1.2万円分を1万円で買うけど、その後は多少割高に感じてしまう部分もあるわけで・・・。が、経済効果はそういうプラスマスナスはしなくていいという概念なので、この予算でこれだけの経済効果!!とうたえるので、理論武装しやすいというところです。

問題点はいくつもあります。

まず商店街や商工会でのプレミアム商品券販売は、手作業でやっていたりして、運用費がかかります。つまり各お店のそのまま当然プレミアム部まで全額支払わるわけでなかったりします。ま、場合によっては別予算で事務局運営費を充てる場合もあったりしますが、つまりは実際には予算額の一部は手数料になってしまうということ。ココらへんはもっと効率的に普通に全国共通商品券とかでの対応がよいのでしょうが、まぁそういうことすると地元から顰蹙くらうから基本は地元経済団体を基盤とした配布方法になるんですよね。

さらには、商品券自体をしっかり売るためには、様々な店で使えるようにしなくてはならない→店舗面積で売上が決まるため、大型店量販店が当然ながら優位にたつので、消費刺激にはなるけど、商店街活性化の文脈は形骸化してしまったりします。つまり使いやすくすればするほど市場原理が働くので当然皆が使いたいところで使う。となると、それは衰退しているエリアの商店街ではないという悲しい事実もあります。なのになぜか一石二鳥的な説明をする人もいます。ここは割り切ったほうがよいですよね。

最後に、不正の問題です。
商店街内でのプレミアム商品券なので、内輪で回して2割をかすめ取るという不正が起きていることが実しやかにあったりします。あるところではそれが問題になっていたり。つまり、1.2万円の商品券をかって自分の店で使って換金してしまえば、粗利+2割のプレミアムは手元に残るという錬金術です。まぁ最近は厳しくなっているのでやりにくいでしょうが、まぁこういうこともあるということで監視コストまでかけなくてはならないということでもあります。

まぁ給付金だと振り込まれるまで誰もお金使わない、そのまま預金とかになってしまうという問題があるから商品券なのでしょうが、各自治体が従来のプレミアム商品券のモデルをやるべきか、と言われれば、違うんじゃないかなとは思うんですよね。カンフル剤にしかならない+その後に負の経済効果もある+運営費なども付随してかかる、というあたりを考慮してできるだけ効率化を図る程度しかないんでしょうね。

本当はこんなカンフル剤ではなく、地域内経済として新たな事業開発と向き合わなくては安定雇用などにもつながらないのですが、まぁそういう気長な話ではないということなんでしょうが、こういうのを繰り返せば繰り返すほどにプレミアム率を上げていったりしなくてはならず、ますます地域商業などは実態と乖離てしまって疲弊していく現実があるのも悲しいところです。

◯リアルな地方創生は、補助金に頼らない【東洋経済オンライン・木下斉】
http://toyokeizai.net/articles/-/56603

以下のレポートも初期のプレミアム商品券の動向を取り扱ったレポートとして興味深かったですので、ご関心ある方はどうぞ。

◯「プレミアム商品券」施策に表れる消費者のしたたかさ【山本泰弘
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あなたのまちにウルトラマンも仮面ライダーも来ない。 (No.1014)

ちょいと先日、フェイスブックに書いたのですが、流れてしまうのでブログにも一部変えて掲載したいと思います。

どうにも、全国各地のまち会社の事業開発で成果をあげるブートキャンプにでれば、北九州でのリノベーションまちづくりのエンジンとして開催しているリノベスクールを自分のまちで開催してもらえれば、わが町はそれだけでどうになると勘違いしている人が急増しています。

けど、その動きに、僕は既視感がある。「いつかきた道」だなと感じています。
 

かつて早稲田商店会でやっていた環境まちづくりも一定超えたところで、そういう人たちが殺到しました。
結果100箇所くらいがやったと思います。エコステーションという環境・販促の事業をやればうちのまちも活性化、みたいに勘違いをした人たちは、行政予算とかを引き出して、皆の町につくってしまいました。

しかし、作って終わった。

一部のひとたちは何か自分のまちでも、そういう「一つのこと」をイベント的に実施すれば、そのまま自分達が何もしなくても変化すると思っています。それを実現するのに必要な様々な細かな実務をやり切る覚悟がありません。交渉したり、頭をさげたりするのが嫌だから、補助金使うなといっても補助金使って、その金のちからで物事を解決しようとします。民間主導だといっても行政に主導させて、自分達はあくまで言われてやっているというスタンスをとったりします。取り組みとして持続可能にするためにもちゃんと儲けろといって、「そうですね」といいながらも、全く営業もせずに儲けない。

どんどん最初に取り組みを始めたメンバーは全国への広がりに違和感を持っていきます。

が、もう止まりません。同じような事業をやりましょうと煽動する変な業者やコンサルが山ほど全国各地で出てきて、全国各地に拡大していってしまいます。もう止まりません。

そして何が起こるか。そう、各地でうまくいかない事例が出てきます。

そうすると、「言われるようにやったけど、うちは活性化しなかった」「金だけとられた」「あれはだめだ」といった話になる。自分達は悪くない、人がわるいといって終わりにしてしまう。そして皆は、次なる流行りの活性化事業に目をつけて、視察見学し、予算をつけてパクっていく。そして失敗する。この繰り返しです。
 

こんなパターンは他の地域の様々な事業でも常々起きてきて、大抵は3年くらいの周期で全国的に流行っては終わっていった事業が沢山あります。
 

重要なのは、何かをやってもらおうとか、何かをやったらそれだけで活性化するなんて馬鹿げた幻想を捨てることです。ブートキャンプとリノベスクールだけで活性化するなら誰も苦労しません。自分で24時間365日考えて、動いて、その中で吐き出される結晶のようなものでしか成果にならない。日々やりつづけること自体に快感を覚えないと話にならないのです。

なんの義理も義務もない人様を頼りにして、自分の地域が再生するなんて思っているから衰退するんじゃないですかね。自分達しかいないと思えば本気になるんじゃないでしょうか。

多少地域で嫌われてもやり切る、多少損してもやる気ることも全く億劫じゃなくなるでしょう。自分達の地域、自分達の子供、孫、将来のためになるんだから決断できるんじゃないですか。

それもできないならもう終わりですから、もうどうにかしようとかいう、期待を捨てることですね。諦めるべきです。


どんなに願っても神様も、ウルトラマンも、仮面ライダーも、来ないのですよ。
もしウルトラマンも仮面ライダーもいたとしても、あなたの地域をわざわざ救ってくれるほど暇ではないから来ません。あなたの地域が消滅しようと、壊滅しようと、別に国民・地球民の多くは関係ありません。あなたのまちは特別じゃないんですよ。one of themにすぎない。いくらでも代替はあるし、人が減ってるのは、それだけ住んでる人でも見限ってるという話です。見捨てられていっているのです。地元の人にすら、あなたの地域は。外の人にとってなんの感情もありません。そもそもあなたのまち自体、多くの人は知りません。悲しいし悔しいけど、そうなんです。
  
だからこそ、あなたがやるしかないんですよ。あなたしかいないです。
  
あなたが本気で最期まで逃げ道さがさずにやる時に、縁もゆかりもないけど、様々な外部の人達も協力したいと思うんです。僕もそうです。自分でやりたいと思うから、どうにかして活性化させたいと思うから、仲間が集まり、共に各地の同志と全力で事業に取り組むのです。やるからには全力でやろうと思うんです。

そもそも成果をだす地域と出さない地域ってのは根本的にそこが違うんですよね。自分が自分で金出して、自分で考えてやってようやく真剣になるんです。自分もそうだったから心からそう言えます。

事業に関するノウハウなんてものは単なる薄皮饅頭の薄皮みたいなもの。ブートキャンプもリノベスクールもそんな程度のものなんです。けど、我々仲間がそれぞれ各地で自分達で挑戦してきた中から生み出したものです。

だからアンコがないやつにくれてやる薄皮も、ないのです。
 

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消化もされない、補助率100%の補助金事業 (No.1007)

「補助金がないと事業ができない」という人は昔からいました。しかしながら、最近ではその様子が変わってきています。

補助事業を行う際の自己負担分、つまり事業費の2/3を補助してくれるにしても、1/3の資金は自分たちで負担するわけですが(ま、"補助"事業なんだから当たり前なんだけど)、それさえも負担できない。役所が100%補助してくれないと困る、という話をいう人が出てきていました。つまり、やる事業の全額を行政の予算=税金で負担してくれ、全部持ってくれ、って話です。

飲み歩きのイベント、廉価販売イベント、各店舗を紹介する勉強企画、コミュニティなんちゃらスペースの設置、などなど商店街の活性化に資するという取り組みの予算を全額税金で執行することを要求していたわけです。

(それよりも前にもっとやることあんだろ、と、色あせたマネキンが並ぶ洋品店の店頭をみて思うこともたくさんあるわけです。)

ま、それらの事業が本当に活性化する取り組みであれば、それで儲かるわけで、儲かるのであれば、儲かる人が受益者負担するのが世の中の常識なわけですが、それさえも通用しないほどに補助金依存が高まっているのが、商店街の現状でございます。何よりそんな事業やっても活性化なんてしないんですけどね・・・。

んでもって、そのような「商店街の声」を受けて創設された、地域商店街活性化事業は、"定額補助金"という仕掛け。
ま、つまりは400万円と決まった定額をそのまま補助しますということで、つまりは100%補助金のことなのです。何事も表現が胡散臭くなると、怪しいものです。

ワタクシは、おーおー、商店街もいよいよだな、と思っておりました。
が、実態としては、この100%補助される予算も消化されていません。その模様については以下のようにも書かれていますね。
 
経産省の「地域商店街活性化事業」には、13年度の補正予算で、 53億円が計上されている。だが、この事業には12年度の補正予算で100億円が投入されたものの、これまで約半分しか使われず、47億円もの大金が余っているのだ。そして、これらの余ったカネが国庫に返されることは、決してない。「全国商店街振興組合連合会」が運営する基金にプールされ、翌年度以降に持ち越される。

まともな商業者からすればそんな税金使った縛りのある面倒くさい事業に付き合っても、どうせ儲からないから付き合わないわけです。
さらに、商店街の多くも「今更何やっても仕方ないよね」と諦めて申請さえ面倒臭がってやらないというのも実態。

そんな状況を知った仕事の不足している広告代理店とかは、「申請から実施までをパッケージにしてやりまっせ。商店街は一切何もしないで、負担もしないでOKなんですよー」というメニューを創設して、商店街に営業してまわっているご様子。まさに商店街は単なる食い物にされていく。。。。

まーそういうのに乗せられる商店街ばかりではないと祈りたいところですが、もはや過去の振興組合ネットワークを駆使して補助金配ってどうにかなるという次元を超えているのを認識しないといけないのではないか、と改めて思う出来事です。

普通にまともに投資して事業やろうよ。

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とあるヤマザキショップの奇跡 (No.1004)

コンビニって、複数の店舗を並列化して情報を統計的に分析し、物量によって規模の経済、範囲の経済を最大限に働かせるために均質化を行うところにその競争力の源泉があると思うわけです。
しかしながら、ゆるーいコンビニとして知られるのが、ヤマザキパンがやるデイリーヤマザキやヤマザキショップです。昔からまちにあったような酒屋さんとかがもっともハードル低くコンビニっぽくなれるみたいなところがあります。その反面、当然コンビニとしての競争力ってあんまりなくて、まぁヤマパン売ってるくらいしかないわけですが。。。

と思っていたら、知人がそんなヤマザキショップの中でも世代交代で、本部のコントロールが弱いことを活かしてローカルカスタマイズして魅力的になっている店があるという話を聞いて驚いたわけです。(詳しくは以下に埋め込んだFBのタイムラインを)
確かにここまでコンビニが多くなると、薬局とコラボしてみたり、とか色々とコンビニもしますが、店自体がもう少し自由度を図ると面白くなるところもあるのかなーと。勿論、やる人のセンスに依存するわけですが。

どちらにしても経営がうまく行っていない時は、「息子に任せる」ということが極めて大切ですね。なかなかできないことですが。

以下にうまく表示されない場合はこちらをクリック
 
 
 
◯追記 2014.1.16
期間限定だろうけど、以下のTBSの番組でこのお店が冒頭取り上げられています。

「コンビニ独自サービス続々 “長くとどまれる店”に」
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140115-00000046-jnn-bus_all

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「補助金依存の悪循環」(No.1003)

本日upした「補助金依存の悪循環」の画像をブログにも貼り付けておきます。



これは商店街や中心市街地活性化という分野を取り巻く補助金問題をイメージして整理したものですが、様々な方から「漁業も一緒」「農業も一緒」「アートも一緒」などなどフィードバックを頂きました。

このような状況は当然ながら貰う側にも問題がありますが、配る側にも問題があるということでもあると思っています。

麻薬依存症からの脱却同様に、補助金依存症からの脱却は個人だけではなく、組織的問題でもあるので、解決は極めて困難を極めます。ただ重要であるのはトップの意思決定であることは言うまでもありません。補助金をもらわない、もらわないでもやれるようにする。やらない場合は一度組織を解散する、くらいの気概の意思決定をしないと、なあなあと続いていき、結局活性化なんかないけど、自分たちの組織維持のために事業をやり続けていき、財政などの方針に左右され、予算が減らされて潰れるということになったりします。

ということで、やはりこういうループに入らないように、入ったら抜け出て自立してやっていくと決断することがトップに求められているのではないかと思っています。トップでさえこういう依存環境を受け入れてしまったら、もう相手のなすがままです。自分たちの地域の魅力を自ら生み出していけるよう、私も微々たる力ではありますが、頑張ってまいりたいと思っています。

以下は本画像に関するツイートです。皆さんが色々と参考になるご意見をくださっております。



 
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都市再生というシゴトのノマド化 (No.1002)

昨晩、Twitterでつながっている大石さんから電子献本を頂きました。ありがとうございます。
頂いたKindle本を読んで思わされたのは、こういう流れはテック系とかだけでなく、都市再生とかの分野でも普通に進んでいるよなーということでした。

◯「10年後の仕事のカタチ10のヒント シリコンバレーと、アジア新興国から考える、僕達の仕事のゆくえ」

去年にイギリス、ドイツを回って現地の都市・地区再生の仕事に従事している人たちと話をしていた時に感じたのは、「あー都市再生の仕事もより専門的になって、マネジャーとかは次々と様々な地区で仕事をしていくのだな」ということでした。10年前にアメリカのタイムズスクエアアライアンスなどのBIDを回った時にも同じ印象を受けましたが、さらに進展してきていると思いました。

遊休不動産を活用して新たな魅力的なスタートアップの飲食店を連れてきたり、荒廃したエリアを適切に開発したり、メインストリートを清潔に保ったりといった業務での実績などと共に、それぞれ持ち味を持ってやっていて、それが評価されて職場を変えていったりしています。BIDのディストリクトマネジャーだけでも、世界に2000人以上はいるでしょうから、それらの人材流動を考えていけば、完全に国籍とかいっている世界ではなくなっていくように思っています。

これは単に都市再生の今のシゴトだけでなく、学生のキャリア形成にも変化を及ぼしています。
ドイツのシュトゥットガルト大学の先生の話で驚いたのは、EUでの単位互換が進んだことで、都市計画を学ぶ学生の一部は、各学年で学ぶ大学を変えていって、様々な都市で生活し、様々な都市の再生業務に従事するディストリクト・マネジメント・オフィスとかでのインターンとかをやったりしてするということでした。
秋にバンコクのUrbanDesignDevelopmentCenterを尋ねた時も日本で都市計画や建築を学んだ人たちが働いていたりもする。さらに、そういうオフィスに欧米から優秀なマネジャーが移ってきたりする可能性も今後は高いでしょうし、欧州とかの都市再生分野に関しても日本の都市再生法関係のスキルある人が異動することも大いに有り得るなと思ったりします。

さらに、このように流動的に移動するマネジャーをサポートするATCMやNMSCなどといった非営利組織があり、国をまたいで政策立案、ロビイングとかもやったりする。

勿論、各地域ローカルでの取り組み、営みとしてのまちづくりというのもありますが、一方で、都市間競争時代に都市が生き残っていくためには確実なマネジメントで成果を上げていかなくてはならないところがあります。しかも、その方法やポイントというのは、あまり国の違いとか関係なくなっているので、国を変えても通用したり、ニーズがあったりします。

2014年からは私としては、まちでの事業を支えるのに効果的なオンラインシステムの開発・提供が一つの鍵だなと思っています。スキルとか手法的なものは各マネジャーとかについていくところはありますが、その生産性を改善していくという意味では、結構海外とかではKaboom!とかがかなり先駆的ですが、BIDとかの分野ではやっていることは結構同じだけど、それを効率的に動かすという点ではまだまだ。日本も同様ですが、様々な仕組みを共通化しちゃえばいいと思っています。そのほうが、もっと各地域が独自にやるべきことに時間が割けるようになるので。

勿論「各都市での取り組みはローカルだから」という割り切りも一つではありますし、ゼロになることはないです。
いや、むしろそういう地盤があってこそ、スキルがあるマネジャーを選択して来てもらうということができます。多層的なカタチですね。

それにしても、こういう都市再生の分野でもグローバル化の変化を感じる今日このごろです。全世界の各都市、荒廃しないように必死ですからね。
 
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2013年、印象に残ったお店。

あけましておめでとうございます!
さてさて新年早々ですのでイキナリ重たいネタはあれなので、ちょいと軽いネタふりを。

2013年も仕事がてら様々な地域のお店にいく機会を頂きました。
まぁ全部を紹介しようと思うと際限がないので、その中で記憶に残ったお店をご紹介したいと思います。

1.男鮨(愛媛県宇和島市)
http://tabelog.com/ehime/A3804/A380401/38001465/



何につけても、印象に残ったのは宇和島の寿司屋「男鮨」です。
四万十ドラマなどに長らく関わってこられたサコダデザインの迫田さんに連れて行ってもらった店です。

勿論、鮨自体が「ねかせ」という熟成させたネタを使ったものがとても有名なお店。個人的に鮨は、硬い食感のネタよりも、ねっとりと舌の上で味わえるネタの方が好きなので、とっても満足しました。独自のねかせ技術で漁師の方と提携して長らくお店をされてきているものの、最初の頃は本当に色々と苦労が絶えなかったそうですが、最近ではこの「ねかせ」のネタを目的に来られるお客様が急増。予約ないと入れない日がかなり多いみたいです。「最近ネットってのはすごいよね。金沢とかからもわざわざ飛行機にのって店にきてくれるんだから」という大将のお話。

ぜひともカウンターに座って大将のお話を聞いて頂きたい。やはりお店にお客さんが来ない時は、出張握りをとても頑張ってされていたとか、今でも週1の休みだけで大晦日まで店は開店、正月も基本的に1日しか休まない。週に一度は穴子の仕込みでほぼ徹夜といったような、お話を色々と聞かせて頂きました。すごい気さくに色々なお話の中に、すごい新年も沢山あって、金に物言わせてくるお客さんが来ると、他のお客さんにも迷惑かかるからと、地元の若手経済団体などの出禁にしていたりと。

路地裏にある外観はこれといってお店ではないけれども、筋を通して経営をされてきた大将の姿勢が今の時代には全国に伝わり、各地からこれを目的に訪れるというのもよくわかるお店。本当にこういうお店を何十年と続けられるというのは頭の下がる思いになりました。


2.真名板(岩手県紫波町)
http://tabelog.com/iwate/A0301/A030103/3007404/



2013年に何度もお世話になった、岩手県紫波町のオガールプラザに入居している居酒屋「真名板-まないた-」。
盛岡市内では既に有名な居酒屋をいくつも経営されている若いオーナー兄弟の方が、自ら紫波町に出店された居酒屋で食べ物が生物にしても、焼き物にしてもうまく、そして何につけても飲み物がものすごく安い。普通に頼んだら普通なんだが、飲み放題が用意されていて確か1500円くらい払うと、日本酒とかが飲み放題になるのです。しかもケチケチしてない。日本酒なども全銘柄が飲み放題。ワインとか頼むとボトルでバリバリ持ってきてくれます。素晴らしい。

ここの店は20坪くらいしかないのですが、夏になると面している広場にも座席が拡張されて、オープン居酒屋に大変身。これもまた格別な環境。やはり商業施設って、結局こういう独立系のものすごく個性的な店があるとすごい吸引力につながるなーと思うんですよね。こういう勢いある店を経営している人が、地域でも注目されていくことはとても大切だなと思うところです。


3.瓢六(熊本県熊本市)
http://tabelog.com/kumamoto/A4301/A430101/43003899/



我が第二のホームともいえる熊本。私が高校3年の時に初訪問した際に食べて感動したのが「馬握り(ばにぎり)」です。
馬刺しというのは食べたことあると思うのですが、その鮨バージョンです。馬肉が上にのっかった鮨。めちゃくちゃおいしいのです。当たり前ですが。いい馬肉って、霜降り牛肉とかみたいな臭みとか全くないですし、脂がすぐに溶けてしまうので胸焼けとかに私は全くなったことがないです。

その中でも、この瓢六は馬握りの名店です。じもてぃの中でも評価の高いお店だけに、熊本にいって場握りを食べる際にはぜひ言っていただきたいお店ですね。


4.おかせい(宮城県女川町)
http://tabelog.com/miyagi/A0404/A040403/4012567/



ちょいと女川におじゃまする際に、ランチに訪れるお店ですが、激しくネタの"盛りがよい"お店。そこら辺の海鮮丼とは格が違うレベルでネタがもりもりです。さらにこれに毛ガニの味噌汁とかついちゃったりします。ジモティも訪れるだけに、観光客相手の飲食店とは異なってすごい、すごすぎる。。。

近くに行くことがある方にはぜひ訪れて頂きたいお店です。


5.日光珈琲朱雀(栃木県鹿沼市)
http://tabelog.com/tochigi/A0901/A090102/9012889/



たかが「かき氷」、されど「かき氷」。
2013年の夏にかき氷の価値観が変わりました。日光の天然氷を使っているんですよね。冬の間に自然環境の中でじっくりと作られた氷は、まったく違う食感を実現してくれます。この天然氷を使ったかき氷は、まさに口ですーーっと氷がとけていき、あの普通のかき氷にあるジャリジャリ感とか全くないんですよね。まさにすーーーすーーーすーーー、という感じ。シロップもちゃんと自家製のもの使っていて本当に美味しかったです。

日光珈琲さんの経営自体も、自分のところでお手製で店作りをしたりしていて興味深いことばかりのお店なんですが、2014年の夏もこの天然氷のかき氷を食べにいきたいと思っています。それだけの代物。


6.黄金寿司/揚子江(北海道札幌市)
http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010102/1001537/
http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010102/1008321/

 

えー札幌と言えばこの店を紹介せずにはいられません。
まあ有名な店なんですが、「中華料理屋」と「寿司屋」が一体化しているという、普通に考えたら、絶対にアカン店のジャンルですが、実際はとてつもなく美味い魚を食った後、締めにチャーハンとか食えるという食いしん坊涎垂の業態なのです。
札幌市郊外の発寒北商店街の土屋さんに連れて行ってもらってびっくらこいたのです。

それ以降何度かおじゃまして女将さんも、常連とか関係ないスタイルでされていて、まだまだ新参者の私にもとてもよくしてくださる方です。また2014年も再訪したいお店です。


7.あたりきしゃりき堂(大阪府大阪市阿倍野区)
http://tabelog.com/osaka/A2702/A270203/27012441/



2013年、AIA関西支部を共に立ち上げたパートナーの一人、サルトコラボレイティヴのオフィスにお邪魔した時に、木下がいつもfbとかでドーナッツを食べているのをみたスタッフの方が「木下くん、ミスドとか足元にも及ばないうまいのがあるよ」ということで、わざわざ買い出しに言ってくれたのが、このドーナッツ。

揚げたてモチモチのドーナッツ。。食べた瞬間にまじで惚れました。

今年も関西での打ち合わせの際には絶対に食べたいと思っています。


8.大通公園ビアガーデン(北海道札幌市)
http://www.sapporo-natsu.com/beergarden/



これは季節ものですが、毎年夏に札幌大通公園が全部ビアガーデンになります。
こんなに気持ちのよいビアガーデンというのはないと思っておりまして、やはり東京とか含めて汗だくで屋外で飲むみたいなのはつらすぎるじゃないですか。札幌の涼しい環境だけど、そこそこ昼間は暑いという絶妙な環境。ビアガーデンに最適なんですよ、この状況が。

ということで、真っ昼間からカンパーイ!をするのに最適な札幌大通ビアガーデンには今年も行きたいと思っとります。おすすめ。


9.はるや(福岡県北九州市)
http://tabelog.com/fukuoka/A4004/A400401/40006361/

 

「春菊」と「タコ」のおでん、そして「おはぎ」を食べずして、北九州での夜は終われません。
北九州にいったら必ず、このはるやのおでんを食べたくなるのです。

まず、絶妙な出汁の中に、さっと潜らせた春菊のしゃぶしゃぶとも言うべき代物は、小さくご主人が切ってくれますが、本当にうますぎます。春菊のほどよい苦味と出汁が絶妙。そして、続いて食べるタコの柔らかさが半端ない。。。

ここのご主人も本当に厳しさの中にも優しさを感じるとても温和な素晴らしい方。
すっかりファンです。

締めにはおはぎを食べておでんの出汁を飲んで出るのが個人的にはたまらないのです。甘さと塩気のコンビネーション。

北九州流のおでんは格別です。2014年も確実に再訪する店。


10. リンガーハット@ピエリ守山
http://tabelog.com/shiga/A2501/A250101/25003847/



さて、最後はネタ的ですが、既に閉店してしまったらしいピエリ守山のリンガーハット。
あまりにテナントなさすぎたけど、フードコートにあるというリンガーハットでちゃんぽんを食べました。
僕らが行った時には、店員さんはパイプ椅子に座っていたくらいなので、暇だったのでしょうね。そりゃ閉店します。。

本当に色々と考えさせられる商業施設です。

【宿】
番外編ですが、2013年宿泊した宿でのベストは山口の別邸音信。余裕のある空間とセンス、食事と温泉などの全てが素晴らしかったです。お世話になっている方に連れて行っていただいたのですが、本当に強い宿は人を遠方からも呼ぶなと認識させられたところです。今年も再訪したい。

別邸音信(山口県)
http://www.otozure.jp/
http://tabelog.com/yamaguchi/A3503/A350302/35005327/

さらに、海外での素晴らしいと思ったのは、以下のBase2Stay@liverpoolです。
元々倉庫のリノベーションホテルなんですが、地区が荒廃しまくったということで、ナイトタイムエコノミーに注力。この倉庫の半分をクラブにリノベーションし、もう半分をかっこいいホテルにリノベーション。料金も安いし、簡素な接客と設備のバランスがとてもよかったです。

Base2Stay(イギリス・リバプール)
http://www.base2stay.com/
http://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g186337-d1821830-Reviews-Base2stay_Liverpool-Liverpool_Merseyside_England.html

まだまだ紹介したい店とか沢山あるのですが、ひとまずこんなところで。

そーそー、去年Kindleで読んだ「孤独のグルメ 【新装版】」もよかったです。漫画版のほうが演出が強烈すぎなくてよいですね。笑



今年も頑張ってまいりたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 
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[商店街の不都合な真実]なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか (No.1001)

簡単にいえば、「商店街はまちづくりとかコミュニティがうんぬんやめて、ちゃんと本業頑張ろうぜ」、というテーマの一冊。

著者の方とはひょんな機会でお会いした以降、ご無沙汰していたのですが、今回新著を出されていたので気になってツイートしたら、編集の方から献本頂きました。誠に有難うございます。そして、届いた瞬間に一気読みいたしました。「商店街ってもう衰退しまくっているよなぁ」と思っている商店街活性化とかには当然関わっていない大多数の一般の方に向けて、その業界事情を平易に書くことに徹されているのがよくわかる一冊です。

 
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◯商店街の自己評価でも繁栄しているのは1%

さてタイトルにもなっている「繁栄している商店街が1%しかない」というのは冗談ではないのです。

何年かに一度、中小企業庁の委託調査事業で実施している「全国商店街実態調査」(以下のURLに一式ありますのでどうぞ)の平成21年度版で商店街が自ら「繁栄している」と回答している割合が1%なのです。以下、繁栄の兆しがある2.0%、まあまあ横ばいである17.9%、衰退のおそれがある33.4%、衰退している44.2%と続く。と、一応、商店街自身の主観(贔屓目はいって)でも「うちは繁栄しているよなー」と回答しているところが1%しかないということです。






1970年の調査では、39.5%の商店街が「繁栄している」と回答していたのに・・・・。ということなのですよね。

【参考】全国商店街振興組合連合会公式サイト「商店街実態調査」

ま、じゃあ、なんでこの40年くらいで、一気に繁栄しなくなったのか、という話になるわけです。

かつてはダイエー、今はイオンができたから、ヤマダ電機がきたか、駅内に店が開発されたから、という競合商業集積に対するものか、もしくは駐車場がないから、雨に濡れるから、街灯が少なくて暗いから、監視カメラがなくて安全じゃないから、という自分たちに原因があるのではなく、外部環境要因によって衰退しているのだ、というようなことが言われたりします。。。そして、その対応策が補助金などで支援されたりする。共同店舗を開発して大型店対策をしたり、駐車場開発、アーケード開発、LED街路灯開発、監視カメラ設置などなど、そしてそれらが実施された商店街は活性化したということで「成功事例集」に掲載されていく。。。とまぁそういうわけでございます。


◯成功事例集にのっている商店街の多くは、活性化していない。

しかしながら、著者は「成功事例集にのっている商店街のほとんどで活性化していなかった」と自身の調査経験から語っています。ま、これは商店街◯◯選とかの商店街をみればよく分かる話です。新・商店街◯◯選にいたってはますますもって。

これは僕も常日頃Twitterとかでも指摘していますが、補助金を入れた案件が失敗したら困るので、「成功事例集に掲載する」という側面があります。
あとは特段故意ではなく、成功事例集の調査を実施する際に案件調査のパイプとして全国各地に存在している経済産業局をベースにします。それぞれの経産局の所管エリアの成功事例を出すようにいわれるのですが、当たり前なんですが、経産局の方々の多くは補助金を現場で運用されている方々なので、普段は補助金を申請にきて取り組みをしている商店街のことは熟知されているのです。
が、そもそも補助金を使わずして活性化している商店街、もしくは商店街さえ全く関係なく不動産オーナーや一部の事業家とかがやってる活性化の情報というのは、あまり知る術がないのです。つまり経産局にきて「補助金ください」と言わない、勝手にやって成果をあげている商店街活性化事例の情報はあまり耳に入らないということなのです。仕方ないですね。情報は常に非対称なのです。現場の網羅的な情報は、役所の情報ルートでは調査できないのです。

結果として、成功事例集は補助金を使ったケースを中心にとりまとめられざるを得ない、シンボル事業は巨額の補助金を活用したもの、という境遇にあったりします。そして時のシンボル事業は後に必ず経営危機に陥るということも定番です。まちの活性化の『起爆剤』が別の意味で起爆するわけです。起爆済みの再開発事業などは全国に多数ございますが、「失敗事例集」は作られませんので、転ばぬ先の杖がないというところであり、失敗は繰り返されます。

【参考】「まちづくり・失敗の本質」 (No.1000)

 


◯活性化しない理由は「コミュニティ活動」と「まちづくり活動」をやっているから。

これは商店街は地域で社会的価値がある、商店街=コミュニティの担い手といったような解釈で、商店街の共同でのまちづくり活動に補助金を支給してきた、商店街組織での活動に支援をしてきた、その政策コンセプト自体に間違えがあると本書でも指摘しています。これは全くもって私も異論は有りません。

中小商業政策は「産業政策」です。決して社会保障事業ではありません。

しかし中小商業は弱いと決めつけて、それを保護して欲しい、保護しようという方向性で議論が進み、さらにいつのまにかその保護するための補助金の受け皿として商店街振興組合などが地域商業の対象であり、前提になってしまった。
農業を振興することが、農協活性化策になってしまっている問題と同じだと指摘しています。知り合いの農業ベンチャーの経営者とも「商店街も農業も似てるね」と前に話していたことがありましたので、これは全くもってそうなってしまっていると感じるところです。個別の中小店舗にとっての商店街施策ではなく、「商店街」という団体に対する支援策になっているわけです。そしてこの根拠を支えるために「商店街は弱いけれども、地域にとって大切でしょ、だから補助金ちょうだいね」という路線になっているわけです。各店舗の私有財産に税金は使えない、税金で金儲けされてはこまるということで、なぜか儲けるためにやっているはずの商店街が、いつのまにやらコミュニティだの、まちづくりだの、といった活動をやるようになっていきます。

かつては儲かっていたので、その儲けを地域活動に資するという、ある意味で富める者として地域を支えるという役割だったのが、いつのまにか儲かりもしないのに地域活動を税金もらってやる、という意味不明な方向に転換していってしまったのです。

結果として貴重な店舗経営にかけるべき時間の多くを、今ある加盟店だけを中心にして、それらを活性化するための施策としては「コミュニティ」と「まちづくり」に絶賛大投入!!

本来、産業政策に必要なのは、「生産性改善」(少ない財で大きなスループットを生み出すことでの社会生産性の向上)を目指しながら、具体的には「新陳代謝の促進」(常に競争があり、より魅力的な商品・サービスが出てくるダイナミクスの確保)です。

共同事業はコストが増大するような設備に投資するのではなく、本来であれば各店舗の財務が改善するようなことに投資するのがあまり前なんです。
例えば、商店街は一銭の金も生まない街路灯やカラー舗装に各店舗が負担金を支払うのに対して、工業団地の中小企業組合は、各企業の電力代金を軽減するために共同受電事業に投資します。
皆で一括して電気を購入するて電気利用料金単価が引き下がるため、各企業は利益を生みやすくなるandコスト競争力が増す=生産性が向上するという話だからです。つまり産業政策としては、共同して売上のために"なるかもしれない"ようなことにコストを払うのではなく、しっかり利益を生み出すことに貢献する事業に投資すべきなのです。今のモデルとは活性化事業やればやるほど負担が増えるという構造です。

あわせて、組合員向けの事業ではなく、新陳代謝が大切。大手商業にしても芳しくない店舗は退店してもらい次なるテナントを入れます。ネット店舗でも同様に売上の悪い店はどんどんランキングを落としたり、検索にひっかからなくなります。けど、それによってそれぞれは、強いものが常に生き残り、魅力を保っているわけです。

しかし商店街では、既存店舗のオーナーは自分の持ち物件であることもあり、過去の蓄財もあるため、しっかりと新陳代謝を生み出さない期間を経て、結果としては購入する消費者にとっては全く買う動機が見当たらない店ばかりが立ち並ぶ場所になってしまったわけです。

1%しか繁栄していないとしても、業態を一部でも変える店は17.4%に以下のように留まっており、さらにもはや大型店との競争でさえ問題ではなく、もう魅力ある店がなく、後継者もいないと認識している人たちが半数近くを締めるようになっているわです。

 

それをどんだけ業績が悪くても業態を変えたりせず、同じ人達で経営を続け、さらに商店街としては本業の改善に直結しない「コミュニティ」と「まちづくり」に時間も金も費やしてしまった。

結果として今の商店街、つまり核となる店も魅力のある店もなくなり、高齢化が進むけど誰も継いでくれないくらいしか儲からない、という状況があるわけです。けど、過去の蓄えがあるので、自分たちが死ぬまではほどほどに食っていける、もしくは周辺にマンションとかモールに専門店街に店持っていたりとかで、別のルートで収入があるから、そこまで商店街にある店の活性化には力を入れない、みたいなこともあったりするわけです。勿論困っている人もいますが、けどやっぱり物件放置してもいきなり生活が行き詰まらないという人は余裕があるわけです。口では大変だといいつつも、本当に苦しい人は、とっくの昔に二束三文でも売っぱらったり、夜逃げしてしまったりしているのですから。

【参考】シャッター商店街の敵は"豊かさ"!? (No.966)


◯本業回帰の中小商業活性化を。

本書で言われているのは、つまりは衰退しているのは「商売に集中してこなかったからじゃないの?」という話なのです。

また、現在発展している店は商売に集中していると。

色々と冒頭に問題点は指摘しましたが、問題は既に明らかかつ解決の方向性も見えてきています。ちゃんと生産性改善、新陳代謝促進という軸足をぶれずに政策をうち、さらに各自治体では都市経営の上で公民連携型での中心部への機能集約を先行投資型ではなく「逆算方式」で実行していくことで、都市維持費の縮小と最低限の集積による固定資産税収入などの維持を図れるという話です。これを政治的にもどう実現していくか、という実現方法がまだまだ課題がありますが、とはいえ「何をしたらいいか分からない」という段階ではなくなってきています。

ちゃんと商店街を活性化したければ、商業に集中すること。いい意味で金儲けに邁進することが、しっかりお客様に喜んでもらえる商売をすることにつながり、結果的に税金もおさめ、地元で雇用を生み出す社会的な貢献を果たすことにもつながる。

現に中小商業が全滅したかといえば当然そうではなく、むしろ魅力的な店も沢山出てきています。それは「まちづくり:デッドライン」にも書いたように路地裏など商店街組織がないところを中心に出てきていて、そこでは当然ながら定期的に投資もおこり、新しい雇用も生まれ、次なる挑戦者が常に入ってきています。

なので、著者が書かれているように普通に魅力的な店が出てくるとかによって、エリアが変化していくというのは全くもって仰るとおりでして、実は施策とか全く関係ない場所で、商売上手な商人の人が勝手にはじめた事業が、結果的に繁盛店になり、イケてる人たちがあつまって活性化してしまうということがあるわけですよね。

我々が取り組んでいるのは、新たしい方に出店しやすい条件を作るため、マーケットを定期開催ででライトスタート、さらにリノベ物件に共同入居、といったスタイルもこういう路線ですね。既存建築物活用して一定の投資利回りを確保できるようにしつつ、新たな人たちにとっても無理のない家賃で出てこれるようにして新陳代謝を促進していくという方式。

 

 

◯重要なのは商売の場を作る地権者

やはり処方箋については、重要なのは「地権者」であると思っています。役所もある意味で、道路や公共用地を持ち、さらに個別資産に対しても固定資産税をもっているので、地権者であります。公共事業的なマインドや社会福祉的なマインドではなく、しっかりと都市機能集約化を今の施設などを利活用し、集積によって固定資産税などで投資回収するという路線をもてば、自ずと政策の方向性は変わります。

土地の適切な開放を地権者がやることが、実は経済活動を踏んでしっかりと短期的にも儲かり、中長期的にはその土地の価値自体が上昇していくことも期待できるのです。商業地区の再生は、投資資本の投資利回りを向上させること、結果としてそれに伴った地価の上昇にあります。

これは別に一部の資本家が儲かる話ではなく、「新しい商売に挑戦したい人」と共に「商売をして日銭を稼がないと食べていけない人」にも適切な機会を提供することになります。

中小商業というのが今一度、多くの人に開放され、社会のセーフティネットになりうるよう取り組むことに意義があると思って、こういう分野に取り組んでいるのです。

確かに既存の商店街組織から固定的に様々な委託事業などを受託している人には言えない中身で、多くの方にとっては不都合な真実盛りだくさんのこの一冊。しかし、本当に心から地域商業のことを考えたい方は、一度、先入観を取り払い、目の前の曇りをとるつもりで読んでみることをお勧めいたします。
 
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